NTTデータグループとGitLabの協業がもたらすDevOpsとバリューストリームマネジメントの進化
NTTデータグループとGitLabの協業は、企業のDevOps導入やアジャイル開発の促進に大きな進展をもたらしています。この協業の一環として提供される「Value Stream Assessmentコンサルティングサービス」やバリューストリームマネジメントの手法がどのように展開されているのか、NTTデータグループ 技術革新統括本部に所属する浅原 舜平氏、菅原 亮氏にインタビューを行いました。この記事では、協業の背景、具体的なサービス内容、今後の展望についてまとめます。
GitLabとのパートナーシップのきっかけ
NTTデータグループがGitLabとの協業を本格化させた背景には、GitLabのセルフマネージド版が持つ技術的な利点があります。菅原氏は「弊社のプロジェクトでは、センシティブな公共系や金融系の案件が多く、外部サービスを一切利用できない環境がありました。こうしたプロジェクトでGitLabのセルフマネージド版が非常に有用で、パートナーシップの開始前から多くのプロジェクトで使用していました」と説明します。
また、GitLabとのディスカッションや共同イベントを通じてパートナーシップの可能性が広がり、協業の具体的な形が生まれました。浅原氏は「NTTデータグループが進めるバリューストリームマネジメントの取り組みとGitLabが注目している価値提供のプロセスに共通点があり、2023年度から連携を開始しました」と話しています。
バリューストリームマネジメントの概要と目的
NTTデータグループが進めるバリューストリームマネジメント(VSM)は、組織全体を通じてプロセス、システム、組織、そして関わる人々を可視化し、継続的な改善を目指す手法です。浅原氏はその概念について「バリューストリームとは、プロセスだけでなく、そのプロセスに関わるシステムや人、組織全体から成り立つものです。この流れを意識することで、プロセスの改善や価値提供の向上を図ります」と説明。
バリューストリームマネジメントは、元々アジャイル開発の考え方から生まれたものであり、「開発のリズムの中で、ビジネスアジリティを向上させ、提供価値を最大化するために、ストリーム全体を管理し、継続的に改善していく」ことを目的としています。
コンサルティングサービスの具体的なステップ
GitLabとの協業により、バリューストリームアセスメントのワークショップも提供されています。このワークショップは半日程度で行われ、プロダクトの価値提供プロセスにおけるボトルネックを特定し、改善策を提案するものです。浅原氏は「まず、ワークショップを通じて、どこに問題があるのか、どこに改善の余地があるのかを洗い出します。その後、NTTデータグループが持つアセットを活用して、ボトルネックに対して適切な対策を打ちます」と、そのプロセスを詳しく説明しています。
さらに、このワークショップを通じて得られた改善ポイントに基づき、GitLabのツールを活用して開発プロセスの高度化を図ります。「具体的には、ワークショップを通じて各プロセスの時間や待ち時間を分析し、自動化やCI/CDツールの導入によりリードタイムを削減する事例が生まれています」(浅原氏)
対象となる企業やプロジェクト規模
Value Stream Assessmentコンサルティングサービスは、特定の業界や業種に限らず、幅広い企業に提供されています。浅原氏は「どの業界、業種でも対応可能で、特に何を改善すれば良いかが不明な企業に対して大きな価値を提供します。ボトルネックを特定し、最も投資対効果が高い改善策を提案します」とアピール。
また、このサービスは既存の開発プロセスの改善に特化しており、新規の開発ではなく、既存のプロジェクトに対して行われるケースが多いとのこと。浅原氏はこの点について「既存のシステムを改善したいというニーズが強く、特に長年続いている開発案件の改善に注力しています」と述べています。
メトリクスと指標
バリューストリームアセスメントでは、具体的にリードタイム、プロセスタイム、手戻り率といったメトリクスが使用されます。浅原氏は「リードタイムは、実際に作業にかかる時間と待ち時間を合わせたもの、プロセスタイムは待ち時間を除いた実際の作業時間です。また、手戻り率を計算して改善点を見つけ出すことが、アセスメントの重要なポイントです」と説明。
これらのメトリクスを用いることで、プロセス全体の改善点を明確にし、組織全体での問題意識の共有を図ります。
今後の展望
GitLabとの協業により、NTTデータグループは今後もバリューストリームマネジメントやアジャイル開発の促進を進めていく予定です。菅原氏は「今後もモダナイゼーションを推進し、特殊な環境でも適用できるプロダクトを提供していきたい」と述べ、GitLabとの連携をさらに深めていく意向を示しました。
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