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経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 石塚康志氏に聞くOSS推進の理由と活動の展望
経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 石塚康志氏

経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課
石塚康志氏

大学卒業後、平成4年、通商産業省(当時)に入省。その後、調査業務、保安規制業務、家電産業担当等の部署に配属後、平成10年より、機械情報産業局(当時)情報処理振興課において、ソフトウェア産業振興関係の業務に従事。その後、平成13年には、石川県庁商工労働部産業政策課出向、公正取引委員会出向を経て、平成17年5月より現職。

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   この5月から、経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課でオープンソースソフトウェア(以下、OSS)の普及推進を担当することになった石塚康志氏。ご自身もOSSに思い入れがあるという石塚氏に、行政としてのOSSを推進する理由と活動の展望をうかがった。

※このインタビューは10月にインプレスより発行予定の書籍「Linuxオープンソース白書2006」(ThinkIT監修)のために行いました。書籍発売に先行して記事を公開いたします。

— まず、石塚さんとオープンソースとの関わりを教えてください


石塚氏:実は、私が仕事でソフトウェア産業に関わるのはこれが2回目なんですよ。6年前、Linuxのイベントに後援名義でお手伝いしようと「LinuxというのはこんなOSで…」と省内で説明したことがあるのですが、「特定のOSのイベントに通商産業省がお手伝いするなんてとんでもない」と許可されませんでした。その当時に比べると、隔世の感がします。6年が短いか長いかはわかりませんが、よくこれだけ取り組みが増えたなと思います。


— e-Japanが具体化して電子自治体にOSSを採用する動きが出てきた頃からでしょうか

石塚氏:政府のシステムがレガシーからオープンへという流れは、企業がスイッチを押してから10年遅れているかもしれませんが、オープンソースの登場とはたまたまシンクロしたのかもしれませんね。政府がシステムを調達する際の最適化を考えるとき、様々な選択肢の1つとしてOSSにも目が向いたということかもしれません。


— そもそも経済産業省としてOSSを推進することになった理由は何でしょうか?

石塚氏:なぜ行政がOSSを推進するのかについては、大きく分けて2つの議論があると思います。1つはソフトウェア産業のビジネスに置けるOSSの位置づけという議論、もう1つはOSSそのものの議論になります。

石塚康志氏    まず、前者のソフトウェア産業を考えていくとき、ベンダー、あるいはユーザの立場から見ても選択肢を広げることが重要だと考えています。もちろんプロプライエタリシステムがすべて悪いというわけではありませんが、OSSが使い勝手の良いものになっている今では、商用UNIXでもWindowsでも組み込み系でも、OSSをオプションとして検討できることが大事なんです。選択できるものが多くなるということは、競争が活発になるということです。OSSをソフトウェアの選択肢として、どのように日本に定着させていけばよいかという観点から、行政として普及のお手伝いをさせていただければと思っています。

   後者のOSSそのものの議論とは、ソースコードがオープンであることです。オープンということは2つ意味があって、1つは読めるということ、もう1つはハック(改変)できるということです。今のソフトウェアというのは開発工程そのものが多層構造になっています。高級言語でコーディングされているといっても、開発ツールを使ったりしてソースコードを読むことが少なくなっているという現実があります。それに対してOSSは、誰でもソースコードを読める。そして必要なら変更すればよい。ソースコードを元にしてより良いものを作っていこうという方向に向かえば、ソフトウェア開発の原点に戻れるのではないかと。これは私自身がOSSに対して魅かれる部分でもあります。


— OSSは今、どんな段階にあると考えていますか


石塚氏:まあ、一般にはまだ馴染みがありませんよね。インストレーションだけでいえば商用OSと表面的にはそれ程違いがなくなったにも関わらず、特にデスクトップとしてはなかなか使ってくれません。そもそもオープンソースというのはどのようなものかとか、どのような流通になっているのかといった基本的な情報が広まっていませんでした。これについてはずいぶんOSS推進フォーラムの皆様にやっていただいて、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)のWebサイトにアクセスしていただければ、どなたでも閲覧できるようになっています。

   ただ、得てしてこういうものは「アップして終わり」になってしまいがちなので、情報をきちんとアップデートして、OSSってインストールにすごく手間がかかるんじゃないの?とか、ウィルスの親戚じゃないの?(笑)といった誤解に基づいたOSSへの不安感を払拭していただきたいですね。

石塚康志氏    一方、組織としてオープンソースを導入していく際には、単純に馴染みがないというだけでは済みません。調達・導入する権限のある人に対して機能やTCOの検討を訴えていかなければなりません。未だにOSSが最初から検討のテーブルに乗らないということが問題なんです。テーブルに乗ったうえで、こういう理由だからダメなんだとなったら、それはそれで仕方がないことですけれど。
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