ビジネス・プロセス・マネージメントの現状 〜 「経営と情報の架け橋」の実現にむけて 6

プロセス評価

プロセス評価

企業活動の財務情報などの静的情報及びビジネス・プロセスという動的情報を計測・評価する領域は、CPM(Corporate Performance Management)もしくはEPM(Enterprise Performance Management)と呼ばれています。この領域において、静的情報の評価・分析を支援するITとしてBIがあり、動的情報の評価・分析を支援するITとしてBAM(Business Activity Monitoring)と呼ばれるソリューションがあります。

このBAMにあたるARIS製品としては、ARIS Controlling Platformに位置するARIS Process  Performance Manager(PPM)があります。図3に示すようにIDSシェアー社は、BPMサイクル全体を実現するためにはプロセス評価を行うフェーズでの方法論及びITソリューションが必要であると考え、PPMの開発・販売・導入を行っています。
 

PPMの位置づけ
図3:PPMの位置づけ
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PPMの仕組み

では、ここで、PPMの仕組みについて簡単に触れたいと思います。図4に示すようにプロセス評価のための情報・データは、CRMシステムやERPシステムから、アダプタを介してプロセス分析のためのデータマートであるPPMのProcess Warehouseにインポートされる必要があります。

特定のシステムに対しては、あらかじめ用意されたアダプタを使用することができます。アダプタが適用できないシステムに対しては、前述のシステム・インターフェースを介してデータ抽出を可能とする必要があります。

例えば、見積・受注〜出荷・請求・入金までのプロセスを評価するためには、受注伝票がどのようなプロセスを経てきたかを知る必要があります。この時PPMは、受注伝票コードを一意のKeyとして「どのようなイベント」が発生したので「どのようなシステム処理」が行われたのか?というLOG情報を一連 のプロセスとして並べ替え保持しています。

なお、プロセスとしてLOG情報を自動的に並び替えるためには、各システム処理が行われるイベントに対しても一意のKeyをあらかじめ設定しておく必要があります。次にEnd to EndプロセスのKPIとしてリードタイムが設定されていたとすると、PPMは受注伝票プロセスに対して見積発生から入金処理までの時間を計算し保持しています。

PPMの仕組み
図4:PPMの仕組み
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PPMでのプロセス評価・分析は、必要な情報がProcess Warehouseにインポートされ、プロセスが生成され、KPIが計算された状態から始まります。

KPIの分析

プロセス評価・分析は、図5に示すように、まずKPIの分析から着手します。例えば見積もりから入金までのリードタイムが長い受注伝票を様々な視点から絞り込み特定します。

  • KPI実績値は、目標値に対して達成されているか?許容範囲内か?下回っていないか?
  • KPI実績値は、突然変化していないか?徐々に変化しているか?
  • KPI実績値は、どのような要因に影響されているか?
  • 特定要因内におけるKPIは、どのような分布をしているか?異常値が発生しているのか?
KPIの分析
図5:KPIの分析
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次に、絞り込まれた受注伝票はどのようなプロセスを経てきたのか?を分析します。この際、図5の分布グラフ画面内に表示されたリードタイムが長い項目をクリックすると、PPMはその分布データを形成する複数の受注伝票コードを一覧として表示します。その受注伝票コード一覧のうち、単一の受注伝票を選択すると、PPMは単一のプロセスをeEPCとして表示します。また、複数の受注伝票を選択すると、それらすべてのプロセスに関する分岐ルートを図6のよ うに表示します。

プロセスの分岐ルートの表示
図6:プロセスの分岐ルートの表示
 

この業務プロセスには、各イベントの発生回数、各ファンクションのKPI値、各ルートの発生頻度に関する情報が保持されています。例えば、発生頻度が高いルートは、正常ルートなのか?例外ルートなのか?もしくは、特定の処理に時間がかかっていないか?手戻りが多数発生していないか?などの観点でプロセスを分析します。

これらの分析作業によって、KPI値が悪化しているという結果に対して原因となるプロセスを特定することが可能となるのです。

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