第8回:Linuxの性能評価 (2/4)

OSS評価手法
オープンソースソフトウェアの性能・信頼性評価手法

第8回:Linuxの性能評価
著者:ミラクル・リナックス  吉岡 弘隆   2005/7/5
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ベンチマーク結果と分類

   ベンチマークの結果、I/O結果は大きく分けて3種類に分類できることがわかった(表2)。この分類は、スループット結果とプロファイリング結果とで共通であった。
プロファイリング結果スループット結果I/OパターンID
CPUビジー型良好3 ,4, 6, 7, 9, 10
CPUアイドル型(I/Oビジー型)やや悪い1, 2
ロック競合型悪い5, 8, 11

表2:I/O結果の分類

スループット結果
図2:スループット結果

   CPUビジー型は、iozoneプロセスからページキャッシュへのデータのコピー処理がボトルネックになっているケースであり、最も多く見られたパターンである。優れたスループット結果に現れている通り、非常にスムーズにI/O処理が行われた状態にある。

   CPUアイドル型(I/Oビジー型)は、8GBのファイルを単一のI/Oで作成する場合に発生しており、これはデバイス(ハードディスクやディスクコントローラ)がボトルネックとなり、CPUに待ち状態が発生したケースと考えられる。この場合は、ハードディスクやコントローラの交換などによるデバイスの高速化が最も効果的なボトルネック解消方法といえる。

   ロック競合型は、グローバルなカーネルロックの競合が発生したため、CPUに待ち状態が発生したケースであり、iozoneコマンドを複数起動した際に観測された。具体的にカーネルのどの部分のカーネルロックが競合したかについてをOProfileとLKSTのデータを解析することから導き出すことができた。


CPUビジー型

   CPUビジー型については、パターンID 9を取り上げる。

パターンIDオプション -sオプション -tオプション -Tiozoneコマンド数
92G4×1

表3:条件

所要時間(Wall time)89.446秒
ファイルサイズ合計8,388,596.00kB
スループット合計94,740.99 kB/sec

表4:IOzone結果

順位シンボルサンプル数占有率(%)累積占有率(%)
1do_generic_file_write8,46216.1616.16
2get_hash_table4,5848.75424.91
3unlock_buffer3,3646.42431.34
4__br_write_lock2,7635.27636.61
5__write_lock_failed1,9893.79840.41
6__br_write_unlock1,5162.89543.31
7__free_pages_ok1,2872.45845.76
8rmqueue1,1902.27248.04
9get_unused_buffer_head1,1402.17950.21
10.text.lock.sched1,1222.14352.36

表5:プロファイリング全体結果

   do_generic_file_writeを細分化した結果は表6の通り。

アドレスサンプル数do_generic_file_writeに対する占有率(%)全体に対する占有率(%)命令
0xc0160de510.0118180.00191shr $0x2,%ecx
0xc0160de8755289.24614.4213repz movsl %ds:(%esi),%es:(%edi)
0xc0160dea3584.230680.683637mov %eax,%ecx
0xc0160dee951.122670.181412mov %ecx,%ebx
0xc0160df010.0118180.00191mov 0x10(%esp,1),%edi

表6:プロファイリングdo_generic_file_write詳細

   命令は、下記のobjdumpコマンドを使用して確認した。

# objdump -d /boot/vmlinux-2.4.21-9.38AXsmp --start-address=0xc0160de5 \
--stop-address=0xc0160df4
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ミラクル・リナックス株式会社 吉岡 弘隆
著者プロフィール
ミラクル・リナックス株式会社  吉岡 弘隆
2000年6月ミラクル・リナックス(株)設立、それ以前は日本オラクルにてOracleデータベースのサポートを担当していた。オープンソースとの出会いは、1998年米国Oracle出向時にNetscapeのソースコード公開がきっかけ。
ミラクル・リナックス株式会社 取締役
日本OSS推進フォーラム ステアリングコミッティ委員
OSDL Japan アドバイザリボードメンバー


INDEX
第8回:Linuxの性能評価
 はじめに
ベンチマーク結果と分類
 CPUビジー型の考察
 評価手法のまとめ
オープンソースソフトウェアの性能・信頼性評価手法
第1回開発基盤ワーキンググループインタビュー
第2回Java AP層の評価 〜 概要とカーネル比較
第3回JBossと商用APサーバの比較
第4回アプリケーション・プログラムの動作解析機能の開発とそれを用いた解析
第5回DBT-1によるMaxDBの評価
第6回PostgreSQLは使えるのか? 〜 あなたの環境での性能特性を調べる
第7回大規模データベースにおけるPostgreSQLの性能評価
第8回Linuxの性能評価
第9回LinuxのI/O信頼性・性能評価

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