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BIの現状と今後
第4回:BIの将来展望
著者:
野村総合研究所 城田 真琴
2006/4/6
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Netezza Performance Server
Netezza Performance Server(NPS)は、サーバ+ストレージ+RDBMSを一体化したDWHアプライアンスであり、そのウリは従来の他社製品(Oracle、IBM、NCR/Teradata)に比べ、「パフォーマンスが10〜50倍、価格は半分」であり「設置、インストールも24時間以内で完了」という点である。
NPSでは、表2あげたこれまでのDWHが抱える問題に対して、以下のような回答を用意している。
簡易性
DWHに限らず、
アプライアンスという形態は一般的に設置や管理などの取り扱いが家電なみに容易であることが特徴
である。NPSもその例にもれず、搬入後から1〜2日以内に利用可能であり、システムがDBパフォーマンスを自動調整するため、チューニングもほとんど不要であるという特徴を持つ。
また、SQL/ODBC/JDBCなど業界標準のインターフェースが利用可能であるため、既存のアプリケーションやツールをそのまま使うことが可能である。
高パフォーマンス
NPSのアーキテクチャを次に示す。
図3:Netezza Performance Architectureのアーキテクチャ
出所:日本Netezza
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
NPSのパフォーマンスのキーとなっているのは、「Asymmetric Massively Parallel Processing(非対称型超並列処理)」とよばれるアーキテクチャとSPU(スニペット・プロセッシング・ユニット)とよばれるディスクドライブ、市販のCPUとFPGA(Field Programmable Gate Array)から構成されるクエリの処理ノードである。
クエリの処理は、複数のSPU内でIntelligent Query Streamingという独自技術(複雑なクエリをストレージの物理速度に近い速さで高速処理する技術)を用いて同時に行われる。SPUでSQLを処理することにより、クライアントから要求を受け付けてSQLを解析する部位(SMPホスト)の負荷の軽減を実現している。また、SPUは必要なデータのみをSMPホストに返すため、ローカルネットワークで流れるデータ量は少量であり、SMPホストの処理も軽量となる。
低コスト
NPSではSMPホストに2〜4CPUのLinuxサーバを使用し、DBMSはオープンソースをベースに開発されている。このため従来の同機能のDWHに比べて、初期導入コストは半分程度で済む。
また運用コストの面でも、Netezzaではハッシュを使用したテーブルの初期分散設計とテーブル統計情報の更新のみが必要であり、既存のDBで必要とされる「テーブルサイズの設計」「Extentの設計」「インデックス管理」「DBの管理」などは不要となるため、大幅なTCOの削減が期待できる。
ここではNetezzaが提供するNPSを例にDWHアプライアンスについてみてきたが、その謳い文句だけを見ると非常に魅力的に映る。しかしながら、これまでの技術とはまったく異なる技術で構成されていることから、導入の際には十分にパフォーマンスや管理面などの検証を行うことが必要である。
日本Netezza社では、NPSのパフォーマンス・管理性を検証する評価プログラムを無償で提供しており、導入を検討しているユーザは積極的にこうしたプログラムを利用すべきであろう。
先に導入が進んでいる米国では、通信事業者のCDR通話履歴分析やeビジネス企業のクリックストリーム分析などで使用されている事例が報告されている。どういったシーンで利用するのが適切なのか、可用性なども含めて慎重に検討することをお勧めしたい。
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著者プロフィール
野村総合研究所 城田 真琴
IT動向のリサーチと分析を行うITアナリスト。大手メーカーのシステムコンサルティング部門を経て2001年、野村総合研究所に入社。専門は、BIの他、SOA、EAなど。最近はSOX法対応ソリューションのリサーチを手がける。著書に「EA大全」(日経BP社)、「2010年のITロードマップ」(東洋経済新報社)(いずれも共著)など。
INDEX
第4回:BIの将来展望
はじめに
スケーラビリティ
Netezza Performance Server
RFIDが促進する新たなDWH/BI需要