OpenOfficeプロジェクトが終焉へ、Red Hatが「Red Hat OpenStack Platform 9」を提供開始、ほか

2016年9月9日(金)
吉田 行男
OpenOfficeプロジェクト代表のハミルトン氏は9月1日、同プロジェクトの現状を訴えるメールを開発者MLに投稿しました。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

すべてのものに終わりがあるように、オープンソースのプロジェクトにも終わりがあります。今週のニュースになったのは「OpenOffice」でした。昨年にも脆弱性対応が迅速に行えていないことが話題になっていましたが、いよいよ終焉の協議を始めたようです。

今週もOSSに関する注目すべきトピックをとりあげましたので、ゆっくりとご覧下さい。

OpenOfficeプロジェクト、終焉へのカウントダウンが始まる

OpenOfficeプロジェクトの代表を務めるデニス・ハミルトン氏は9月1日、「Apache OpenOfficeプロジェクトは、プロジェクトとしてエネルギッシュな活動を続けるにはそのキャパシティに限界がある」―こんな書き出しで始まるメールをOpenOffice開発者メーリングリストに投稿しました。ハミルトン氏は続けてOpenOfficeプロジェクトが深刻な開発者不足に直面しており、このままではApacheプロジェクトとして存続していくために必要な「The Apache Project Maturity Model(Apacheプロジェクトの成熟モデル)」の要件を満たせない、という現状を訴えています。

(参照記事:http://gihyo.jp/admin/clip/01/linux_dt/201609/05

JavaScriptをOCamlから生成するトランスパイラ「BuckleScript 1.0」、米ブルームバーグがオープンソースで公開

金融情報などを提供する米国ブルームバーグ社は9月1日、OCamlのコードからJavaScriptのコードを生成するトランスパイラ「BuckleScript 1.0」をオープンソースで公開しました。「BuckleScript」はTypeScriptやBabelJSなどからインスパイヤを得て開発されたと説明されていますが、最大の特徴はTypeScriptなどが独自の構文を備えているのに対し、BuckleScriptは既存の言語であるOCamlを採用していることです。OCamlはオブジェクト指向型と関数型の両方を備え、特に海外では金融系システムの開発でよく使われているプログラミング言語です。

(参照記事:http://www.publickey1.jp/blog/16/javascriptocamlbucklescript_10.html

米Facebook、自社ストレージエンジンとMySQLを組み合わせた「MyRocks」を発表

米国Facebook社は8月31日、自社のストレージエンジン「RocksDB」をMySQLに組み合わせた「MyRocks」を発表しました。永続的キーバリューストアのRocksDBをMySQLのバックエンドエンジンとして利用できるもので、既に社内でも利用しているそうです。RocksDBはFacebookが2013年に発表したオープンソースプロジェクトで、同社はMySQLを利用してペタバイト級のデータを管理しています。これまで「いいね!」ボタンやコメント共有などのアクティビティ提供にはInnoDBストレージエンジンを利用してきましたが、フラッシュストレージ利用時などにInnoDBの性能と信頼性に制限があることから開発に至りました。Facebooはすでにフラッシュストレージ向けのRocksDBをオープンソースで公開していますが、今回発表されたMyRocksはRocksDBをMySQLのストレージエンジンとして統合するものとなります。

(参照記事:https://osdn.jp/magazine/16/09/07/160000

Red Hat、Mitakaベースの「Red Hat OpenStack Platform 9」

米国Red Hat社は8月31日、OpenStackディストリビューションの最新版「Red Hat OpenStack Platform 9」の提供を開始しました。同製品は2016年4月に公開されたOpenStackの「Mitaka」リリースをベースに「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)7.2」を基盤として構築。分散ストレージソフトの「Red Hat Ceph Storage 2」やハイブリッドクラウド管理ツール「Red Hat CloudForms」と統合されたクラウドプラットフォームを提供します。また「Red Hat OpenStack Platform Director」によるOpenStackの自動アップデートおよびアップグレードの仕組みを導入し、ライブマイグレーションの改善やコンピュートコンポーネント「Nova」から選択可能なCPUピニング機能、ブロックストレージコンポーネント「Cinder」のGogle Cloud Storageへの対応などが行われています。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1018745.html

Google、「Closure Compiler」のJavaScript版を実験公開

米国Google社は8月31日、JavaScript最適化のためのコンパイラ「Closure Compiler」のJavaScript版を実験公開しました。JavaScriptでJavaScriptコードの最適化が行えるようになります。Closure CompilerはJavaScriptコードのサイズ削減や実行速度を高速化する最適化ツールで、Googleのサービスのほぼすべてで使われていると言われています。入力としてJavaScriptコードを与えると最適化されたJavaScriptコードが出力されるというもので、トランスパイラや型チェッカー機能も備えています。Googleによって2009年に公開され、ライセンスはApache License 2になります。

(参照記事:https://osdn.jp/magazine/16/09/06/160000

編集後記

リオデジャネイロでは、オリンピックに続きパラリンピックが開幕しました。日本からも100名を超える多くの選手が参加しています。
障がいにも負けないでスポーツをする姿は感動的です。ぜひ、皆さんもテレビで観戦してみてはいかがでしょうか?

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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