OpenStack、Docker、Hadoop、SDN、.NET…、2014年のOSS動向をまとめて振り返る
OpenDayLight&Software-Defined Network(SDN)&MidNet
- 【02/06】オープンソースSDNプロジェクトのOpenDaylightが初リリース、「Hydrogen」が登場(参照記事)
- 【10/08】ブロケード、OpenDaylightベースのSDNコントローラー提供(参照記事)
SDNを実現するためのソフトウェアをオープンソースで開発することを目的にCiscoSystems、Microsoft、IBM、VMware、Brocade、JuniperなどのIT業界の主要なプレイヤーが集まり、The Linux Foundationがホスト役となった「OpenDaylight」プロジェクトが、2月に最初のバージョンとなる「Hydrogen」を公開しました。
9月末に公開された2番目のリリースである「Helium」をベースにBrocadeが「Brocade Vyatta Controller」という名称でSDNコントローラを発表しました。ソフトウェアによってネットワーク機能を実現することに力を入れており、Brocadeのスイッチだけではなく、他社のネットワーク機器もまとめて管理下に置き、フローの変更を行える機能も備えています。
- 【11/04】ミドクラ、ネットワーク仮想化ソフト「Midonet」をOSSとして公開(参照記事)
また、ミドクラが11月に自社開発製品である「MidNet」をオープンソースにすると発表しました。
「MidNet」は、ハイパーバイザーの仮想スイッチ「Open vSwitch」をコントロールし、仮想スイッチ間でトンネル通信を行うことで仮想的なネットワークを作り出すという「オーバーレイ型」のネットワーク仮想化ソフトです。
「OpenDayLight」には、オーバーレイ型のネットワーク化の機能が乏しく、既存ユーザやOpenStackのコミュニティからも「MidNet」に対する期待が大きく、さらにオープンソース化を望む声が大きくなってきたことにより、足掛け5年、25億円以上の投資をして開発したソフトウェアを公開することにしました。
.NET
- 【11/13】「.NET Framework」、オープンソース化へ。MacやLinuxへの展開も視野に(参照記事)
今年の4月に米国で開催された開発者会議「Build 2014」において、Xamarinと提携して「.NET Foundation」の設立を発表しました。その後、11月に開催された開発者向けイベント「Connect();」において、「.NET」のオープンソース化およびクロスプラットフォーム化と、開発ツール「Visual Studio」の全機能を備えた無料版「Visual Studio Community 2013」の提供を発表しました。
今や、Microsoftにとっても、「.NET」は絶対的な開発環境ではなく、多くの選択肢のひとつに過ぎないことを表しているのかもしれません。特にMicrosoftが提供するクラウドである「Azure」では、稼働するOSの既に20%がLinuxであることからも、Windowsにこだわっていては、将来がないという判断ではないかと思います。
Hadoop
- 【03/28】米インテルがクラウデラに出資、Hadoopディストリビューション「CDH」へ統合(参照記事)
- 【12/19】NTT/NTTデータから3氏がHadoopや関連プロジェクトの「コミッタ」に就任(参照記事)
2013年10月に公開された「Hadoop 2.0」をベースにCloudera、MapR、Pivotal、HortonWorksなどが続々とディストリビューションを発表してきた一年でした。従来、Hadoopはバッチ処理のイメージが強かったわけですが、「Hadoop 2.0」からは、柔軟でリアルタイム処理にまで対応できるプラットフォームへと広げてきました。
3月には、米国インテルがClouderaに出資を発表しました。インテルはビッグデータ時代へ向けた新しいプラットフォームの開発という大きな課題に対し、Hadoopでこれに対応しようとしているようです。今後、Clouderaが提供するHadoopディストリビューションは、インテルアーキテクチャへ最適化し、従来インテルが提供していた独自のHadoopディストリビューションは、Clouderaが提供する「CDH」に統合されることになりました。
最後に今年最大のニュースは、日本企業からHadoopのコミッタが3名出たことでしょう。NTTとNTTデータからで、これは両社のHadoop関連ビジネスを強化する一環で、従来はHadoopのディストリビューションを販売する米国クラウデラ社にパッチ開発などを依頼していたが、現在は10名程度の技術者がソースコード開発を行い、顧客の要望に対応する体制を整えています。
11月からスタートした週刊OSSウォッチも、今年の記事はこれが最後になります。まだまだ、未熟でうまくご紹介できていないところもありますが、来年もいろいろご紹介していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。なお、新年最初の記事は、2015年に動向が注目されるOSSを取り上げる予定です。お楽しみに。
それでは、みなさま良いお年をお迎えください。
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