ブレードサーバによる仮想化テクノロジーの活用 2

ブレードサーバとエンクロージャ

ブレードサーバとエンクロージャ

   ブレードサーバとエンクロージャの関係は、ホットプラグ対応のストレージデバイスとストレージエンクロージャとの関係によく似ている。ホットプラグの機能は同等で、ディスク規格は共通しているが、ベンダーが異なるとディスクを流用できない。

   ブレードサーバもそれぞれのベンダーで互換性がなく、例えばHPのブレードサーバをIBMのエンクロージャに搭載することはできない。各社はそれぞ れ独自のコンセプトで、エンクロージャとサーバブレードを開発しており、電源や外部のI/Oなどの設計なども各社異なっている。

   例えばHP BladeSystemの場合には、エンクロージャ障害が全ブレードサーバの稼働に影響を与えないように、エンクロージャの設計をシンプルかつ障害コンポーネントのホットスワップを可能にすることで、リスク分散をはかっている。

   さらに将来のプロセッサやI/O技術などに対応できるように、エンクロージャの電源部やI/O部分が考慮されているかも調べておく必要があるだろう。

   例えば、サーバの消費電力はCPUクロック周波数に比例して増大する。最新のサーバの消費電力は2年前のそれと比べて2倍を超えている場合もある。 2年前の電源設計では問題がなかったサーバエンクロージャの電源容量でも、その2年後にエンクロージャの制限で搭載できなくなることもあるわけだ。

   従ってブレードサーバを選択する際には、将来のテクノロジーの進歩も見据えた設計になっているかということも含めて考える必要がある。

プロビジョニングツールによる自動化

   ブレードサーバを管理するソフトウェアを見ると、大量のサーバを一括して管理することを明確に意識している。

   これは、従来x86サーバ用に用意されてきた資産管理や障害管理のソフトウェアに加え、複数サーバのプロビジョニング(導入、セットアップ)機能をあわせて用意していることが多いことからもわかる。

   具体的には、HPのRapid Deployment Packがこれに当たる。プロビジョニングのプロセスでは、各サーバを個別にセットアップするのではなく、事前に用意しておいたルールや環境に基づいてバッチ処理的に複数台のサーバの環境作成・変更を行う。

   一般的なx86サーバでは、CD-ROMなどを利用して対話的にハードウェア設定やOSのインストールを行っている。しかし、コロケーションの行わ れた環境や大量のサーバに対して、人海戦術的な対話インストールは非効率だ。さらにスケールアウト構成の場合には、同じ作業を何回も繰り返すことになる。 その上環境が複雑であれば、ミスが発生する可能性も高い。

   ブレードサーバではプロビジョニングツールによって、プロビジョニングを自動化することで、管理者の負担を軽減することができる。これはブレードサーバの導入の大きなメリットの1つといえる。

   プロビジョニングを行う際には、事前にハードウェアのセットアップやOS、および業務アプリケーションなどのまとまった環境を設定スクリプトとイ メージファイルとしてパッケージにしておく。そして管理者の指定したタイミングに、そのパッケージを複数のサーバに対して一括展開することで、複数サーバ の環境作成をバッチ処理的に実施する。

   この展開には、サーバのハードディスクにOSが展開されていない場合でも、PXE(Preboot eXecution Environment)と呼ばれるネットワークブート環境を使うことで、パッケージの展開を可能としている場合が多い。

   このような仕組みを利用することによって、まったく未構成のサーバもネットワークに接続されて、電源を入れることでプロビジョニングできるのである。

   ただしベンダーが提供するツールによって、特定のブレードサーバのみ対応している場合や対応できるOSの制限、パッケージング機能の制限があるので、十分な検討が必要だ。ブレードサーバの選択時にはハードウェアばかりでなく、プロビジョニングツールの出来についての調査は不可欠である。

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