はじめに
本連載ではこれまでにLifeKeeper for Windowsのインストールと設定、Microsoft SQL ServerのHAクラスタ化について紹介してきた。今回はLifeKeeper Data Replication For Windows(以下、LKDR)とDisk to Disk Backup(以下、D2D)について紹介していく。
LKDRはボリューム単位でデータ領域のミラーリング機能を提供するソリューションで、プライマリサーバ上のソースボリュームをネットワーク経由で セカンダリサーバ上のターゲットボリュームにミラーリングする機能や、ローカルボリューム間でのミラーコピーの作成機能を提供する。
またLKDRは、LifeKeeper for Windowsと組み合わせることにより共有ストレージを使用しない低コストな2ノードクラスタや、遠隔地へセカンダリサーバを配置してサイト全体の障害 に対応するディザスターリカバリ・クラスタが構築可能である。
もう一方のD2DはLKDRの提供するデータレプリケーション機能を使用したバックアップソリューションで、LKDRで行うデータレプリケーション 操作をスクリプトで実行する。また、Windowsサーバの持つスケジュール機能と組み合わせて使用することで、バックアップ・ジョブとして同一システム 上、または別のシステム上のボリュームにコピーを作成することが可能となる。
これらで作成したバックアップデータはディスクに保存するので、テープ装置に比べて高速にバックアップを行えるため、本番業務の停止時間を最小限に することが可能である。ディスクへバックアップされたデータは本番ジョブに影響を与えることなく、ゆっくりとテープ装置などの外部メディアへ退避可能であ る。
LKDR機能概要
LKDRは2種類のデータレプリケーションが可能である(表2)。
- リモートレプリケーション
- 最も基本となるレプリケーション構成である。ターゲットボリュームを複数選択することで1:nのレプリケーションも可能である。
- ローカルレプリケーション
- ローカルシステム上のボリュームを同一システム上の別のボリュームにコピーする構成である。

図1:データレプリケーション
同期ミラーリングと非同期ミラーリング
LKDRはミラーボリュームを作成する際に、同期ミラーリングか非同期ミラーリングのいずれかを選択できる。どちらのミラーリング方式を選択するかはアプリケーションの要件やシステム機能要件に依存するが、それぞれの方式を機能的な違いから説明する。
同期ミラーリング
同期ミラーリングの場合、アプリケーションからの書き込み要求はまずターゲットボリュームに転送され、ターゲットボリュームに書き込まれる。ター ゲットボリュームへの書き込みが正常に完了したことをローカルシステムが確認するとソースボリュームへの書き込みが行われ、アプリケーションの書き込み要 求が完了する。
もし書き込み途中にローカルシステムが障害となった場合でも、リモートシステム上のデータとの整合性は常に保たれる。
非同期ミラーリング
非同期ミラーリングでは、アプリケーションからの書き込み要求は、まずソースボリュームに書き込まれる。次に、書き込んだブロックのコピーがリモー トシステムへ転送されターゲットボリュームに書き込まれる。非同期ミラーリングはソースボリュームに書き込み後、直ちにアプリケーション書き込み要求が完 了するため、同期ミラーリングに比べてパフォーマンスに優れている。
インテント・ログ
LKDRはインテント・ログと呼ばれるログ機能があり、ターゲットボリュームにコミットされていない書き込み要求の記録を保持している。インテン ト・ログはプライマリサーバのシステム領域に配置されており、インテント・ログを使用することで、ミラーリングの一時停止や再開をミラーリングの完全再同 期を行うことなく実行できる。
また障害時の復旧においても、コミットされていないデータのみのコピーを行うので非常に高速なリカバリが可能となる。