第32回:最先端技術を駆使する外資系サポートエンジニアの実力

最先端技術を駆使する外資系サポートエンジニアの実力
IT転職百科事典

第32回:最先端技術を駆使する外資系サポートエンジニアの実力
編者:Tech総研  2007/6/20
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はじめに  外資系ベンダーでは「サポートエンジニア」職に先端技術が集まる
セールスサポート、カスタマーサポート、プロダクトサポート、アフターサポート等々、実は「サポートエンジニア」として分類される職域は幅広い。いずれも営業活動や製品の安定稼働を技術で支援する仕事だが、ベンダーとして顧客とかかわる範囲は広く、どのプロセスで活躍するかによって、職種名と仕事内容が変わるのだ。そして「サポート=support=維持・支援する」という言葉から、営業職や開発職と異なりあくまでも付随的な役割をイメージする人が多いだろう。さらに、ごく簡単な保守サービスを担う職種もサポートエンジニアに含まれることから、一般に開発職よりも技術レベルで劣るというイメージがあるのではないか。

そのため転職市場の最前線において、サポートエンジニアに関する採用側と応募者の間で、職種認識のミスマッチが起きている。特に外資系ベンダーにおいて顕著である。実際は多くの企業が、開発職に匹敵する高いスキルを求めているのだ。他方の応募者側の目には、サポートエンジニア職がキャリアに見合った仕事内容、待遇、技術的な刺激があるポジションに映っていない。

そこで、シスコシステムズとサン・マイクロシステムズという外資系人気企業2社を例に、改めて外資系ベンダーにおけるサポートエンジニアの真のミッションとやりがい、その技術レベルについて検証してみよう。
検証事例1: シスコシステムズでは、ソースコードにアクセスできる限られた職種
シスコシステムズは、エンジニアにとってもはや説明の必要がない、IPネットワークを構成するスイッチやルーターの世界トップメーカー。常に世界最高水準のIP機器を世に送り出すと同時に、インターネットがもたらす新たなソリューションを提案し続けている企業である。そんなシスコにおいて、サポートエンジニアはどのような役割を担っているのだろうか。採用部門のマネージャである長谷部氏に伺った。

シスコの最先端=IPの最先端、シスコのサポート技術とは

シスコにおいてサポート職は何を担い、どのような人材が集まっているのだろうか。長谷部氏は次のように語ってくれた。

「シスコでは障害対応時に必要なナレッジをWebでユーザーに公開し、サポートプロセスの自動化を図っています。このツールによって、ほとんどの障害はユーザーサイドで容易に解決できるようになりました。それでも時として解決が図れない問題が発生します。顧客が従来のネットワーク資産を生かしながら、継ぎ足しでシスコ製品を導入した場合などは、われわれが想定していない障害が起こり得るのです。
長谷部 亘氏
シスコシステムズ株式会社
人事本部HRマネージャ
長谷部 亘氏
そうした場合などにおいて、最終的に対応するのがテクニカルサポート職です。障害の中には製品のバグが原因ということもあります。そんなときは、ソースコードを見たり、不具合の解消を米国の開発エンジニアと協議したりもします。IPの最先端といわれるシスコの最先端テクノロジーが集約された、OSのソースコードを見ることを許された国内でも数少ない存在……このことだけでもサポート職の重要さと技術レベルの高さをわかっていただけるでしょう。もちろん、相応のスキルが求められますし、こうしたミッションをすぐにこなせる人材の採用は難しいですね。実際の採用活動においては、IPに関する何らかの技術に精通したシニアレベルの方、もしくはポテンシャルを秘めた方を状況に合わせて求めています」

多くのCCIE取得者に混じってスキルアップが図れる環境

「実際のサポートチームは精鋭ぞろいですね。CCIEを取得しているエンジニアが数多くいます」。
長谷部氏はこう切り出してサポート部門を紹介してくれた。CCIEとは、言うまでもなくシスコ認定資格の最高峰。世界で通用するネットワークエンジニアのプレミアムライセンスである。

「現実のミッションとCCIEの内容がリンクしていることが多いので、資格は単なる“ハク”ではなく、必要となるスキル標準と言えるかもしれません。
言い換えれば、CCIEの取得を目指すなら国内で最も望ましい環境と言えるでしょう。社内には顧客のほとんどの環境を再現できるラボがあり、多くの実例に触れられます。またWebで世界中のケーススタディを参照することも、それどころか世界中の同僚と電話やメールでコンタクトを取ることも可能です。日本のサポートエンジニアが解決した事例が海外から参照されることも少なくありません。ISPへのサポートなどに関しては日本が進んでいますので、自分たちが得たナレッジが世界中で共有されるものとして残ったりしています。IPの最先端で、今、何が起きているのかを目の当たりにすることが可能なのです。また、各種トレーニングメニューが社内ネット上で公開されているので、自らプランを立てて学べる環境も整っています。シスコのサポートエンジニアは、IPにおける最高度のスキル獲得を果たせるポジションと言えるでしょう」


リクナビNEXT 次にサン・マイクロシステムズのカスタマーサポートは特別なポジションにあるという。同社のサポートエンジニアの真のミッションとやりがい、その技術レベルについて検証を続けていこう。
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