対応法2:Rollout Update
対応法2:Rollout Update
2つ目の方法としては、「Rollout Update(注2)」になります。「Rollout Update」は、クラスタ構成のアプリケーションサーバに対して有効な方法で、図3のようにクラスタに所属する各メンバに対して順次アプリケーション更新を実施するものです。この方法により、システム全体としては停止せずに、アプリケーション更新を実施することができます。

図3:Rollout Update
例えば「IBM WebSphere Application Server Network Deployment」では、管理ツール(Deployment Manager)を使用し、クラスタに所属する各メンバについてノードごとに順次アプリケーション更新を実施します。IBM WebSphere Application Serverは、1つのノードに複数のメンバを作成することが可能で、この場合は1つのノードにある複数のメンバは、同時にアプリケーション更新を実施し ます。
またTomcatの場合は手作業になりますが、各メンバに対して順次アプリケーション更新を実施します。
なお、Rollout Updateの方法は、アプリケーション更新だけではなくアプリケーションサーバのパッチ適用にも対応することができます。各メンバに対して順次パッチを適用し、サーバ再起動することで、システム全体としては無停止でアプリケーションサーバのパッチを適用することができます。
今回のまとめ
今回のまとめです。システムの運用・保守では、システム更改が発生することを前提にシステム構成や運用手順を考慮すべき点について、トラブル事例を2つあげて、それぞれの対応方法を説明しました。
- システム更改は発生することを前提にシステム構成や運用手順を考慮しましょう
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- コンテンツ配置を工夫することで、アプリケーションのビルドとデプロイの回数を減らすことができます
- アプリケーションサーバの機能を利用することで、システムを停止せずシステム更改ができます
これまで4回にわたり、Javaの運用・保守を切り口とした開発のポイントや、運用・保守のノウハウを解説してきました。第1回目でも簡単にお話しましたが、どうしても開発時はプロジェクトが忙しくなると忘れがちです。この連載の内容を、開発時の教訓として覚えていただけたらと思います。