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XMLで開発ドキュメント

【楽々デブドックを書こう!】XMLで開発ドキュメント

第4回:XMLの出力環境

著者:佐賀大学総合情報基盤センター 只木 進一

公開日:2008/02/27(水)

NetBeans 6について

ちょうど「第3回:情報システムの仕様をXMLで記述する!」の記事を書いた後で、日本語に対応したNetBeans 6.0.1がリリースされた。XMLに関連した編集環境が、5.5.1と比べると格段によくなっている。例えば、XMLスキーマをグラフィカルに、つまり木構造を見ながら設計することができる。また、XMLスキーマに応じたXML文書のテンプレートを作ることが可能だ。

これでXMLに関連した作業が楽になる。スキーマを基に読み込みや編集のJavaプログラムを生成してくれるとさらに嬉しいが、そこまで楽をさせてはくれない。楽をしたら技術の進歩は無いとあきらめよう。


(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

文書に出力する「HTML」

さて、情報システム仕様書がXML文書としてできたら、次は出力環境の整備である。XMLスキーマとXML文書は、XMLの閉じた世界に収まっている。しかし、表示は既存の方法との交渉である。つまり、ここから先は「表示」という、XMLにとって外部の世界との繋ぎを作ることとなる。これがすこしやっかいだ。しかし、仕様作成を共同作業で進めるのであれば、早めにHTMLへの出力環境を準備する必要がある。

XML文書を読める形の文書に素直に変換する標準的な方法は、XSL(eXtensible Stylesheet Language)である。XSLはXPath(XML Path Language)を使って、XMLの要素に応じて、出力を制御する言語だ。XSL自体がXMLであるので、適当な道具を使えばXML文書としての整合性を確認することができる。

XSLの基本的構造は、ある要素、例えば<Tag>があらわれたとき、行う印刷処理を書くことで構成する(リスト1)。

また、XSLではループ構造や条件分岐をあらわすことができる。例えば、要素<Chapter>を考える。その中の要素<Title>の内容をHTMLの<h2>タグで表示して、下層の要素<Section>をforループを使って順に処理する。この場合には、リスト2のようなXSLを書くことになる。

XML文書をHTML文書に変換する、あるいはWebサイトにおいて直接見せるためには、出力形式がHTMLであることを示す出力指定(リスト3)をXSLに加える。この行を加えることで、HTML4.01に対応したHTMLのヘッダ部が自動的に作成できる。

XML文書からHTML文書への変換は、Apacheプロジェクトのxalanや、xmlsoftのxsltprocがよく使われる。また、XML文書の先頭でXSLファイルを指定することで、Webブラウザから直接見ることもできる。 次のページ




佐賀大学総合情報基盤センター  只木 進一
著者プロフィール
佐賀大学総合情報基盤センター 只木 進一
センター長・教授
交通流やインターネットパケットの流れなど、自己駆動粒子系の研究を専門としている。並行して、情報システムの管理運用技術の研究開発も行っている。XMLやJavaなどを仕事道具として活用している。
http://www.cc.saga-u.ac.jp/


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