Windows Azureを利用するための準備
Windows Azureの可能性を感じて
まず、東日本大震災の被害に遭われた方にはお悔やみ申しあげます(本稿は2011年3月下旬に執筆)。この災害の対応でWindows Azureユーザー会JAZ(Japan Windows Azure User Group)が率先して寄与していました。各県庁などのサイトでアクセスが増えた影響でつながりにくかった問題が発生した後に多数のリバースプロキシサーバーを構築して対応を行ったり、ストレージサービスを応用した静的サイトを構築したりして情報提供を実施していました。特にリバースプロキシサーバーは構築用のパッケージが作成された後は、構築要請後1時間以内でサーバーが構築されてサービスが開始されるなど、クラウドらしいスピード感が際立ちました。
大きな災害という不幸な出来事でしたが、自分もクラウドサービスに携わるエンジニアの一人として、このようなクラウドの可能性を体験できたのは非常に喜ばしい事でした。クラウドサービスの利用ケースとして一時的なアクセス急増が見込まれるサービスが想定されていましたが、真にこのようなケースだからこそ本領を発揮できたのではと思っております。
また、昨年11月のPDCでWindows Azureの各インスタンス(サーバー)に対してリモートデスクトップ接続ができるようになった事で、オンプレミスと同様の機能が提供しやすくになった点も今回の対応に寄与しています。リバースプロキシサーバーの構築でも最初のうちは実際にリモートデスクトップ接続でAzureのインスタンスに接続して、通常のWindows Serverと同様の手順でGUIを使用して設定していました。そして最終的にはスクリプトで自動化していきました。
これらは開発者ではなくITProの方の本領が発揮できるフィールドです。このようにクラウドという新技術にも関わらず、開発者はもちろんの事ITProの方々も十分に力を発揮できるフィールドがある事が、皆さんにぜひともAzureに触っていただきたい理由の一つです。
図1はリバースプロキシを使用して作成したミラーサイトです。URLの表示を確認してください。ドメイン名がcloudapp.netになっています。これはWindows Azureで構築したサーバーのURLを示しています。
図1:日本赤十字社義援金募集サイトのミラー(クリックで拡大) |
Windows Azureを始めるにあたっての準備
さて、このような優れた性能を持つWindows Azureを始めるに当たって、始めに必要になるのが「契約」です。これまでMicrosoft Officeなどのソフトを「購入」していました。しかし、Windows Azureの場合はオンラインサービスという異なる形態のサービスであり考え方が大きく異なります。
Windows Azureには目に見えるDVDなどハードウエアの形態がなく「契約」手続きのみがサービスの実態を保証するものです。ですので「購入」という概念はありません。この点は大きな特徴ですので、押さえておいてください。ただし、「契約」をした場合も、サービスを受益しなければ対価(料金)が発生しないので、その点は心配いりません。あくまで料金はサービスの受益(機能の使用)に対して発生します。
次に、契約するに当たって必要なのは人を識別するための本人認証ですが、Windows AzureではそれをすべてLiveIDで行っています。そのため、LiveIDのアカウントが必要になります。LiveIDはメールアドレスとパスワードの組み合わせで構成されていて、新規にhotmailなどのアカウントを作成する以外に既存のメールアドレスも使用できます。詳しくはLiveIDのサイトで確認できます。
このLiveIDの管理はAzureでサービスをマネジメントする上で重要ですので注意してください。
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