PosgreSQL導入のためANAシステムズが行ったガイドライン策定の取り組み

2014年7月17日(木)
Think IT編集部

航空輸送事業において、トラブルのない安心・安全な運行のためにも堅牢なITシステムの存在は重要であり、航空券の予約やチェックインなど、利用者にとって利便性の高いサービスを提供するためにも必要不可欠だ。今回は、アシストフォーラム2014のセッションから、ANAシステムズ株式会社のPostgreSQL活用に向けたガイドライン整備の取り組みについて紹介する。

ANAシステムズは、ANAグループ内でITシステムを運用するための唯一の企業として、2013年4月、株式会社ANAコミュニケーションズと全日空システム企画株式会社の合併によって設立された。

登壇した吉村 桂氏は品質・技術統括室にあるITアーキテクチャチームに所属しており、主に技術面での社内統括的な立場を担っている。ミッションクリティカルなシステムが多いことから、高い品質を求められるため、技術面から品質を守るという目的を持って日々活動している。

データベースの安定運用を目指す取り組み

吉村氏は、それまでDWHのシステムのデータベース管理者として、Oracle DBを使ったデータベースの構築、保守運用をしていた。データベースの規模も大きく、常にパフォーマンスの劣化やリソース不足との戦いだったが、Oracle DBの機能を駆使して問題解決したり、同製品を知る良い機会だったと振り返る。

どちらかというと実験的なことができる環境ということもあって、比較的早い時期からパーティションの機能を使った改善や、RACの導入を行っていたため、この時所属していた部署は社内で最もOracleDBのノウハウが蓄積されていた。

ちょうどその頃、世間的なオープン化の流れに乗って、サーバー系にシステムを移行することになり、Oracle DBが使われるようになってきた。中には性能要件の厳しいミッションクリティカルなシステムもあり、Oracle DBの重要度が徐々に増してきていた。
ただし、各システムが個別に構築を進めてきたことで、同じOracleDBでも設計方針や細かい設定が個別最適化されていたため、データベース管理者による現状把握が難しい状況になっており、その場その場で性能のチューニングを行った結果、構成が複雑になってしまっていた。

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このような状況では、万が一障害が発生しても解決に時間がかかってしまい、その障害が他のシステムでも発生するのかを把握するのが難しいし、障害が発生しない対策を採るのが難しく、安定運用の弊害となる状況が浮き彫りになってきていた。

そこで、もっと盤石なデータベース基盤にする必要があるのではないか、データベースの安定運用を目指すべきだという意見が出てきたため、2007年頃、所属していたDWHシステムのデータベース管理チームがこれまでのノウハウを活かして、データベースに関する社内全体を取りまとめるという位置づけで活動していくことになったという。

第一歩として、問題となっていた設計や構築、運用管理の、これまで個別最適化されていた部分を標準化するためにガイドラインの作成に取り組みはじめた。思いつきでその場しのぎの設計をするのではなく、どのシステムでも共通な部分は標準化して一定の品質を保つことを目指してきたと吉村氏は振り返る。

2008年頃、OracleDBに関する各種ガイドラインが完成。実際のシステムへの適用支援や、稼働しているシステムがガイドラインに則って作られているかといった適合点検、社内向けの技術教育を行ってきた。障害が少ない、安定した運用を実現できたことで、当初目指していた盤石なデータベース基盤に近づいていると実感したという。

ガイドラインを作成した後は、OracleDBのバージョンアップに合わせて、11Gに対応するなど、ガイドラインのバージョンアップも行っている。

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