Hyper-Vの注目すべき新機能 動的追加・動的削除
2015年 仮想化プラットフォームの新事情
VMware vSphere 6.0、Microsoft Hyper-V、RHEV 3.5の仮想化プラットフォームについて、新機能と機能拡張を中心にその最新動向を探る。 この特集のまとめPDFを無料でダウンロードできるようになりました!次期Hyper-Vの新機能を紹介する第1回では、Hyper-Vで拡張された機能のうち、リソースの動的追加、動的削除、チェックポイントについて紹介します。
次期Windows Server/Hyper-Vの新機能プレビュー
2014年10月にリリースされたWindows Server Technical Previewを使ってみると、次期Hyper-Vの「新機能」はとても輝いて見えます。ですが、サービス開発、運用を生業としてきた者としては、いくつか心配な部分もあります。本稿では、サービス開発者としての視点で、次期Hyper-Vはどんなものになりそうなのかをご紹介したいと思います。注目すべき新機能と、変更点、それに伴うメリット、デメリットを独自の視点からご紹介させていただきます。なお、Windows Serverを参照する名称として、本稿では次のような略称を使用します。
- vNext:Windows Server Technical Preview
- WIN2012R2:Windows Server 2012 R2
- WIN2012:Windows Server 2012
注目すべき新機能 動的追加・動的削除
仮想マシンが起動している状態で、仮想ハードウェアを追加することを「ホットアド」、反対に削除する場合は「ホットリムーブ」と言います。日本語で言うと「動的追加」と「動的削除」といったところでしょうか。個人的には、あまりカタカナ英語やアルファベットの頭文字の略語が好きではないので、本稿では「動的追加」と「動的削除」という用語を使用します。
vNext のHyper-Vでは、この「動的追加」と「動的削除」がさらに進化しました。ライブマイグレーションによって、仮想マシンを停止することなくホスト間の移動を可能にしたHyper-Vが次に目指すのは、「仮想マシンを停止することなく構成の変更を完了させる」というところにありそうです。vNext のHyper-Vでは、2つの「動的追加」と「動的削除」が可能となりました。
1.稼働中の仮想マシンに対してメモリの追加、削除が可能に
WIN2012R2 のHyper-Vでは、稼働中の仮想マシンに対して、動的メモリ(ダイナミックメモリ)を設定している場合に限り、メモリの追加(追加のみ)が可能となりました。vNext のHyper-Vでは、これがさらに進化して、動的メモリを利用していない場合(固定メモリ)でも、メモリの追加だけではなく、余剰メモリがある場合は、削除まで可能となりました(メモリのサイズ変更)。もちろん、仮想マシンの再起動も必要ありません(なんてすばらしい!)。ただし、メモリの「動的追加」と「動的削除」の機能を使えるのは、いまのところ、最新のHyper-V上の最新のOSに限られています。つまりサポートされるのは、vNext のHyper-Vと、その上で稼働する仮想マシンとして、vNext もしくは、Windows 10 Technical Previewで、仮想マシンのバージョンは6.0以上となります。仮想マシンの世代については第1世代と第2世代のどちらもサポートされています(表1)。言い換えると、Hyper-Vも仮想マシンも全部最新OSを使えば、メモリの「動的追加」と「動的削除」機能が使えるということです。仮想マシンの統合サービスのアップデートで、他のOSでもこの機能が使えることを強く期待しています。ちなみに、固定メモリで仮想マシンの稼働中にメモリのサイズ変更ができるようになりましたが、動的メモリ(ダイナミックメモリ)の設定をしていた場合は、これまでと同様に、メモリの追加のみ可能となっており、メモリの削除はできません。
メモリの動的追加・削除機能の要件 | 対応バージョン |
---|---|
Hyper-Vホスト | Windows Server Technical Preview Hyper-V |
仮想マシン OS | Windows Server Technical Preview Windows 10 Technical Preview |
仮想マシン バージョン | 6.0以上 |
仮想マシン 世代 | 第1世代、第2世代 |
※Hyper-Vホストとしては、Windows 10 Technical PreviewのHyper-Vもサポートされている。
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- Hyper-Vのライブマイグレーションとその他の拡張機能
- Hyper-Vの互換性とシステム運用の課題
- vNext Hyper-Vの注意すべき変更点 仮想マシンの運用
- Windows Server コンテナ始動!
- より速く、より小さく、より軽く、 新基盤 Nano Server (前編)
- Windows Server 2016 Technical Preview 3 で見えたコンテナ技術
- ネットワールド イベント~“新しい”Hyper-Vを使った仮想化基盤の設計/構築ポイントを紹介
- 移行後のAzureならではの運用管理テクニック
- Windows Azure仮想マシンでLinuxサーバーを構築しよう
- 2015年 仮想化プラットフォームの新事情