MS系クリエイティブの世界へようこそ
新たな.NET Framework
AIR、Silverlight、JavaFX…。最近、RIAを取り巻くテクノロジが急ににぎやかになって参りました。これまで、Flashしか触ったことが無い方は、漠然とした不安を抱えつつ「自分も何か新しいプラットフォームの勉強をしなくては」と思いながら、とりあえずAIRに手を出して…というような感じではないでしょうか。でもちょっと待ってください。AIRも良いですけど、MicrosoftからもRIAのプラットフォームがリリースされていることはご存じでしょうか。
Windows Vistaがリリースされて早くも1年以上が経過しました。さまざまな機能追加がなされましたが、開発者に縁の深い要素として、新たに搭載された.NET Framework 3.0があります。.NET Framework自体の説明はここでは割愛するとして、この中でもクリエイティブとして注目すべき機能は、WPF(Windows Presentation Foundation)です。
これは、.NET Frameworkのさまざまな機能のうち、その名の通り表示にかかわる部分をつかさどるフレームワークです。特徴としては、従来のWindows Forms特有の平板で退屈なUIに代わり、Flashなどでもおなじみのリッチでインタラクティブな画面を、.NET系の言語に精通していなくても作れるということが挙げられます。
UI記述言語:XAML
これまで、Windows系アプリケーションのUIを作る際には、Visual StudioなどのGUIで操作が可能とはいえ、前提としてC#やVBなどの.NET系開発言語のスキルが求められてきました。結果的にデザイナーがプロジェクトに参画し難く、アプリケーションのUIに高度なユーザビリティを実装することは、なかなかに面倒くさい作業でした。
WPFでは、XAML(eXtensible Application Markup Language)というUIの記述言語を使用することで、.NET系言語に熟知していなくても、リッチなUIが開発可能になりました。このXAMLには、レイアウトやカラー、テキストなどのアプリケーションの表示にかかわる構成要素がXMLで記述されています。その内容は、アプリケーションコンパイル時にC#などの.NET系言語で記述されたロジック部分と完全に統合され、作成したアプリケーションのUIとして表示されます。
このXAMLはもちろん手書きで地道に書いていくことも可能ですが、後述するExpression Studio(http://www.microsoft.com/japan/products/expression/)というデザイナー向けアプリケーション製品群を使用することで、グラフィックソフトによる画面編集や、タイムラインによるアニメーション編集などが可能です。そしてそれらのアプリケーションで保存したXAMLは、そのままVisual Studioで開くことが可能です。つまり、XAMLを使用することで、デザイナーとプログラマーのコラボレーションが容易になるのです。