ビジネス・プロセス・マネージメントの現状 〜 「経営と情報の架け橋」の実現にむけて 6

ビジネス・プロセス評価

ARISを活用したBPM前回の第5回では、BPMサイクルのうち、ビジネス・プロセス導入を行うフェーズでのARIS活用方法を紹介しました。今回は、ビジネス・プロセス 評価を行うフェーズでのARIS活用方法を紹介します。ARIS製品群の中では、ARIS Controlling Platformのご紹介

渡邉 一弘

2005年7月29日 20:00

ARISを活用したBPM

前回の第5回では、BPMサイクルのうち、ビジネス・プロセス導入を行うフェーズでのARIS活用方法を紹介しました。今回は、ビジネス・プロセス 評価を行うフェーズでのARIS活用方法を紹介します。ARIS製品群の中では、ARIS Controlling Platformのご紹介にあたります。

計測できないプロセスは、改善できない

前回までに、ビジネス・プロセスを設計し、その設計書に従ったビジネス・プロセス及びITシステムの導入を行う際のARIS活用方法の一例をご紹介しました。しかし、これらの活動だけでは、第1回目でご紹介したBPMサイクルの継続的実現は困難です。

ビジネス・プロセスの計測、評価が必要
図1:ビジネス・プロセスの計測、評価が必要

 

ではまず、例として製造業の現場でプロセス評価について考えてみます。

例えば半導体ベンダーは、半導体ウェハー製造工程にて半導体ICチップを製造します。このICチップを出荷し、製品ベンダーが製品に組み込むこととなります。ここで、製品がうまく動かないという障害が発生し、製品ベンダーから半導体ベンダーに連絡が入った場合、半導体ベンダーはどのように原因を特定 し、改善するでしょうか?

まず、製品に組み込まれている半導体ICチップの製造番号を調べ、そのチップが切り出された半導体ウェハーを特定します。次にその半導体ウェハーの 品質チェック結果を確認するとともに、どの期間にどの製造装置を経て製造されたのか?それらの製造装置に不具合はなかったのか?と調査していきます。そして、原因を特定し、必要があれば製造装置の加工条件変更や製造プロセス(製造装置を使う順番)の変更や、品質チェックをするためのスペックの変更などを行うことで改善を行います。

この原因特定や改善策立案には、半導体ウェハーそのものに対する静的な品質結果と、どのように半導体ウェハー製造工程を経てきたのかという動的な履歴結果を残しておく必要があります。そして、その静的品質結果と動的履歴結果を分析・評価する環境があって原因特定や改善策立案は可能となります。

また、原因特定や改善策立案までのスピードは、その静的・動的情報を如何に素早く・如何に多面的な側面から分析できるか?ということになります。このスピードが速い半導体ベンダーほど顧客満足度が高く、製品ベンダーからの信頼を得ることができます。

このような製品固有の品質情報やプロセスの履歴を残し、その情報を追っていくという、いわゆる「トレーサビリティ」は、昨今の食の安全を確保するためにも必要不可欠です。また、製品・食品のトレーサビリティの確保は、法令としても確立されています。

では、製造現場以外の様々な企業活動について、プロセスの静的品質情報、動的履歴情報が残っていて、計測できる状態でしょうか?企業の営業プロセス、受注プロセス、出荷プロセス、カスタマーサポート・プロセス、経理プロセスには、計測可能な情報が残っており、柔軟に分析できる状態でしょうか?

製造工程以外の環境において、品質情報や財務情報などの静的情報をBI(Business Intelligence)という領域のDWH(Data Wear House)、OLAP、Data Miningなどの技術・システムを活用して分析する活動は、かなり盛んになってきつつあると感じます(これら静的情報を分析する技術・手法に関する詳細 は他に譲りたいと思います)。

しかし、動的情報としてのプロセスが計測可能になっており、柔軟にプロセスが分析できるという企業は、まだまだ圧倒的に少ないのではないかと思います。そして、前述の製造業の現状や食の安全が脅かされている現状からも、プロセスが計測可能であり、柔軟に分析できるということは、自社の改善・改革のためにも、お客様や市場環境からの要求に応える改善・改革のためにも、必要不可欠です。

では、ビジネス・プロセスは、如何にして計測され、評価されるのでしょうか?

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