ポータビリティが高い
ポータビリティが高い
JBossがJ2EE 1.4に正式に準拠しているということは、他のAPサーバ上で稼働しているアプリケーションをJBossへ移植することが比較的容易である、ということを意味します。
もともとJ2EEがそれを主目的のひとつとして登場したことを考えれば当然のことといえますが、「システム運用コストを削減せよ」という要件を満たすために、既存アプリケーションをオープンソースのAPサーバであるJBossへ移植するという場合が多く見られます。多くの例が、ソースコードレベルの修正はほとんど(あるいはまったく)することなく、各種設定ファイルの変更や動作確認テストを実施するだけで完了します。
あるいは逆に開発段階(あるいは要件が曖昧な段階)ではとりあえずJBossをターゲットにしてアプリケーションを構築し、必要な要件が明確になっ た時点、あるいはJBossでは対応ができないことが明らかになった時点で他のプラットフォームに切り替えるということも有効な手段だといえます。
アプリケーションの開発環境および稼働プラットフォームを検討する際に、オープンソースで導入実績のあるJBossをデフォルトのAPサーバとすることは自然なことだと思います。当然、特に問題がなければ、JBossのまま本番環境に移行してリリースということも十分有効な選択です。

JBossのバージョン
今回の連載では、このJ2EE 1.4に準拠したJBoss 4.0.xを前提として説明していきます。おそらく、バージョン4.x系では今後もJ2EE 1.4に準拠した仕様をサポートしていくと思われます。
また、致命的なバグが発見された場合やセキュリティ上の問題が発生した場合にのみ修正が行われ、新規機能追加などが行われない状態となっている JBoss 3.2.x系は、J2EE 1.3に準拠した実装になっています。将来的にJ2EE 1.5がリリースされた時には、JBossもその仕様に対応した5.0へとメジャーバージョンアップすると思われます。
これからJBossを利用しようと考えている場合は、機能、性能、不具合の修正具合を考えても、4.x系のJBossの最新版を選択していただいた方が無難だといえます。また、J2EE 1.2、1.3に準拠して構築された既存アプリケーションを移植する際も、まずは最新バージョンのJBossへの移植を試みるのが良いと思います。JavaやJ2EEの仕様は下位互換性を非常に重視しますので、新しいJ2EEの仕様に準拠したAPサーバでも、古い仕様に準拠したアプリケーションがそのまま動作することがよくあります。
JBossに限った話ではありませんが、一般にバージョンアップが行われる場合は、機能の追加だけではなくバグ修正やパフォーマンスのチューニングなども頻繁に行われていますので、できるだけ最新のプラットフォームを用いてアプリケーションを稼働させるようにする方が有利な場合が多いといえます。無償で利用できるオープンソース製品のメリットを最大限に利用し、いくつか試してみることをおすすめします。