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  インタビュー

GitLabとNTTデータグループのパートナーシップが切り開く未来: VSMとVSAを軸にした効率化の実現

2024年10月17日(木)
吉田 行男Think IT編集部
GitLabはNTTデータグループと販売パートナー契約を締結。GitaLabがVSMやVSAを中心に、どのような役割を担っていくのか。今後の展望と合わせて聞いた。

GitLabとNTTデータグループのパートナーシップが注目を集める中、今回はGitLabで日本カントリーマネージャーを務める小澤 正治氏に、その背景とビジネス的な効果、技術的な優位性についてお話を伺いました。今回の取材では、特にソフトウェア開発における無駄の削減と、生産性向上のためのVSM(バリューストリームマネジメント)やVSA(バリューストリームアセスメント)を中心に、GitLabの役割や今後の展望について多くの示唆がありました。

GitLabのVSA支援の全体像

GitLabは、NTTデータグループとのパートナーシップを通じて、ソフトウェア開発プロセスの改善において、特にツール面でのサポートに注力しています。小澤氏は「我々の製品は、ソフトウェア開発の全工程をカバーするシングルプラットフォームです」と述べ、NTTデータグループが行うVSMとVSAによって明らかにされた無駄をGitLabのツールによって視覚化し、改善に導くと説明。これにより、プロジェクト全体の効率を飛躍的に向上させることが期待されています。

GitLab Inc. 日本カントリーマネージャー 小澤 正治氏

バリューストリーム分析の合計時間を可視化できる「Value Stream Analitics」

NTTデータグループとの提携による技術的・ビジネス的効果

パートナーシップを通じて、技術的およびビジネス的な効果がどのように生まれるのかという質問に対して、小澤氏は「お客様の状態やソフトウェア開発における成熟度に応じて変わってきますが、プロジェクト単位で無駄を視覚的に提示できることは非常に大きな価値です」と語りました。特に、課題が明確化されることで、改善策を効果的に導入できる点が、他の企業との差別化ポイントとなっているとのこと。

また、小澤氏はGitLabがガートナーの『Magic Quadrant for DevOps Platforms』でリーダーポジションを獲得していることも強調しました。「他の企業と比較して、我々は抜きんでており、比較対象にはなりにくい」とし、GitLabが提供するシングルプラットフォームの優位性を示します。

日本のDevOpsの現状と課題

日本のソフトウェア開発におけるDevOpsの現状について、小澤氏は「まだまだだと感じています」とし、インフラのクラウドシフトが進んだ一方で、ソフトウェア開発プロセスの内製化が進んでいない現状を指摘しました。特に日本のソフトウェア開発サプライチェーンは複雑であり、DXを進めるには内製化が鍵であるものの、その進捗は限定的です。「多くの企業がプラットフォームエンジニアリングの考え方に移行していく中で、GitLabの価値はさらに高まっていくと考えています」と小澤氏は述べ、今後の成長の可能性に期待を寄せています。

ソフトウェア開発における無駄とその解消法

小澤氏は、日本のソフトウェア開発における無駄についても詳細に言及しました。「例えば、開発を外部に委託する場合、実際に作業している時間よりも待つ時間が長いことが無駄の1つです」と述べ、ソフトウェア開発のリードタイムが大きな課題であることを強調。また、ツールチェーンの分断も無駄を引き起こす要因とした上で「多くの企業が3~4種類、場合によっては10種類以上のツールを使っており、ツール間の連携やバージョンアップに多くの工数が割かれています」と、具体的な問題を挙げました。

このような無駄を解消するためには、ツールチェーンの統合が必要です。GitLabはシングルプラットフォームを提供しており、開発プロセス全体を通じてツールを統合し、効率化を図ることが可能です。小澤氏は「我々のプラットフォームは、開発者がやるべきことに集中できる環境を提供するための基盤です」とし、エンジニアの生産性向上に寄与することを強調しました。

VSMとAIの融合による未来の開発プロセス

GitLabとNTTデータグループが共同で進めるVSMやVSAのサービスには、今後AIの活用も取り入れられる予定です。小澤氏は「我々はAIの活用に注力しており、すべての開発工程において効率化を図るためのAIツールを提供しています」と述べ、具体的な事例として、ヨーロッパの銀行においてデプロイサイクルが7倍に改善されたことを紹介しました。

今後、GitLabは「GitLab Duo Workflow」というAIを活用した新機能をリリース予定です。この機能により、開発者が手を動かす必要が少なくなり、効率的に開発プロセスを進めることが可能になります。「VSMやVSAで明らかになった無駄を解消するために、AIが大きな役割を果たすと考えています」と、小澤氏は今後の展望を語りました。

今後の展望と日本市場への期待

最後に、小澤氏は「VSM、VSAのコンサルテーションサービスを通じて無駄を解消し、生産性を向上させることが可能です。AIの適用をさらに進め、リリースのスピードと競争力を高めていきたい」と、今後のサービス展開への意欲を見せました。

日本市場においては、まだGitLabの認知度が低いという課題もありますが、「NTTデータグループとのパートナーシップを通じて、ソフトウェア開発プロセスの効率化を推進し、多くの企業にその価値を提供していきたい」とのコメントで締めくくりました。

GitLabとNTTデータグループの協業は、日本のソフトウェア開発の未来を大きく変える可能性を秘めています。シングルプラットフォームとAIの融合による開発プロセスの効率化が、今後どのように進化していくのか、ますます注目が集まるところです。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

“オープンソース技術の実践活用メディア” をスローガンに、インプレスグループが運営するエンジニアのための技術解説サイト。開発の現場で役立つノウハウ記事を毎日公開しています。

2004年の開設当初からOSS(オープンソースソフトウェア)に着目、近年は特にクラウドを取り巻く技術動向に注力し、ビジネスシーンでOSSを有効活用するための情報発信を続けています。クラウドネイティブ技術に特化したビジネスセミナー「CloudNative Days」や、Think ITと読者、著者の3者をつなぐコミュニティづくりのための勉強会「Think IT+α勉強会」、Web連載記事の書籍化など、Webサイトにとどまらない統合的なメディア展開に挑戦しています。

また、エンジニアの独立・起業、移住など多様化する「働き方」「学び方」「生き方」や「ITで社会課題を解決する」等をテーマに、世の中のさまざまな取り組みにも注目し、解説記事や取材記事も積極的に公開しています。

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