ほとんどの都市はスマートシティを目指す必要はない
よい都市を作ろうというアイデアは、ほぼ人が定住生活をはじめた頃から続いている。スマートシティはそういったアイデアの最新の繰り返しであり、第4次産業革命の真っ只中、データおよびそれらを処理する能力は飛躍的にのび、かつ安価に手に入るようになってきている。この記事ではスマートシティを見てきたなかで気づきにくい3つのトレンドに光を当ててみようと思う。
– トレンド1: センサーが安くなるだけでは十分ではない
安価なセンサーによって都市の電気や水道、交通を管理するための素晴らしい製品やサービスが導入できるというのはすっかり馴染んだ考えである。たしかにセンサーのコストはここ10年で半分以下になったがそれでもそのセンサーをエンドデバイスにどう搭載するかについてはいまだに変わっていない。例えば車とインフラ間(V2I)での通信をおこなう場合、そのことに特化した地域をのぞけば道路上のセンサーの数が全然足りてないため、なんら意味のあることができなくなる。
大きな資本を持つ企業の場合ですら、iBeaconなどの例のように普及への大きなハードルに直面することだろう。
スマートシティで何か革新を起こそうとする人たちにとって、それに特化した環境を作り出すことが前提条件となり、本当にやりたいことの実現はそれをクリアしたうえでのことになるかもしれない。
– トレンド2: 一足飛びの繰り返し
一足飛びのアプローチは特にシリコンバレーで見られるように、イノベーター達がよく話にあげることだ。これまでとまったくちがうアプローチで業界に変化を起こしそれをくりかえす。だがこれもスマートシティに関していうと正しいこととはかけ離れていると思う。技術の進歩の速度はしばしば我々がそれに馴染むよりはやく、それが生活を変えることとなれば引っ越し程度のことですら、そうやすやすと実行できないものだ。
スマートシティの成功例は、それがシンガポールであれソウル市郊外のソンドであれイノベーションの文化が長く根づいた活気ある都市で大切にはぐくまれできている。かたやなにもないところから作りあげられたケースでは、それがマスダールシティ政府からの強力な支援やフロリダ州セレブレーション市とのコラボレーションがあったとしても挫折している。考えるに都市のインフラを一気にやりかえるのではなく、コツコツとした改善をつんでいくのがとるべき道なのだろう。
– トレンド3: スケールは必要なものではない
ますます多くの人々が都市部に住むようになっており、2007年は歴史上はじめて都市部の人口が地方の人口をうわまわった年だと考えられている。しかしこのトレンドの実態は超都市化であり、人々が数えるほどの都市、特にアジアやアフリカでは大都市に集中しているだけのことだ。
このことが意味するのは、スマートシティに関連するイノベーションにおいてはごくわずかな都市のみでおこなえばよく、数百もの都市にスケールする必要はないということだ。実際に一つの大都市だけで完全に機能するものを提供することができたなら、ある障害は大きなリスクを引きおこしかねないという警告を受けることができ、あなたは成功をおさめる会社をつくることができるだろう。
著者は現在、シリコンバレーに拠点を拠点とする初期投資部門を抱えるSamsung NEXTの主席を務めている。
ソフトウェア、とりわけインターネットとコンシューマテクノロジーが彼の焦点であり、スタートアップ企業に立ち上げからシリーズA〜Bに至る間、25万〜300万ドルの投資を行い、Samsungとのパートナリングを促進することで人々の生活を変える手だすけをおこなっている。
Amit Garg
[原文4]
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