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コンプライアンスの証明のためのデータ保護
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最近、企業活動において、法令などを守ることを意味する「コンプライアンス(法令遵守)」という言葉をよく耳にします。米国ではエンロンやワールドコムといった企業による巨額の不正会計操作等の不祥事を教訓にして、米国政府や米国証券取引委員会(SEC)などによる、企業活動によって生じる情報の公開や一定保存を義務づける様々な法令が制定されてきました(表3)。
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- 米国企業改革法(Sarbanes Oxley Act)
- 株主と一般社会に対する企業管理責任の明確化
- 米国証券取引委員会(SEC)規則 17条 a-3&4
- 電子メールによるデータ保存に関する規則
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表3:情報公開に関する法令の一例
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特に米国企業改革法は略してSOXと呼ばれ、その対策費は、Y2Kの対策費を上回ったと言われているほどの影響を米国企業に与えています。
SEC規則では上場企業は送受信された電子メールを3年間保存する義務が課せられ、違反した場合には多額の罰金とその後の業務改善案の提出が求められます。
日本では、米国ほど法整備が進んでいたわけではありませんが、プロバイダや大学、企業などに最長で90日間の電子メール保存を要請できる、メール履歴保存要請の為の刑事訴訟法の改正が議論されるなど、電子メール保存の義務化の流れがあります。
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目前にせまる電子文書法と個人情報保護法の施行
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そして、日本では2005年4月から電子文書法および個人情報保護法が施行されます。今までもIT書面一括法などに代表される、文書のデジタル化の流れはあったのですが、電子文書法により、民間に保存が義務づけられている文書の電子保存を認める統一的な法律が施行されることで、今まで「紙」ベースの書面で保存されていたものが、電子データへの保存へと移行されることでしょう。紙と電子データの両方で持っていたのが、一本化されるということは、そのデータ保護が重要であることは言うでも無いことです。
法律の世界でも、民事訴訟等において、電子データが「紙」ベースの書面と同様の証拠能力を持つようになってきており、裁判等で電子メールを含む、各種データの記録提出が要求されるようになると思われます。
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電子文書法とは?
「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」を略して電子文書法、別名e-文書法とも呼ばれている。2004年11月に制定され、2005年4月より施行。
帳票類や財務諸表、取締役委員会の議事録など、商法や税法で企業に保存が義務付けされている文書について、電子化された文書ファイルでの保存が認められ、スキャナーで紙文書を読み取った画像についても、一部原本として認められるようになった。これにより、企業間商取引の電子化がいっそう推進されると思われる。
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著者プロフィール
バックボーン・ソフトウエア株式会社 青木 浩朗
ストレージ専業ベンダーにて、SEおよび企画を担当した後に、2001年にBakBoneSoftware入社。主に大手ベンダーのSEを担当しながら、テクニカル・マーケティングとして、各種講演や執筆活動を行っている。最近は、特にデータベースとクラスタリングに注力し、検証レポートを作成するのをライフワークとしている。
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