Disk to Disk Backupの設定
Disk to Disk Backupの設定
D2Dはこれまでに説明してきたGUI操作によるミラーの作成、解除をスクリプトで実行する機能である。ミラーの作成・解除を行うVBスクリプトと VBスクリプトにオプションとしてソースボリュームやターゲットボリュームなどの情報を与えるスペックファイルで構成される。
実際に使用する際にはスペックファイルの作成のみを行えばよく、製品に同梱されているサンプルのスペックファイルをもとに利用環境にあわせて修正するだけでよい。
今回は「TESTLK1」の「Dドライブ」を「TESTLK2」の「Dドライブ」へ毎日定時にバックアップするジョブの設定を行う。
D2Dによるバックアップ・ジョブの設定は以下の手順で行う。
- スペックファイル作成
- スペックファイルの動作確認
- Windowsタスクスケジューラへの登録
それでは表5の手順に従って、それぞれについて解説していく。
スペックファイルの作成とカスタマイズ
スペックファイルのサンプルはLKDRのインストールフォルダ「C:\LKDR\D2dbackup」にある、 D2DBackupCopySpecsTemplate.batである。これを任意の名前でコピーする。今回はBackupCopySpecs.batと いう名前でコピーした。
サンプルではSYSTEM1のEドライブを、SYSTEM2のEドライブへコピーする設定となっているのでメモ帳やワードパッドなどからBackupCopySpecs.batを開き、コメントアウトされている部分を今回の設定に修正する。
修正前
REM cscript /nologo "%ExtMirrBase%"\D2DBackup\D2DBackupCopy.vbs SYSTEM1 E SYSTEM2 E 0 修正後
cscript /nologo "%ExtMirrBase%"\D2DBackup\D2DBackupCopy.vbs TESTLK1 D TESTLK2 D 0スペックファイルの動作確認
スペックファイルのカスタマイズが終了したら、直接コマンドラインからスペックファイルを実行し動作を確認する。
実行結果はWindowsのアプリケーションログにログが出力されるのでエラーの有無を確認する。正常に実行された場合は、スペックファイルに記述したサーバ間でのミラーを作成しコピーが実行される。コピーが終了すると自動的にミラーが解除される。
バックアップ・ジョブのスケジューリング
バックアップ・ジョブのスケジューリングはWindowsのタスクスケジューラを使用し、希望の日時でスペックファイルを実行するように登録する。登録はソースボリュームのあるサーバで実行する。

図14:タスクの登録
LifeKeeper for WindowsとLKDRによる2ノードクラスタ構成
最後にLifeKeeper for WindowsとLKDRを組み合わせた2ノードクラスタ構成の構築について簡単に説明する。
この構成は共有ディスクとしてLKDRによってミラーリングされたドライブを使用する。設定はLifeKeeper for Windowsのボリュームリソースの作成ウィザードで、ボリュームとしてLKDRによって作成されたミラーボリュームを選択すればよく、簡単にできる。 ボリュームタイプは自動的にExisting LKDR Mirrorとなる。

図15:LifeKeeper for WindowsのGUIウィザードによるミラーボリュームの選択

図16:ボリュームタイプ
ウィザードに従ってリソースの拡張処理までを完了すると、図17のようなボリュームリソースが作成できる。

図17:ミラーボリュームによるLifeKeeper for Windowsディスクリソース
終わりに
LKDRとD2Dの最大の特徴は管理者のバックアップタスクの軽減である。特にソースボリューム障害後のデータ復旧時は、書き込み先をターゲットボリュームに変更するだけでリカバリが完了する。
従来のバックアップソリューションでは、この復旧処理での時間やヒューマンエラーが懸念されてきたが、LKDRとD2Dのソリューションを利用すれ ば一挙に解決するのである。またWANでのミラーリングもサポートしているため、遠隔地でのバックアップ作成や、企業内の全サーバの集中型バックアップコ ンソリデーションが可能であり、災害時対策や分散管理の軽減ができるようになっているのも魅力の1つであろう。
さらにLKDRはLifeKeeperと組み合わせることが可能で、これにより得られる障害発生時の自動フェイルオーバー機能はサービスの可用性を 飛躍的にアップさせる。同時にこの組み合わせは、共有ストレージを保持せずともHAクラスタソリューションを提供できることを意味しており、既存資源をフ ルに活用した低コストでのシステム冗長化が可能なのである。
是非とも評価版を使ってこれらの機能を試用し、利便性やコストパフォーマンスなどの魅力あるメリットを体感していただきたい。
(監修:サイオステクノロジー株式会社 小野寺 章)