第13回:人事が証言!大手が若手IT技術者を欲しがる理由

第13回:人事が証言!大手が若手IT技術者を欲しがる理由
IT転職百科事典

第13回:人事が証言!大手が若手IT技術者を欲しがる理由
編者:Tech総研  2007/1/31
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エンジニアニーズ急騰で、大手企業への転職チャンスもアップ
 現在、IT業界は空前の企業のシステム転換期を迎え、慢性的な人材不足に陥っている。特に大手企業では、プロジェクトの大型化や、システム開発の短期化が急速に進み、その中でスケジュール管理、外注も含めた人材管理、予算管理を行い、ものを作り上げていく人材不足は深刻だ。特に、若手エンジニアの確保が難しくなっている。これまでは若手の確保が比較的容易であった大手・大手関連までも、この傾向は顕著になってきているというのだ。

そこで、高い技術力を持つ大手・大手関連企業が、若手のリーダー経験者を採用し、教育していこうとするケースが増えている。多くのITベンダーでは、顧客満足度の向上は従業員満足度の向上から始まるという考えから、スキルアップ支援制度や従業員の満足度を向上させるさまざまな取り組みを行っている。特に大手・大手関連では、毎年、従業員満足度調査を実施したり、ダイバーシティ(異なる価値観をもつ人びとを受け入れ、各人がもてる力を発揮し、組織に貢献できるような環境をつくること)を行ったり、その動きは活発だ。

このように職場環境の改善を図ると同時に、人材確保の動きとして顕著なのが、特に大手・大手関連を中心に従来よりも採用条件を拡大・緩和していることだ。最近では経験年数1年以上や第二新卒での採用も増えているという。つまり数年前なら高い専門スキルやキャリアのある経験豊富なエンジニアしか採用しなかった大手・大手関連企業に、今なら転職できるチャンスが広がっているということだ。大手企業で働くメリットとしては、「大規模なプロジェクトや上流工程に携われる」「母体となる企業があるため、安心して働ける」「研修制度などがしっかりしている」「給与体系、キャリアパスなどが整備されている」「福利厚生が充実している」などが挙げられる。このチャンスを逃す手はない。
業界別求人人数の推移
※リクルートエージェントのデータ(2006年11月まで)を基にTech総研編集部が作成。
大手関連企業の人事が語る「わが社がほしいエンジニア」
 実際に大手・大手関連企業がどのようなエンジニアを求めているのかは気になるところ。
そこで、大手・大手関連企業の採用担当者に各企業が求める人材像と企業風土などについて聞いてみた。
Case 1 日本総合研究所 銀行システム事業第一事業本部 第二事業本部 グループ基盤事業本部
三井住友フィナンシャルグループ向けシステムの開発
 当社は三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の1社として、同グループ企業に対するITソリューションを提供しています。上記三事業本部が、三井住友銀行の基幹業務システム、業務支援システムから、ネットワークインフラまでを構築しています。
 近年、金融業界は、他業態からの新規参入企業もあり、競争が一段と激化し、業界全体で守備範囲を拡大しています。銀行業では、従来からの預金貸金業務や為替業務などの商業銀行業務に加え、投資銀行業務の分野においても、新しい「サービス」を創造し、マーケットへの投入を進めています。この計画の実現に不可欠なのが、システム装備です。三井住友銀行では、従来より積極的にIT投資を行っており、その傾向をさらに強めています。そのため当社の担う役割も飛躍的に増大。そのため、キャリア人材の早期確保が必須命題となっているのです。2006年度はここまで、20人程の採用実績でしたが、今後はさらに多くの人材を採用したいと考えています。 高野宏治朗氏
日本総合研究所
銀行システム
第二事業本部
統括マネジャー
高野宏治朗氏
経験が少なくても、大規模なシステムなシステムに携われるチャンス
 当社では、新規に大規模なシステムを開発するという案件もあれば、既存システムの機能追加などを行う案件もたくさんあります。細かな制度変更,サービス変更などは、年間に何千件も実施するからです。これらを安定的にタイムリーに対応していくことも、重要なミッションです。またもうひとつ特徴的なのは、上流工程から携われること。三井住友銀行の企画セクションメンバーと一体になって、次世代のバンキング業務の計画立案から携われることは、大きな魅力のひとつです。
当社が求める人材は、プログラミングでも要件定義でも、何かひとつ強みのある人。そして向上心のある人です。金融業務の経験や大規模プロジェクトの経験は問いません。
金融業界の基礎知識は入ってから習得可能
 当社では金融業務経験のない人でも現場に即入っていけるよう、業務知識に関する研修を多数用意。三井住友銀行の新人行員が受ける銀行の基礎知識に関する集合研修から、より詳しい業務知識が習得できる個別研修まで、配属業務に応じて受講できる環境を整備しています。
現部員の平均年齢は比較的高めですが、だからといって若手が活躍しにくい環境では決してありません。やる気があれば、たくさんのチャンスが与えられる環境です。構築したシステムを継続して発展させたい、腰を据えてじっくり仕事に携わりたいという人は、ぜひ一度訪問してほしいですね。



リクナビNEXT 他にも情報通信系の会社やユーザ企業では、どのような人材を求めているのだろうか。大手・大手関連企業の採用担当者に各企業が求める人材像を紹介する。
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