OpenVZとVirtuozzoの違い

2007年3月29日(木)
土居 昌博

VirtuozzoとOpenVZの違いとは?

   VirtuozzoではOpenVZの仮想化機能に加え、管理機能の強化などの様々な改良を行っています。

   Virtuozzo for LinuxはOpenVZに加え、次のような特徴を備えています。


充実した管理ツール

Virtuozzoには数々のマネジメント、モニタ、トラブルシューティング、などの管理が可能なGUIおよびWebブラウザベースの管理ツールが付属しており、マネジメント、管理、導入コストを大幅に削減することが可能。
ノードあたりのVPSの高密度化
VZFSファイルシステムによる効率的なメモリとファイル共有機能によって、より高密度で高性能な仮想環境を実現。これにより、超高速なプロビジョニングおよび管理も可能。
高度なリカバリ、モニタリング、バックアップツール
物理環境からVPS、VPSから物理環境への移行ツールを備える。これらのツールは既存の物理マシンからVirtuozzoの仮想環境(もしくはその逆)への容易な変換を可能にしている。
パッケージング
インストールメディアおよびインストールプログラムを提供。
サポート
製品情報、テクニカル教育プログラム、各種有償サポートオプション。
OpenFusionによる高度なアプリケーションの統合
総合的なAPIにより、サードパーティ製アプリケーションやプロビジョニングシステム、モジュールとの容易な統合が可能。
XMLベースのマネジメントAPI(VZAgent)
APIによりVirtuozzoと既存のマネジメントインフラストラクチャの統合や追加マネジメント、モニタリングモジュール開発が可能。
サーバ管理ツールPleskとのユーザインターフェースの統合
ユーザインターフェースを統合して統一した作業環境を実現。
表1:Virtuozzo for LinuxとOpenVZの違い

   このように、VirtuozzoはOpenVZの仮想化技術をベースに、仮想化環境を構築/運用するための管理ツールや連携機能が強化されています。

Virtuozzoの特徴

   Virtuozzoはホスティングやデータセンターなど、大規模かつ安定稼動が要求される環境で圧倒的に支持されています。その特徴としては以下のようなものがあげられます。

  • インテリジェント・パーティショニング
  • 完全な隔離
  • 動的なリソース配分
  • ライブマイグレーション
  • 大規模管理
表1:Virtuozzoの主な特徴

   では、それぞれの項目について具体的に紹介します。

インテリジェント・パーティショニング

   Virtuozzoのインテリジェント・パーティショニングによって、1台の物理サーバを完全なサーバ機能を持った数百の仮想環境に分割することが 可能です。仮想環境はそれぞれにプロセスやユーザ、ファイル、ルート/管理者アクセス、完全なネットワーク、システムライブラリなどを含む個別のサーバ設 定を持っています。また、独立したサーバとして機能し、個別の再起動も行えます。

   Linux版の場合、仮想環境ごとに異なるディストリビューションを稼動させることも可能です。通常、Virtuozzoの仮想環境はディスクおよ びメモリ上において、OSの主要部分を共有しており、設定によってはアプリケーションの共有も行えます。このOSおよびアプリケーションのテンプレートを 共有することによって仮想環境の大幅軽量化を実現しており、容易かつ迅速なシステムおよびアプリケーションのセットアップが可能です。

   Virtuozzoでは、個々の仮想環境ごとに固有のファイル(プライベート領域ファイル)のみが存在しています。また、共有はcopy-on- writeにて実施されており、各仮想環境内に必要に応じて固有のローカルコピーを差分ファイルとして作成するため、仮想環境単位で安全に共有ファイルお よびメモリページを変更することが可能です。

   また、パーティションはフレキシブルな構成となっており、仮想環境もしくはその作業負荷に影響を与えることなく、リアルタイムで変更することができます。

完全な隔離

   Virtuozzoにおいては、仮想環境ごとの機能/障害/性能がそれぞれ完全に隔離されており、安全性を確実なものにしています。隔離は複数のセ キュリティレイヤによって実現しており、それぞれがセキュアかつ完全に隔離されているため、同一の物理サーバ上にある仮想環境同士は一切の影響を受けない ように設計されています。

   またVirtuozzoの独自技術である「カーネルサービス抽象化レイヤー(KSAL)」によって、いかなる仮想環境も物理サーバ全体をダウンさせ ることは不可能となっています。また、独自のファイルである「Virtuozzoファイルシステム(VZFS)」によって、各仮想環境のユーザが他の仮想 環境やその他のサーバ部分へアクセスすることを不可能にしています。さらに、Virtuozzoのリソース管理・制御によってサーバリソースの隔離を確実 にしています。

Amelion, Inc. 代表

米大手IT企業であるEDSでEコマースコンサルタントの経験を経て、米Osmonics(現GE P&WT)の日本における事業の立ち上げとマーケティングに携わる。2003年よりAmelion,Inc.を立ち上げ独立。 Amelion, Incでは、国内外のハイテク企業の広報をはじめ、特に海外企業の日本参入におけるマーケティング戦略から事業開発の包括的なサービスを提供。クライアン トのひとつであるSWsoftとオープンソースプロジェクトであるOpenVZの日本における広報は2006年より担当。

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています