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ITILを活用したシステム管理
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ITILを使ったサービスのすすめ
著者:日本ヒューレット・パッカード  池田 利明   2006/5/25
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サービスの枠

   それでは、なぜそのような細かいことまでITで処理しなければならないのでしょうか。

   例えば、Exchangeなどを使った電子メールサービスというのはもう当たり前になってます。多くの人は、出社したらPCを立ち上げて、メールがいくつ来てるかを必ずチェックしているはずです。この作業は、決して他に比べて優先度を低くはできません。

   そして、このメールというツールをどんなサービスに利用しているかというと、やはり業務や運用を短期間で済ませたり、時間や距離を縮めたりするためのツールとして利用しているはずです。つまり、メールは業務アプリケーションの1つになっているわけです。上司の了解を得るためにメールを送ったりと、特定の人にメールをだしたりすることが「承認」というプロセスの1つになる場合もあるでしょう。

   このように、メール1つを取っても非常に広範囲で利用されていますが、メールサービスがもし止まってしまったらどうするのでしょうか。「自分のメールのバックアップは取っているのか」「3ヶ月前に送ったものがすぐ見られるような状態になっているのだろうか」ということまで考えると、メールというサービスの枠はとても大きくなってきます。


ITサービスのレベル管理

   例えばHPでは、メールのバックアップというのは毎日行っていますが、保存は何日と決まっています。それが上司の承認を得るメールか、あるいはより大きなビジネスの承認を得るためのものか、内容については判断していません。

   しかし業務プロセスの中にメールを組み込もうとした場合、経理上では最低3年は保存しないといけないという決まりがあります。そんな場合は、経理上の規定に抵触しないように、アプリケーショーンサイドでメールをきちんと管理することが必要になってきます。

   このような場合にどうすればよいのかといったことがITILに書いてあるわけではありませんが、ユーザが業務として使うものと、ITが提供するメールサービスが右往左往しているときに、「それをどうしたらいいかを考えるのは、お客様ではなくITの部門ですよ」ということが書いてあります。

   「メールは何日しか保存しないけど、業務上は3年間必要」という場合は、メールをどこかに保存しておくことが必要になるわけです。このようなことをITの部門からしっかり提案していく、あるいはITの部門でサービスとして捉えていくことが1つの大きなポイントになります。それがITサービスの概念であり、ITサービスのレベルを管理するということなのです。


お互いの納得を得る

   お客様であるエンドユーザが自分でメールを管理するのであれば、ITサービスはメールを常時利用できるようにするだけでよいわけです。もし「特定のメールは3年間保存してほしい」というユーザ側からのサービス要求があれば、「それについてはIT側で提供します。そのかわり、オプションサービスとなるので、これだけのコストがかかります。そのコストに見合ったものを予算化してください」とサービスへの対価を要求する必要があります。そして、「3年間保存するためには、このような仕組みを作りますよ」という説明をして、お互いの納得を得ることが、サービスレベル管理ということになります。

   ITILには、その点について「このようにやっていますよ」という事例を書いてあるだけで、「何かをしなければならない」と押し付けてはいません。「ITを利用することでビジネスにどんな利益を与えるかを考えて、そのために制約事項があれば、その制約を1つずつ取り除く。そのためにオプションとして様々なサービスを付加していこう」というのが、ITILの大きなポイントとなります。

ITサービスレベル管理の概念
図3:ITサービスレベル管理の概念

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日本ヒューレット・パッカード 池田 利明
著者プロフィール
日本ヒューレット・パッカード  池田 利明
日本HPにてSE部フィールド・エンジニアやAEO本部システム教育エンジニアを経て、カスタマ・トレーニングセンターのマネージャー、PSO本部人材開発マネージャー、情報システム本部ユーザーサポートセンターのマネージャーと、さまざまな部署のマネージャーを勤める。現在はHPサービス・グローバル・プログラム・マネージャーとして活躍。また、(社)企業情報化協会のテクニカル・アドバイザーや、NPOのHDI Japanのシニア・アドバイザーもかねている。

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