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連載: 

富士通が語る「Cloud Foundryを選んだ決め手はエコシステムの拡がり」

2016年12月1日(木)
松下 康之
2016年11月11日に横浜で「Cloud Foudry Days Tokyo 2016」が開催。国内事例としてやインテグレーションを行うサードパーティのデモなども行われ、活発な意見交換が行われた。

オープンソースのPaaS(Platform as a Service)の最大手、Cloud Foundryのイベント、「Cloud Foundry Days Tokyo 2016」が2016年11月11日に横浜で開催された。イベントでは富士通やNTTコミュニケーションズ、ヤフージャパン、楽天などのエンジニアが登壇し、自社の事例について紹介。またPivotalやドイツでサービスを展開するanynines、Googleに買収されたAPIサービスのApigee(アピジー)などのエンジニアも登壇し、活発な意見交換が行われた。

Clound Foundryはポジティブサムゲーム

イベントの冒頭にプレゼンテーションを行ったのはCloud Foundry FoundationのCTO、Chip Childers氏だ。まずCloud Foundryの歴史を紹介し、VMwareから始まったCloud Foundryの開発、オープンソース化、Pivotalの創設、非営利団体であるCloud Foundry Foundationの設立とIPの移譲までを振り返った。その中で、Cloud Foundryは常にContinuous Innovationを念頭において開発されたと解説した。

プレゼンテーションを行うCTOのChilders氏

プレゼンテーションを行うCTOのChilders氏

Childers氏はCloud Foundryのコンセプトを「ポジティブサムゲームである」と語る。これは全てを足すとゼロになるゼロサムゲームとは異なり、全てを足すことで総和も大きくなるというものだ。Childers氏は具体的なプラットフォームの例としてiPhoneを挙げ、MP3プレイヤーと電話、カメラが一緒になることでより価値が上がったことを紹介した。そして、iPhone上でアプリケーションのアップデートがバックグラウンドで行われているようすを、Continuous Innovationの例として引き合いに出した。さらに同じくポジティブサムゲームの例として、Google発のコンテナオーケストレーションツールであるKubernetesを取り上げた。KubernetesはCloud Foundryと機能的に一部重なるが、それぞれのエコシステムが発展するように協力していることを紹介し、Google、Red Hatなどとも競いながらも協力をしていると語った。

また認定制度であるCloud Foundry Certificationについて、商用のCloud Foundryディストリビューションとサービス、オープンソース版のCloud Foundryなどについても一貫性を保つことを念頭に実施されていることを紹介した。そしてGoogleやAWS、Microsoftなどのクラウドプロバイダー、EMC、VMwareなどのベンダーがCloud Foundryの発展のために協力している部分を紹介した。

サーティフィケーションを受けているベンダーの一部

サーティフィケーションを受けているベンダーの一部

最後にChilders氏は、Cloud Foundryに関する数字をいくつか披露し、合わせてCloud Foundryのモットーとしてプラグマティック(実利的、現実的)であること、多様性を重視していること、常にチームの中で敬意をもって仕事をしていることを紹介してプレゼンテーションを終えた。

Cloud Foundryのコミット数など。サポートするプラットフォームが多いのが特徴

Cloud Foundryのコミット数など。サポートするプラットフォームが多いのが特徴

多彩なゲストスピーカーが登壇

CTOのプレゼンテーションに続き、様々なゲストスピーカーが登壇する。最初に楽天のエンジニアのCarlo Alberto Ferraris氏が、楽天におけるCloud Foundryの導入状況を紹介。既に6年前から社内での稼働実績があるという。

楽天のVMwareベースのCloud Foundryの導入事例

楽天のVMwareベースのCloud Foundryの導入事例

次に登壇したのは、anyninesのCEO、Julian Fischer氏だ。anyninesは、ドイツでCloud Foundryに特化したデータサービスを提供している。Fischer氏は、anyninesがヨーロッパで初めてコミュニティ版のCloud Foundryを使ったプロダクションシステムをサービスとして公開した企業であることの紹介からプレゼンテーションを始めた。そしてデータストレージとしてPostgreSQLをCloud Foundryから利用するユースケースについて、詳しく解説を行った。

