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IT投資効果分析
ビジネスモデルの変革を伴うIT投資効果分析の考え方

第2回:ビジネスモデル変革におけるIT投資の視点

著者:オープンストリーム  赤穂 満   2007/5/9
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ビジネスモデル変革における投資分析フレームワーク

   前回はIT投資の戦略的取り組みと評価の考え方などを解説したが、今回はより具体的にIT投資を行う際の判断基準や投資方法を解説していく。

   IT投資によるビジネスモデルの変革がもたらす付加価値を検討する際、システム導入による費用対効果やTCOを考慮するだけでなく、以下の4つの観点で捉える必要がある。
ビジネスモデル変革がもたらす投資分析のフレームワーク
図1:ビジネスモデル変革がもたらす投資分析のフレームワーク

   従来のIT投資については、特定システムの構築に関わるハードウェアやソフトウェアの導入費用など、システム構築前後のIT開発コストだけを評価するものであった。しかし経営戦略や事業戦略などと関連する中長期的なIT投資効果を評価する場合、図1のメリットやフレキシビリティ、リスクなどを考慮する必要がある。


ROI(Return of Investment)の基本的考え方

   一般的に投資評価を行う際には、表1の要素を判断して投資決定を行う。

  • 収入と支出から利益率を求め、企業内での条件基準を満たしているか
  • 他の投資案件と比較して有利であるか

表1:投資評価を行う際に判断するもの

   例えば「早期に多額のキャッシュフローが見込まれるので回収期間が短い」と評価された場合「投資を行う」という方法が取られる。

   実際に行うIT投資には、図2のように「短期的な投資判断」と「中長期的な投資判断」の2つの考え方がある。

基本的なIT投資の考え方
図2:基本的なIT投資の考え方

   以下に、それぞれの判断内容を解説しよう。


短期的な投資判断

   単一の特定システム構築のみを行う場合に適用され、IT投資前後の効果だけで短期的な判断を行うものである。この場合はシステム開発費用/ハードウェア/ソフトウェア/ネットワークにかかる費用に対し、開発効果を算出して投資判断を行うものである。


中長期的な投資判断

   経営戦略や事業戦略などビジネスモデルの変革を伴うような場合の複数のIT投資に適用される。ここでは、中長期的なビジネスモデルの変革に併せてIT投資を行うため、中長期的な投資効果とそれによって期待できるビジネス機会の拡大を考慮する必要がある。

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株式会社オープンストリーム  赤穂 満
著者プロフィール
株式会社オープンストリーム  赤穂 満
サービス推進兼SAXICE推進担当 統括ディレクタ
活動状況:これまでに、製品ライフサイクル、製品構成情報管理やビジネスモデルなどに関する解説記事、論文多数。
所属学会:日本設計工学会、経営情報学会、ビジネスモデル学会、正会員。


INDEX
第2回:ビジネスモデル変革におけるIT投資の視点
ビジネスモデル変革における投資分析フレームワーク
  短期的なIT投資の評価方法
  IT投資の収益性評価について