ws_rmサンプルを試す〜オープンソースソリューションのこれから
オープンソースプロジェクトの集約
オープンソースをベースに製品を作ることのメリットは再利用にあります。Celtixが Apache Software Foundationに移ったということの理由の1つには、もちろんメジャーな市場で勝負するということもありますが、各種プロジェクトをうまく統合し、 様々な技術を再利用できることも大きなポイントとなっています。
例えばCeltix Enterpriseでも、従来のCeltixとCodehausのXfireが統合してApacheインキュベータのCXFを作り、それをサービスエンジンのコアとして利用しています。
アイオナは大企業ではありませんが、オープンソースによるESB関連ソリューションのコモディディ化を目指し、新しいビジネスモデルの創出を戦略と しています。その取り組みの1つとして、エンジニアリングの開発リソースの25%が次のようなオープンソースプロジェクトに参画しています。Celtix Enterpriseもこの一環として、リリースすることができるようになったのです。
- Apache Incubator CXF (Services Framework)
- Eclipse SOA Tools Project (Services Tooling)
- Apache Incubator Yoko (CORBA)
- Apache Incubator Tuscany (SCA)
- Apache Incubator Qpid (AMQP)
- Codehaus Xharness (Testing Tools)
Celtix Enterpriseは「Celtix Advanced Service Engine(ASE)」と「Celtix Advanced Messaging」の2つの製品を組み合わせたスイート製品になります。Celtix Advanced Service EngineはCXFをコアにしたESBの機能を提供します。またCeltix Advanced Messaingでは、金融サービスのエンドユーザなどが中心になって策定している、JMSではカバーできない信頼性の高い基盤を目指した 「AMQP(Advanced Message Queuing Protocol)」の仕様を実装したものです。

図2:Celtix Enterpriseコンポーネント
Celtix Enterpriseは、TomcatやJavaEE、JBI、Springをコンテナとし、今後も各種コンポーネントをプラグインアーキテクチャによっ て追加していきます。また、従来のCeltixでサポートしていたルーティングやトランスフォーメーション、Javascript、E4Xなどのダイナ ミックプログラミング言語によるアプリケーション開発も引き続きサポートします。
さらに今後は、CORBAによるトランスポートのApacheインキュベータ「Yoko」の統合をはじめ、Eclipse SOA Tools Platform(STP)プロジェクトやApacheインキュベータTuscanyの「SCA(Service Component Architecture)」の成果を吸収していく予定です。
オープンソースであるCeltix Enterpriseが「製品」であるという所以は、このようなコンポーネントの組み合わせ以外の各種サービスにあります。たとえば、通常の商用製品と同 様にCeltix Enterpriseのドキュメントを開発して、公開しています。
オープンソースであるためインシデントベースの敷居の低いサービスを追加し、商用製品と同様の24時間サポートを含むサポートサービスを提供してい ます。プロフェショナルサービスも提供しているため、アプリケーションの開発サポートも可能となっています。ただし、日本国内でのサービスの提供について は個別にお問い合わせいただく必要があります。
オープンソースのムーブメント
ソフトウェアのライセンスの販売を生業としている業界では「オープンソースによるビジネスが本当に成り立つのか」という疑問の声が多く聞こえます。 当然ながら、オープンソースをベースにしたサービスの市場が簡単に大きくなるとは思えません。しかし商用製品の開発を見た際に、今現在でもすでにオープン ソースをベースにしていたり、コンポーネントとしてオープンソースが組み込まれています。
その意味では、オープンソースへのムーブメントはクローズソースの世界から出てくる可能性もあるのではないでしょうか。仮にクローズソースの製品の 内容の50%以上がオープンソースを基に作られていれば、巷のオープンソースと何も変わらないということになりかねません。
現在のオープンソースへの依存傾向はラインセス販売をする側の製品開発にも有効であり、今後しばらくは継続すると思われます。その間に市場がどのよ うに変わるのかは予想できませんが、今、オープンソースソリューションに対して何らかの手を打っておくことは重要な一歩だと考えております。