サーバベンダーのイメージ評価

2006年8月2日(水)
伊嶋 謙二

差別化が困難なハードウェア、どこにアドバンテージをとるか

近年サーバについて製品機能的な差別化をはかることは困難となり、全体的な傾向としてはハイスペック化が進みつつ、低価格化も同時に進行している。 かといって、「安ければ売れる」というわけでもない。そこには営業/製品/サポート/価格など多方面において白眉と評されること、つまり「総合力」というのが最大のキーワードとなることに間違いはなさそうだ。

以下で9つの項目ごとにサーバベンダーがどう評価されているのかを見てみよう。イメージ評価の結果とシェアの関連については一概に結論付けることができないが、「第1回:サーバの導入動向から見るIT投資動向」で紹介した設置サーバベンダーシェアと関連付けて見てもらっても参考になるだろう。


図1:設置サーバベンダーシェア(2000年〜2006年推移)再掲

1. ユーザニーズの把握

ユーザニーズの把握では、「的確なユーザの要望や課題を把握した対応力」について聞いている。期待度はIBM(3.48)、NEC(3.44)、富 士通(3.37)の順で高く、満足度もIBM(3.19)、NEC(3.18)、富士通(3.14)の順で高い。乖離指数ではHPが0.14で最も良い。

2. ソリューションの提案

ソリューションの提案は、「箱物を売るのではなく、きちんとしたソリューション提案をしてるか」について尋ねている。期待度はIBM(3.42)、 NEC(3.40)、富士通(3.32)の順で高く、満足度もIBM(3.22)、NEC(3.16)、富士通(3.14)の順で高い。乖離指数ではHP が-0.02でもっとも良い。


サーバベンダー評価・ソリューションの提案
図2:サーバベンダー評価・ソリューションの提案


   図2はデータをグラフ化したものであるが、前段で説明したように基幹系業務システムに強いサーバベンダーが高いイメージ評価を得ていることがわかる。

3. 営業マンのスキル

この項目は、「営業マンのスキルの質」についてどう感じているかを評価してもらった。期待度はIBM(3.33)、NEC(3.33)、富士通(3.25)の順で高く、満足度はIBM(3.19)、NEC(3.12)、富士通(3.08)の順で高い。乖離指数はHP、デルが0.01で良い。HP とデルは期待度、満足度とも低い数値となっているのは、冒頭で述べたように中堅・中小企業の基幹系システムでの出現率や提案の相対的な低さが影響してい る。

この両社は中堅・中小企業の基幹系システムを担当するIT部門において、営業マンと接する機会も少なく「少し遠い存在」のために、結果として期待 度、満足度とも低い数値になっているということだ。ただしハードウェア(インフラ=サーバ)のみを導入するというケース(SIなし)は非常に増えつつある のも事実である。

4. 柔軟な価格交渉

柔軟な価格交渉とは、「ユーザの要望に応じた価格の柔軟性」の高さを示している。期待度はNEC(3.44)、富士通(3.37)、デル(3.36)の順で高く、満足度はNEC(3.10)、デル(3.10)、HP(3.00)の順で高い。乖離指数ではHPが0.20で最も良い。

5. SEのスキル

この項目は営業マンのスキルの項目と同様に、「SEのスキルの質」について聞いている。期待度はIBM(3.55)、NEC(3.48)、富士通(3.40)の順で高く、満足度もIBM(3.29)、NEC(3.22)、富士通(3.17)の順で高い。乖離指数ではHPが0.12で最も良い。

有限会社ノーク・リサーチ

1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどを プラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関す るリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設 立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/

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