機能一覧表とI/O関連図

2005年7月1日(金)
梅田 弘之(うめだ ひろゆき)

I/O関連図の記述方法


   I/O関連図では、下記のように中央に処理(本例では受注入力)、左側にI/Oを起動するためのインターフェース(画面など)を記述します。処理プログラムがアクセスするテーブルは、アクセス内容により上部(参照のみ)、右部(入出力)、下部(出力のみ)に配置します。
I/O関連図の記述方法
図4:I/O関連図の記述方法

   I/O関連図を作成する場合のポイントは次の通りです。

対象となるテーブルはすべて記述する
大きなプログラムでは対象となるテーブルがかなりの数となりますが、基本的にそのアプリケーションで使用するテーブルはすべて書き出します。
CRUD表の元となる
CRUD表とは、アプリケーションと使用するテーブルの関係を表したものです。縦にアプリケーション、横にテーブルを並べ、どのアプリケーションがどのテーブルをアクセスしているかを一目で理解できるものです。
処理は機能単位で記述
中央に配置する「処理」は、個々のプロシージャの場合もありますが、複数のプロシージャをまとめた"機能"という位置づけになります。

   CRUD表とは表3のようなものです。CRUDとはCreate/Read/Update/Deleteの略で、SQLで言えばInsert/Select/Update/Deleteに相当します。私はこちらの方がわかりやすいので、CRUDの代わりにSIUDを使うようにしています。

テーブル 受注データ 受注明細データ 商品マスタ
アプリケーション C R U D C R U D C R U D
受注入力         
受注照会                           
                                      

表3:CRUD表

   処理の記述に関しては、例えば「受注入力」という機能は、画面処理だけでなく「価格取得BL」「受注データ参照BL」「受注データ更新BL」…など、さまざまなBL(ビジネスロジック)やストアドプロシージャなどから構成されます。

   I/O関連図では、そのようなクラス単位の構成を記述するのではなく、それらを総括した「受注入力」という"機能"を処理として位置づけます。そして、基本仕様書は、この"機能"単位に記述されるのです。なお、"機能"の中のクラス関連については詳細設計書の中で記述します。


まとめ


   今回は、スコープマネジメントにおける重要なドキュメント「機能一覧表」について説明しました。また、アプリケーション個別に作成される「基本設計書」の中から、処理(機能)と外部ソース(テーブル)との入出力関連を図で表す「I/O関連図」を紹介しました。次回は、残りのコンテンツを説明して「基本設計書」の標準ドキュメントを完成させたいと思います。

著者
梅田 弘之(うめだ ひろゆき)
株式会社システムインテグレータ

東芝、SCSKを経て1995年に株式会社システムインテグレータを設立し、現在、代表取締役社長。2006年東証マザーズ、2014年東証第一部、2019年東証スタンダード上場。

前職で日本最初のERP「ProActive」を作った後に独立し、日本初のECパッケージ「SI Web Shopping」や開発支援ツール「SI Object Browser」を開発。日本初のWebベースのERP「GRANDIT」をコンソーシアム方式で開発し、統合型プロジェクト管理システム「SI Object Browser PM」など、独創的なアイデアの製品を次々とリリース。

主な著書に「Oracle8入門」シリーズや「SQL Server7.0徹底入門」、「実践SQL」などのRDBMS系、「グラス片手にデータベース設計入門」シリーズや「パッケージから学ぶ4大分野の業務知識」などの業務知識系、「実践!プロジェクト管理入門」シリーズ、「統合型プロジェクト管理のススメ」などのプロジェクト管理系、最近ではThink ITの連載をまとめた「これからのSIerの話をしよう」「エンジニアなら知っておきたいAIのキホン」「エンジニアなら知っておきたい システム設計とドキュメント」を刊行。

「日本のITの近代化」と「日本のITを世界に」の2つのテーマをライフワークに掲げている。

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