はじめに
本連載ではオープンソースのアプリケーションサーバ(APサーバ)であるJBossをご紹介します。JBossは無料で使用できるにもかかわらず、商用製品に劣らない機能、実用に耐えうる性能・安定性を誇ります。さらに導入も非常に簡単で、場合によっては有償サポートも利用できる状況にあります。
このような良いことずくめの製品を使わずにおくのはもったいないのですが、日本語の情報が少ないのが難点です。この連載がJBossに触れていただけるきっかけとなるような内容を目指し、執筆していきたいと思います。
アプリケーションサーバとは?
「そもそもAPサーバってなに?」という方のために、簡単に解説しておきます。
APサーバはミドルウェアといわれるものの一種で、アプリケーションを構築する上でベースとなるアプリケーションです。何のために存在するのかというと、どのようなアプリケーションを構築する場合でも普遍的に必要とされる基本機能というものがあり、それをあらかじめ提供するためです。

図1:アプリケーションサーバ
例えば、認証機能、トランザクション管理、データキャッシュ等がそういった基本機能に相当 します。このため、APサーバ上でアプリケーションを構築する場合は、上記のような機能のコーディングをする必要はありません。その結果、アプリケーション開発効率の向上、基本的機能欠陥の防止、移植性の向上が期待できます。
J2EEとは?
APサーバを提供しているベンダーはいくつかあり、提供している機能や依拠している実装技術なども様々ですが、その代表的な"規格"としてJ2EE(Java 2 Platform, Enterprise Edition)というものがあります。
J2EEは、Javaを用いて企業(エンタープライズ)システムを構築するための規格であり、Sun Microsystemsを中心としたいくつかの企業集合体によって策定されています。このJ2EEは既にいくつかのバージョンがリリースされており、現在の最新バージョンは1.4と呼ばれています。J2EEは標準規格ですので、規格に準拠したAPサーバ上に構築したアプリケーションは、異なるベンダーが 提供しているAPサーバ上に移植することも容易となります。
J2EEはいくつかあるAPサーバの規格(あるいはベンダー独自のしくみ)の中でも広く普及しているものです。既に世界中の企業システムで利用されているので、ノウハウや実績がかなり蓄積されており、インターネット上や書籍などで情報を入手することが容易になっています。これからAPサーバにチャレンジするという方であれば、J2EE準拠のAPサーバを選択するのは良い選択だといえます。そして導入しやすく無料で使えるJBossは、その中でも最適といえます。