第2回:押さえておくべき基本設定 (4/4)

最大限の可用性とスケーラビリティを実現するOracle RAC
最大限の可用性とスケーラビリティを実現するOracle RAC

第2回:押さえておくべき基本設定
著者:日立システムアンドサービス  熊川 哲也   2006/7/4
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リモートシェルの設定について

   Oracle RACのインストールでは他のサーバへのファイル配布、リモートコマンドの実行が行われますのでリモートシェルの設定が必要です。設定方法に関しては、「Oracle RAC インストレーション・ガイド」を参照してください。
共有ディスク上の領域(パーティション)設定について

   Oracle Database 10g Standard EditionのOracle RACでは共有ディスク上に最低3つ以上の領域が必要となります。それぞれの領域の用途は次の通りです。

OCR(Oracle Cluster Registry)領域 クラスタ情報などを格納する領域
投票ディスク領域(Voting Disk) ノード間の生死確認に使用される領域
ASMの領域 Oracleデータファイルを格納する領域

表14:共有ディスク上の領域の用途

   本連載では表15の構成で利用します。なおOCR領域、投票ディスク領域の冗長化はOracle Database 10g Relase2の新機能であり、OCR領域は100MB以上、投票ディスク領域は20MB以上の空き領域が必要です。


RAWデバイスの設定について

   共有ディスク上の領域をRAWデバイスとして認識させるために「/etc/sysconfig/rawdevices」ファイルに設定を行う必要があります。また、oracleユーザからも利用できるようにRAWデバイスの所有者とグループの変更を行う必要があります。設定方法に関しては、「Oracle RAC インストレーション・ガイド」を参照してください。

ディスク
NO
デバイス名 領域
サイズ
RAWデバイス名 ディスク(領域)の用途
Disk1 /dev/sdb1 102MB /dev/raw/raw1 OCR領域用
Disk2 /dev/sdc1 102MB /dev/raw/raw2 OCR領域用(冗長化用)
Disk3 /dev/sdd1 22MB /dev/raw/raw3 投票ディスク領域用
Disk4 /dev/sde1 22MB /dev/raw/raw4 投票ディスク領域用(冗長化用)
Disk5 /dev/sdf1 22MB /dev/raw/raw5 投票ディスク領域用(冗長化用)
Disk6 /dev/sdg1 55GB /dev/raw/raw6 ASM領域用
Disk7 /dev/sdh1 55GB /dev/raw/raw7 ASM領域用(冗長化用)

表15:RAWデバイス構成


hangcheck-timerについて

   Linux環境でOracle RACを使用する場合は、hangcheck-timerモジュール(hangcheck-timer)が正常にロードおよび構成されていることを確認する必要があります。「hangcheck-timer」は、データベース破損の原因になるOSの広範なハングアップがkernelで発生していないかを監視します。

   ハングアップが発生すると、このモジュールによってOS再起動が行われます。本連載ではhangcheck-timerの設定および確認については特に触れません。詳しい説明については、OSマニュアルまたは「Oracle RAC インストレーション・ガイド」を参照してください。


時刻同期について

   Oracle RACを構成するすべてのサーバでは同じ日時に設定されている必要があります。同じ日時の設定を行うには、すべてのサーバで同一のNetwork Time Protocol(NTP)サーバを参照するといった、OSのNetwork Time Protocol(NTP)機能を使用する方法などがあります。

   Oracle Database 10g Release 2からOracle RACを構成する各サーバの日時が異なるとインストール時にエラーが発生しますので注意してください。本連載では時刻同期の設定および確認については特に触れません。詳しい説明については、OSマニュアルを参照してください。

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日立システムアンドサービス 熊川 哲也
著者プロフィール
日立システムアンドサービス  オープンソリューション本部
カスタマサポートセンタ   熊川 哲也

Oracle Ver 6 の頃からOracle製品に携わり、Oracle製品のサポートおよびビジネスパートナーへの技術支援などの業務に従事している。プロフェッショナルとして、お客様やビジネスパートナーの期待に応えるサービスを提供できるよう常日頃から心がけている。


INDEX
第2回:押さえておくべき基本設定
  はじめに
  サーバのソフトウェア設定について
  リソースの設定について
リモートシェルの設定について
最大限の可用性とスケーラビリティを実現するOracle RAC
第1回 Linux上で利用するOracle RACのメリット
第2回 押さえておくべき基本設定
第3回 Oracle Clusterwareのインストール
第4回 Oracle Clusterwareインストール後の設定と確認
第5回 Oracleソフトウェアのインストールと設定
第6回 サーバダウン時のOracle RACの可用性
第7回 Oracle RACのパフォーマンスチューニング
第8回 Oracle RACコンポーネントの管理
第9回 Oracle RACのノード追加手順
第10回 Oracle RACの拡張機能と更なる進化

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