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第1回:システムの最適な構築と運用を目指して「BCP・BCM・RFP」

著者:ThinkIT編集局   2007/2/2
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いまITシステムを取り巻く潮流はどうなっているのか。それらを解き明かすのが、各所で話題となっているキーワードである。昨年にはCRMや2007年問題、BPMなど、いくつかの言葉が各方面で取り上げられてきた。今年以降、よりシステムの根幹のみならず企業全体を左右する言葉が注目されてくるに違いない。この連載では、毎回いくつかのThinkITが注目するキーワードを取り上げ、ITシステムの今後にどのように影響を与えるのかを考察していく。
BCP・BCM
企業の経営を確固たるものにするIT企業戦略の根幹

   自然災害やテロの影響で、企業のコアコンピタンスをいかに守り、継続していくのかが、近年しきりに叫ばれている。これは2001年に起こった9・11同時多発テロによって、急激に注目されるようになった。これらは、BCP(Business Continuity Plan)やBCM(Business Continuity Management)というキーワードで語られることが多い。

   BCPとは自然災害やテロなどのような不測の事態の際に、企業の事業をどうのように継続するのかという方針を示した文書のことである。BCMとは、そのような不測の事態に、どのように準備・対処し、事業の継続しいくのかという、運営管理の手法のことで、より実践に即したものである。

   日本においては、テロというよりも地震や台風などの災害がメインとなる。これまでも災害によって企業が被った被害は周知の事実であろう。ではそのような際に、どのように対処すればよいのか。

   それに対する解として、2005年8月に中央防災会議から「事業継続ガイドライン」が、2006年2月に中小企業庁から「中小企業BCP策定運用指針」が公表されており、BCP策定のガイドラインについて示されている。

事業継続ガイドライン
http://www.bousai.go.jp/MinkanToShijyou/guideline01.pdf
中小企業BCP策定運用指針
http://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

   これらに基づき、BCPを策定することは非常に大切である。では、実際に災害が発生した際に、そのBCPに基づいて行動できるだろうか。

   確かにBCPの策定も重要だが、災害などの対策においてもっとも重要なのは、BCMなのである。つまりそれをどのように実行し、運営していくか、そして実践できなければ、意味がないのである。

   連載「事例から学ぶBCMの本質」では、アメリカのハリケーン・カトリーナ災害の事例から、BCMのあり方や手法を紹介し、その本質に迫っている。規模や文化などの違いはあるが、その考え方や手法は大いに学ぶべきところがあるはずだ。

   また、災害の際にITシステムを復旧するためソリューションとして「ディザスタリカバリソリューション」という分野がある。ITシステムが企業に深く浸透している現在、ビジネスの根幹の1つにITシステムがあることはいうまでもない。企業のデータベースには、メールや様々なドキュメントが格納されている。災害によって、それらのITシステムが停止または破壊された場合、業務が止まり経営的にも莫大な損失が発生してしまうということが考えられる。

   連載「災害に強いシステム構築〜LifeKeeperによるディザスタリカバリソリューション」では、実際にイギリスで起きた事件を例に、LifeKeeperの導入・運用事例を紹介している。この事例では、データセンターのハードディスクが盗まれるという人災だが、海外では意外と多い事件であり、海外進出を考える上ではそのような被害も事業の根幹を揺るがしかねないのである。


   今日では企業経営はITシステムを抜きに成り立たない時代になった。ITによるコスト削減や判断の迅速化、情報保護といった観点で語られることは多い。しかし経営の母体でもあることを考えれば、BCP、BPMといったものを根幹にITシステムをまとめていくことが求められてくるはずだ。

   ここで紹介している連載はどちらも海外の事例を元にしたものだが、参考になる点は非常に多い。BCP策定やBCMの実践、ディザスタリカバリソリューションの導入を考える上で読者の皆様の参考となれば幸いである。

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