Drupalビジネスコンソーシアムが第1回説明会で今後の活動方針を発表
Drupalビジネスコンソーシアム(以下:DBCJ)は9月9日、賛同団体であるサイオステクノロジー本社(東京都港区)で第1回説明会を開催した。設立後各方面から注目の集まる団体の意義、活動方針が大いに語られた。
単なるCMSには留まらないDrupalの可能性
初めに挨拶として理事長を務める小薗井 康志氏が登壇し、DBCJの発足動機が語られた。「今日、ユーザーの期待するITは"積極的にITを使って売上を上げる"ことであり、現状はその反面エンジニアの人材確保が困難になっている。」とし、同氏の経験ではWebサイトを構築する際にかなりムダな部分が多いという懸念があった。その様な状況下で4年ほど前にDrupalと出会い、造詣を深めていった経緯がある。
「一般的な認識ではDrupalはCMS(ContentManagementSystem)と理解されており、WordPressと同列に比較される事も多い」と日本でのDrupalの現状を挙げ「Drupalの本質はWebアプリケーションフレームワークである」と強調する。Drupalはコマースサイト、コミュニティサイト、グループウェアなどに幅広く活用されている。また、SQL文を書かずにデータベースを上手く使った構築が簡単にできることも特長の1つだ。それらは強力なモジュールによって実現されている。あたかもレゴブロックの様にモジュールを組み合わせる事によってWebサイト構築に必要なさまざまな機能を追加できる。
Drupalを使って効率よく構築を行い、前出の通りエンジニアが足りない状況を打破し、ビジネスのバリューを加速できるとした。また、オープンソースの利点を活かし、必要とされるモジュールを作成したり、今日足りないと言われている翻訳の部分での活性化を目指す。
賛同団体からの期待
続いて賛同団体を代表して、サイオステクノロジー株式会社OSSテクノロジーセンター センター長の黒坂 肇氏が登壇した。「最近はオープンソースに期待されるのはコストでは無く、開発のスピードが要求されている」と分析する。そんな状況下でDrupalを推し進めて行く事は大きなメリットと捉えている。
DBCJの積極的な支援とDrupalに興味を持った企業をサポートして行く事でより良いITを提供する事を同社の役割と考えている。今後の展開としては「Webアプリケーションのフレームワークとしてどんなものを提供できるかがポイント、現場で働く企業にどんどん参加して欲しい」と賛同を呼びかけた。
自由なPaaS環境を日本に
副理事を務める池田 秀一氏は「自由なPaaS環境を日本に」と題し、日本市場の現状や海外でのDrupalの活用事情についてプレゼンを行った。
「オープンであるはずのOSSが1社のコントロール下にあるのはあまり良い印象が無く、ユーザーにとって複数の選択肢がある"自由な物"が本来の姿ではないのか?」と問題提起する。米国ではAcquia社やPantheon社に代表されるような企業がDrupalでのサービスを展開しており、ユーザーは自由に選択する環境が整っていると指摘。欧米より大きく後れを取る日本にDrupalを浸透させる為に、現場の技術者を前提とした旧来のコミュニティ形式を更に前進させるべく、別の視点で大手SIerをも巻き込んで日本の市場を作って行きたいとの思いを語った。
日本のIT市場
今の日本市場を「良くも悪くもSI企業が重要な市場である」と指摘し、現在も大手SIerへの働きかけを実施し、中堅SIer、ISV、ユーザー企業も巻き込んで行く計画も立てている。そこに根差す考えは「三方一両得」(大岡越前の逸話「三方一両損」に由来)であり、「手足を動かした人(企業)が報われるIT社会」の実現という思想がある。言及するならば「人月ビジネス」からの脱却でもあるとする。
Drupalを活用すれば、要求される"短納期"に対しても、素早く対応できる。"短納期"の要求は消費税率の変更、マイナンバー制度の導入、東京オリンピック等をはじめとする、社会的な動向で益々強まると予測されているからにほかならない。前述の要素にも付随するが、多言語対応、ユーザービリティーの向上も加味されより複雑な物となっている。
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