プレゼンテーションを行うanyninesのFischer氏

プレゼンテーションを行うanyninesのFischer氏

次に登壇したのは、Pivotalの日本法人であるPivotalジャパン株式会社のエバンジェリスト、市村友寛氏だ。市村氏は同じくPivotalジャパンのGwen Etourneau氏とともに、Pivotalの掲げる「Circle of Code」というコンセプトを紹介。Cloud Foundryだけではなく、Spring Oneフレームワークやビッグデータ分析のPivotal Big Data Suiteまで全ての開発を行っていることを紹介した。

プレゼンテーションを行うPivotalジャパンの市村氏

プレゼンテーションを行うPivotalジャパンの市村氏

ここでは、Cloud Foundryをコアにしたソフトウェア開発の流れが紹介された。特に注目を集めたのはPivotal TrackerというSaaS型のプロジェクト管理ツールであり、PivotalのAgileな開発スタイルに非常にマッチしたプロジェクト管理の仕組みだ。社内でのプロセスをそのままツールにしたかたちと言えよう。またプログラミング言語のSpringやGoがCloud Foundryの開発で使われていることも紹介された。さらにMicrosoftと協力しながら、.NETのアプリケーションを開発するためのフレームワーク、Steeltoeが立ち上がっていることを説明し、Cloud Foundryのエコシステムが拡がっている部分を強調した。

Circle of Codeを実現するPivotalのソフトウェア群

Circle of Codeを実現するPivotalのソフトウェア群

さらにEtourneau氏は、ソフトウェア開発におけるパイプライン管理を行うCIツール、Concourseを紹介。ここでプロジェクトに対してJavaのコードを変更すると、ConcourseがGitレポジトリの変更を検知し、自動的にテストとデプロイが行われるようすを見せた。

次にApigeeの関谷和愛氏が登壇し、Cloud FoundryとAPIをベースにして様々な機能を簡単にWebアプリへ追加できることを示すデモを行った。ここではデータのキャッシングのオンオフやアクセス数のしきい値の設定などが、アプリのコードを書かずにApigeeで制御できることが示された。Apigeeは2016年の9月にGoogleに買収されたベンチャー企業で、関谷氏の「今回の登壇が、Apigeeの日本法人社員としては最後かもしれない」というコメントが場内の笑いを誘っていた。

Apigeeの開発環境のデモ

Apigeeの開発環境のデモ

Apigeeの関谷氏

Apigeeの関谷氏

プレゼンテーションパートの最後は、NTTコムと富士通によるCloud Foundryの導入事例で、選択の経緯やシステムの概要などが紹介された。特にNTTコムは、日本で唯一のCloud Foundryの認定を受けたベンダーであるということを強調していた。

NTTコムは日本で唯一の認定を受けたCloud Foundryのベンダーであることを紹介

NTTコムは日本で唯一の認定を受けたCloud Foundryのベンダーであることを紹介

また富士通のプレゼンテーションでは、PaaSとしてCloud Foundryを選んだ理由として「機能よりもエコシステムが出来上がっていることを重視した」というコメントがあり、ここでもソフトウェアの機能だけではなくそれが永続的に発展するための仕組みが評価されている点が印象的であった。

Cloud FoundryのCTO、Chip Childers氏とanyninesのCEO、JulianFischer氏のインタビューはこちらを参照されたい。

Cloud Foundry FoundationのCTOが語る「Cloud Foundryの強さは数よりも品質」

フリーランスライター&マーケティングスペシャリスト。DEC、マイクロソフト、アドビ、レノボなどでのマーケティング、ビジネス誌の編集委員などを経てICT関連のトピックを追うライターに。オープンソースとセキュリティが最近の興味の中心。

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