第40回:「職場のいじめ」エンジニア的対策マニュアル

第40回:「職場のいじめ」エンジニア的対策マニュアル
IT転職百科事典

第40回:「職場のいじめ」エンジニア的対策マニュアル
編者:Tech総研  2007/8/22
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Part1 エンジニアの職場の「いじめ」の実態
エンジニアのいじめは多い?少ない?
グラフ1:あなたの職場に「いじめ」はありますか?  いじめ、とりわけ職場でのいじめの定義は実に幅広いものだ。例えば、ちょっと怒鳴っただけで猛烈なプレッシャーになる人もいれば、何も感じない人もいる。極論すると、いじめかどうかは、その人がどう受け取ったかによるともいえる。

 たとえ当事者にならなくても、同じプロジェクト内や、連携を取る必要があるチーム内でいじめがあるのは、エンジニアにとってやっかいだ。関係ない、ですませようとしても、「プロマネとリーダーが一緒に外出したとき、何かの拍子でもめたらしく、プロマネが怒ってしまった。リーダーがプロマネから無視されるので、下のプログラマは迷惑している」(38歳/品質管理・生産管理)とプロジェクトの進行や生産性に波及するようになれば、他人事ではすまされないはずだ。
 まずエンジニアの職場は、いじめが多いのか少ないのかみてみよう。Tech総研がエンジニア300人を対象に行ったアンケート調査によると、職場にいじめがあると答えた人は全体の33.3%(「頻繁にある」「ときどき」「たまに」の合計)だった(グラフ1)。
 財団法人21世紀職業財団が、2004年、農林業を除く全業種を対象に実施した調査では、「パワーハラスメントがある」職場が34.2%、「その他の職場のいじめ・嫌がらせがある」が28.0%。エンジニアの職場におけるいじめも、一般的な傾向とほぼ同じ割合で起こっていることがわかる。
誰が誰をどんなことでいじめている?
「どんな行為が行われているか」という質問への回答はさまざまで、いじめに対する見方が人によって大きく異なることがわかった。「メタボリックな人の腹をつかんでいる」(30歳/運用・保守)のをいじめととる人もいれば、「昼食に誘われない」(27歳/回路・システム設計)のをいじめと感じる人もいる。あるいは、「上司がお気に入りしか連れて歩かない」(39歳/運用・保守)のをパワハラと受け取ったり、「指示どおりできなくて、年下からきつく言われる」(25歳/システム開発[WEB・オープン系]) ことをいじめとみなしたり。もちろん、「作ったプログラムを消された」(33歳/システム開発[マイコン・ファームウェア・制御系])、「机に消臭剤を置かれた」(31歳/機械・機構設計、金型設計)といった明らかないじめも少なくない。

 では、どのような図式でいじめは起きているのか、みてみよう。グラフ2を参照いただきたい。「誰が誰をいじめているのか」の設問に対する回答で多かったのは、トップが「上司が部下を」の62.0%、次いで「先輩が後輩を」の42.0%、そして「同僚エンジニア同士」の31.0%だった。強い者が弱い者をいじめるという、いわゆるパワーハラスメントの傾向は、エンジニアの職場でも強いようだ。
グラフ2:誰が誰をいじめていますか?
能力の差がわかりやすいエンジニアの職場
 興味深いのは、これらベスト3に続き、「部下が上司を」と「後輩が先輩を」という答えが同率で4番目に多かったこと。いわば“逆パワハラ”のケースが少なくないのだ。

「パワーハラスメント」という言葉の生みの親で、職場のいじめ防止対策に関するコンサルティングや講演活動を行っているクオレ・シー・キューブ代表取締役社長の岡田康子氏は、次のように分析する。
「エンジニアは、ほかの職種に比べると商品力や事業力より個人の能力が問われる世界。能力レベルがわかりやすいため、能力がないと上司でも先輩でもいじめの対象になりやすいのではないでしょうか」

 たしかに、いじめの当事者か第三者かにかかわらず、技術レベルの低さをいじめの原因に挙げる意見は比較的多く散見された。「年の割には仕事を知らない」と、いじめの原因を答えてくれたのは、32歳のネットワーク設計・構築(LAN・Web系)のエンジニア。また、35歳のエンジニア(生産技術・プロセス開発)は、「技術レベルが低いので議論にならずにみんなに無視される」という。「スキル重視の職場では、スキルが低い人をバカにする傾向があり、協力する気持ちがない」(35歳/品質管理・生産管理)と、はっきり指摘する回答もあった。営業や事務など一般的な職種に比べ、スキルの有無がいじめにつながりやすいのがエンジニアの職場の特徴、ということができるかもしれない。
岡田康子氏
株式会社クオレ・シー・キューブ
代表取締役社長
岡田康子氏
リクナビNEXT エンジニアの職場はいじめが起きやすい職場なのだろうか、それとも起きにくい職場なのだろうか。アンケート結果を元にした現状と対策を報告する。  続きはこちら>>

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