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ユーザ企業によるRFP作成奮闘記
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第1回:オープンソースとの出会い - それは一冊の本だった
著者:日本軽種馬登録協会   岩元 正文   2006/7/6
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はじまりは突然にやってくる

   1994年10月、ロンドンで国際血統書委員会による国際会議が開かれた。国際血統書委員会とは、サラブレッドの国際定義や血統書の承認など行うところで、日本をはじめ英国、フランス、アメリカ合衆国、オーストラリア、インドなどの世界の競馬先進国代表がメンバーになっている。

   この国際会議において「血統書へのインターネットの活用」が議題にあがった。

   血統書とは「Stud-Book(スタッド・ブック)」といわれるものである。繁殖入りした雌馬の繁殖成績を産年順に、産駒がある場合には性別/毛色/馬名/父馬名/生産者、産駒がない場合には不受胎/流産などを記録したものである。

   血統書の掲載スタイルは、1791年に英国のウェザビーズ社がはじめて発行した英国血統書(ジェネラル・スタッド・ブック)序巻にならったもので、世界のサラブレッドを生産する国々の手本となっている。
英国血統書
図1:英国血統書

   現在でも輸入された種雄馬をリストに掲載することが血統書を承認するための国際要件の1つであり、サラブレッドを生産する国々は同じ内容の血統書を発行することが求められている。

   そしてこの血統書にその母馬の繁殖成績(出生の記録)として記録されてはじめて、オフィシャルに内外を通じてサラブレッドとして認められ、競走馬としてデビューしていくのである。

   具体的には国際的な登録の基準、手続きなどに即して、各馬の血統調査、個体識別(性別、毛色、白斑などの先天的な特徴、2007年産からは動物用RFIDも導入される)、DNA型検査による親子判定を行い、血統登録証明書が当該馬に発行され、サラブレッド血統書に掲載されることになる。

   この血統書は1941年の第1巻発刊から2003年に至る70年間で計19巻発刊されており、そのデータの量は70万件にのぼる。また年に約3万件のデータが追加されている。

当協会のサラブレッド血統書
図2:当協会のサラブレッド血統書

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財団法人 日本軽種馬登録協会
「軽種馬の登録を行い、軽種馬の改良増殖及び資源の涵養並びに競馬の公正な施行に資すること」を目的に設立され、各馬の血統調査、個体識別、科学的技法による親子判定を行い登録しています。登録された馬にはそれぞれの登録証明書が交付され、様々な場所で個体の確認に活用され、競馬の公正な施行や血統の保持に役立っています。

インターネット血統書データベースサービス(フルオープンソースのシステム)
馬名、輸入馬、繁殖成績、血統登録、五代血統表等の最新の公式情報を提供。保有するデータベースは70万件を超え、毎年約3万件が追加されています。
URL:http://www.studbook.jp/

日本軽種馬登録協会  岩元 正文氏
著者プロフィール
財団法人 日本軽種馬登録協会   岩元 正文
情報システム部 部長
基幹業務である軽種馬(けいしゅば)生産地での事務所勤務を経て2001年から現職。日頃から基幹業務部門での経験を情報システム部門で活用すべきであると考えている。現在は、効率的な運用を目的とした各種の標準化推進、動物用RFIDに関連した応用研究などに取り組んでいる。


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第1回:オープンソースとの出会い - それは一冊の本だった
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  迫られたインターネットの活用
  ホスティングサービスが運用コストの壁を壊した