クラウドはコスト削減だけでなくビジネスのパワーになる―AWS SUMMIT TOKYO 2012レポート
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本イベントの基調講演は、メインスピーカーが話を展開させつつ、途中でゲストスピーカーが登壇する方式で行われた。ここからはゲストスピーカーの講演から特徴的だったトピックを抜粋する。
ソーシャルアプリの急激なトラフィックを支える技術
ゲストスピーカーとして最初に登壇したのは、gloops社のCTOである池田秀行氏。国内を代表するソーシャルゲームプロバイダーとして、成長著しいスタートアップ企業である。2年半前はわずか6名だった従業員は今や400名にまで急拡大した。最近はサンフランシスコに事業所を設け、開発拠点としてベトナムにも進出するなど、グローバル展開を加速させている。
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図3:池田秀行氏 (株式会社gloops 取締役CTO) |
ソーシャルゲーム・ソーシャルアプリは、ソーシャルネットワークを基盤としたサービスがゆえに伝播性が高く、規模が急速に拡大するのが特徴である。1ヶ月で100万人を超えるアプリの運用実績もあるという。トラフィックの増減が非常に激しく、サービス提供側には相応の運用ノウハウが求められるようになる。
同氏はAWSを採用した理由に「要求に応じたリソースを柔軟に確保できる」「物理的な制約から開放される」「ゲームアプリに重要なディスクI/Oの性能に満足できる」の3点をあげた。特に3番目のディスクI/O性能に関しては、数10万~100万規模のユーザーがサーバーに同時接続し、その都度ステータスが更新されるような、負荷が高いソーシャルアプリでは死活問題となっている。
一般的に、ディスクI/OはCPUやネットワークに比べてスケールのしづらさが大きな課題と言われる。同社の現在の構成では、EC2のHigh I/Oインスタンスを活用し、高速なSSDの恩恵を受けている。最近になって提供されたProvisioned IOPSというサービスも、すでに本番環境で使用するなど研究に余念がない。また、ゲームログの解析にはAmazon EMRを活用し、Hadoopを駆使したデータ分析を行っている。
「AWSには非常に多岐にわたるコンポーネントが集まっている、いかに活用し独自の強力なシステムを組んでいくのかがカギとなる」と見解を述べた。
アマゾンクラウドを活用して日本からアジアへ
初日の基調講演の最後のゲストとなったのがブイキューブの間下直晃氏。テレビ会議やWeb会議といった、ビジュアルコミュニケーションのサービスをオンプレミス/クラウドの双方で提供している会社だ。オンラインセミナー、ウェビナーという単語も一般的になってきており、現在急速に伸びている市場の1つだ。
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図4:間下直晃氏(株式会社ブイキューブ 代表取締役社長) |
同社は、インストール不要かつ多種多様な機種への対応を強みとし、最後発ながらWeb会議分野で業界シェアNo.1を獲得している。今後はアジア・パシフィックに重点を置きながら国際展開を目指し、アジア諸国へ進出している日本国内の会社を積極的にサポートする方針を掲げている。
今回、主力サービスの1つであるオンラインセミナーのサービスをリニューアルし、グローバル展開している。AWSを採用した理由として、すでに8つのリージョンでサービスが始められており「明日からでも南米でサービス開始できる」のが決め手となったと同氏は語る。マーケティング的なトライアルも容易で、海外の場合は圧倒的なメリットがある。
ただし、エンタープライズ分野における信頼性や安定性の面から、クラウドという選択には難しさもあったという。しかし最近では、国内でも徐々に事例が増えており、クオリティが実証されてきている。「今後もAWSを活用して、日本の良いサービスをアジアを中心とした世界に向けて発信していく」と意気込みを語った。
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