第8回:そもそもSE、プログラマってどんな人? (1/2)

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第8回:そもそもSE、プログラマってどんな人?

著者:システムクリエイト  田中 徹   2005/1/14
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   開発を実際に行うSE、プログラマというのはどんな人たちで、どんなことを考えながら設計・開発を行うのでしょうか?また、性格的なことは人それぞれですが、仕事に対する姿勢はどのような感じなのでしょうか?

   本屋さんなどでよく「SEの実態」や「プログラマってこんな人」というタイトルの本を目にすることがありますが、こういった本は技術者をやや揶揄的に表現したものが多く、鵜呑みにはできないものです。

   発注側からみた「SE・プログラマといった技術者とはいったいどういう人なのか」をまとめてみました。


SEってどんな人?

   SEやプログラマというと、どういう人を想像するでしょうか?コンピュータにはくわしいが人と話すのが苦手…。理数系で頭が固い…。そういう人も確かにいます。 しかし今SEに求められているのは、IT技術はもちろんですが、コミュニケーション能力です。いかにお客様の要望を聞き出すかということに目が向けられています。

   開発環境、処理速度、データベースなどの発達により、したいことのほとんどが実現できる状況にあります。お客様の要望を満たすシステム開発とは、いかに要望を聞き出すかということです。ヒアリングスキルこそ開発会社が優秀な人材として求めているSEであり、できるSEの第1条件となっています。


発注担当者

   ヒアリング能力とは、ただ「聞き上手」では勤まりません。高度な技術スキルの裏付けがあって、よりよい方向へと導きながらお客様の要望を聞き出します。たとえば「こういうことはできますか?」と言われれば「はい、ここをこうすれば、実現できます。でも、この機能をもっとこうすれば、より使いやすいシステムになりませんか?」と答えるのが理想であり、SEは答えたいと思っています。

   データベース、回線速度、PCの環境などのハードを中心とした性能の限界があっても、すぐには「無理です」とか「できません」と言わず、他の方法を探りながら要望に答えようとして方法を模索します。

   SE各個人にはスキルの差がありますが、SEは自分のレベルがどの程度か案外正確に知っていますので、自分だけでは解決できないときでも、他に聞いたり、書籍やインターネットで調べたり、当たり前の努力は怠りません。とは言え、やはり「ハズレSE」も存在します。


プログラマってどんな人?

   プログラマを表現するのに、「何年生」とか、「経験何年のプログラマ」という言い方をよくします。プログラマとしてどれくらいスキルがあるのかを表す表現なのですが、同じ経験年数のプログラマにも個々で差は出てきます。
   プログラマが目指すタイプには、「経験を積んでスキルを身に付け、リーダとしてワンランク上のSEを目指そう」という人と、いわゆるオタク系と呼ばれ「プログラミング技術だけを追求する」人などがいます。
   オタク系プログラマという言い方は悪いほうに使われがちですが、プロジェクトに必要な人材でもあり、そういう人しかできない分野の仕事もあります。

   プログラマがSEと呼ばれるにふさわしくなるためには、(1)プログラミング技術の向上、(2)詳細設計書(プログラムデザイン)が書けるようになる、(3)オブジェクト指向などの開発手法(発注者のあなたはこれについて知らなくても構いません)を理解し、身につける、(4)人数とプログラム本数で工数管理ができる、(5)共通コード体系やサブシステム分け、サブシステム間の整合性などの設計ができる、(6)他のシステムを含めた基本設計ができる、(7)ユーザーとの折衝(コミュニケーションスキル)ができる、(8)開発工数が見積れる、というように段階を踏んで行きます。

   かなり大雑把な書き方ですが、このようにSEは成長していきながら日々新しくなる環境、ミドルウェアなどの知識を吸収しています。打ち合わせや折衝の場に慣れない技術者が同席していたら、見習いSEと思って、あたたかい目で見てください。

   一方、オタク系プログラマと呼ばれる技術者の場合は、黙々と仕事をすることに慣れていて、しかも、非常に細かいというか、誰もやりたがらないようなプログラムの開発でもこなせます。研究色の強いプログラミングや、システムのネックとなりそうな処理速度やデータベースなどの限界点などを独自で開発・調査したりします。また、完璧ではないOSやコンパイラのバグを見つけるのも、こういうタイプの技術者に多いのです。


ネットワーク技術者

   規模が大きなシステムではプロジェクトの人数も多くなり、専門分野の技術者も参加しています。特にその分野にくわしく、SEまたはプログラマが兼任することもありますが、それ専門という人もいます。
   まず、ネットワーク技術者というプログラマでもない、SEでもない人がいます。ネットワーク全体の設計や運用・調査などを担当します。業務の詳細については多岐にわたるので割愛しますが、規模によってはなくてはならない担当です。

   PCでのシステム開発は、最初はPC1台だけでプログラムを組むことが主流でした。ネットワークが組めないからです。ですから大規模のシステムは汎用機に任せていました。その後PCのOS、マシンの性能アップに伴い、クライアント/サーバーシステムを代表とする、複数台のネットワーク構成ができるようになり、今ではWeb環境というネットワークが主流になっています。

   Web環境にPCでのLANを組み合わせて複雑な環境を構築するためには、やはり専門の技術者が必要になってきました。以前は技術者の資格と言えば、情報処理技術者の1種、2種、特種などを指していましたが、ネットワークスペシャリストの場合、メーカーなどの企業による認定資格取得者が求められるようになりました。理由は即戦力になるからです。

   CISCO社のCCNAやCCDA、CCNAの上位資格であるCCNPまたMicrosoft社のMCP、MCSE、Linuxでは欠かせないLPICなど即戦力になる資格があります。案件単位でネットワーク技術者を募る場合、即戦力、見合ったスキルの判断基準は「CCNA以上の資格取得者」というような表現を使うことが多く見受けられます。


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著者プロフィール
システムクリエイト有限会社  田中 徹
代表取締役。1963年生まれ。MS-DOS時代から、汎用機−PCでのデータ送受信を行ってのチャート(金融業)、表・グラフ描画(財務系)などのシステム開発を行う。 社内人事管理(勤怠・人材活用)、流通業、制御系の分野や集計業務なども手掛ける。ソフトウェアハウスや大手開発会社まで多数の現場で開発を経験し、33歳で独立。現在は各業種・分野でSEとして、またシステムコンサルタントとして活動中


INDEX
第8回:そもそもSE、プログラマってどんな人?
SEってどんな人?
  データベース技術者
だからあなたの会社のシステムは動かない
〜システム発注担当者の悩みを解決します〜
第1回 システム発注担当者の苦悩
第2回 システム開発の流れ
第3回 開発形態と開発会社の規模による違い
第4回 見積もりについて
第5回 発注側の体制・社内体制を整える
第6回 発注担当者に必要なもの(1)〜業務知識とIT知識、業務フロー〜
第7回 発注担当者に必要なもの(2)〜社内調整、SEとの付き合い方〜
第8回 そもそもSE、プログラマってどんな人?
第9回 さあ困った 〜その時発注担当者がするべき事は〜
第10回 本番に向けてのテスト
第11回 先達に学ぶ 〜トラブル事例紹介〜
第12回 よりよいシステムにするために

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