ネットワーク技術者の登竜門「Cisco CCENT/CCNA」を知る!学ぶ! 1

OSIとTCP/IPを比較する

OSIとTCP/IPを比較する

基本的な概念で言うと、OSIモデルにはTCP/IPモデルとの類似点がいろいろあります。OSIには7つのレイヤがあり、それぞれのレイヤで代表的なネットワーキング機能が定義されています。TCP/IPと同様に、OSIの各レイヤは、そのレイヤで定義された機能を実装する複数のプロトコルと規格を参照しています。また、これもTCP/IPと同様に、OSIの策定委員会は新しいプロトコルや規格を作成するのではなく、すでに定義されている他のプロトコルを参照することがあります。たとえば、イーサネット規格はIEEEで定義されているため、OSIの策定委員会はイーサネットを新たに定義して時間を無駄にするのではなく、IEEEのイーサネット規格を参照しています。
現在、OSIモデルは他のネットワーキングモデルとの比較標準という新たな役割を担っています。図1は7層のOSIモデルを4層と5層のTCP/IPモデルと比較したものです。

図1:OSIモデルと2つのTCP/IPモデルの比較

ここでは、OSI用語の2つの用途について説明します。これらの用途には、他のプロトコルを説明するという目的と、カプセル化のプロセスを説明するという目的があります。その過程で、OSIモデルの各レイヤを簡単に説明します。

OSIモデルのレイヤを参照することでプロトコルを説明する

ネットワーキング関連の現在のドキュメントでも、TCP/IPのプロトコルと規格を説明するために、OSIのレイヤをレイヤ番号とレイヤ名で参照することがよくあります。たとえば、LANスイッチはよく「レイヤ2スイッチ」と説明されており、「レイヤ2」はOSIモデルのレイヤ2を表します。OSIモデルでは、7つのレイヤの機能が明確に定義されていたため、それらの機能を知っていれば、製品や機能がOSIのレイヤを参照しているときにそれらの意味を理解できることになります。

もう1つの例として、主にIPによって実装されていたTCP/IPの初期モデルのインターネット層は、OSIのネットワーク層にほぼ相当します。このため、ほとんどの人は、OSIの用語とレイヤ番号を使って、IPをネットワーク層プロトコルまたはレイヤ3プロトコルと呼んでいます。もちろん、TCP/IPモデルで一番下のレイヤから番号を振るとしたら、TCP/IPモデルのどちらのバージョンを使用するかに応じて、IPはレイヤ2またはレイヤ3になるはずです。しかし、IPがTCP/IPプロトコルであるとしても、IPやその他のプロトコルを説明するときには、誰もがOSIモデルのレイヤ名やレイヤ番号を使用します。

TCP/IPの特定のレイヤがOSIの特定のレイヤと似ているという主張は、総体的な比較であって、具体的な比較ではありません。これは乗用車とトラックを比較することに少し似ています。どちらもA地点からB地点まで移動できますが、トラックには積み荷を運ぶための荷台があるなど、具体的に異なる部分がいろいろあります。同様に、OSIモデルとTCP/IPモデルのネットワーク層はどちらも論理的なアドレッシングとルーティングを定義しています。ただし、アドレスのサイズが異なりますし、ルーティングプロセスに至ってはその働きが異なります。このように、OSIモデルのレイヤと他のプロトコルモデルとの比較は、大きな目的のための総体的な比較であり、具体的な手法を比較するものではありません。

この記事のもとになった書籍
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Wendell Odom 著/株式会社クイープ 訳
価格:4,400円+税
発売日:2014年03月05日発売
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