小中高校生のロボットコンテスト「WRO2016 Japan」決勝大会レポート
世界50か国以上の小中高校生が競う自律型ロボットのコンテスト「WRO」の、日本での決勝大会が9月18日に開催された。市販ロボットキット(レゴマインドストームEV3またはレゴマインドストームNXT)を使って自作したロボットにより、カテゴリーごとに技術を競った。表彰された中から選抜されたチームは、11月にインドのニューデリーで開催されるWRO国際大会に出場する。
全国34地区・1,300チームの予選を勝ち抜いた全126チームが、小雨の中、東京都江東区の夢の島の「BumB東京スポーツ文化館」に集まった。スポーツ大会で使われる会場であり、観客席は家族などの応援で満席となって、まさに全国大会という熱気に包まれた。
タイムと正確さを競え! レギュラーカテゴリー
大会は、メインの競技である「レギュラーカテゴリー」と、設定されたテーマについて自由にロボットを使った作品をブースで展示・プレゼンする「オープンカテゴリー」の2つに分けられた。
レギュラーカテゴリーは、上級者の「エキスパート競技」と、初学者向けの「ミドル競技」に分かれ、それぞれさらに小学生、中学生、高校生に分かれて競技が実施された。いずれも1,800mm×900mm程度の台(コート)の上に、ラインなどをたよりに、決められたイミッションを実行する時間や正確さを競った。
レギュラーカテゴリーは、当日発表のルール「サプライズルール」の発表から始まった。事前に発表されたルールに加え、サプライズルールに対応することで、さらに点数が加算される。
ルールの説明の後にカウントダウンが始まり、スタートの合図と同時に参加者たちが一斉に部品や道具を取り出した。あとはひたすら、ロボットを組み立て、ルールにあわせてプログラムを調整していく。
組み上がってきたら、実際のコースを使って試走し、動作を確認する。意図したように動いていない部分を見つけては、自分たちの席に戻って再調整する。与えられた時間(ミドル競技で120分、エキスパート150分)が終わりに近づいてくると、試走の順番待ちも自然と長くなってくる。
組立・調整の時間が終わったら、ロボットを提出して、競技までは手を出せない状態になる。ここで車検が行なわれ、ロボットのサイズなどがチェックされる。
そのうえで、審査員の指示の中、1チームずつコースを実走して競技が行なわれた。途中でトラブったり、ゴールできなかったりなど、なかなか競技は厳しい。1回目の競技が終わったら、20分間の再調整の時間が設けられ、2回目の競技が行なわれた。
エキスパート部門ではさらに、各チームがロボットを解説するプレゼンも行なわれ、別途審査された。
競技の結果は?
すべての競技が終わったあと、審査員の審査を経て、結果が発表された。
ミドル競技の小学生部門は、優勝がチーム「water」、準優勝がチーム「ウルトラS」、3位がチーム「ロボのミクス給水器」となった。
同じく中学生部門は、優勝がチームチーム「大館S.Y Motors」、準優勝がチーム「つばた」、3位がチーム「追手門Challenger」となった。
同じく高校生部門は、優勝がチーム「team STY」、準優勝がチーム「Otemon I‘m Galaxy」、3位がチーム「美来工科M1」となった。
エキスパート競技はまず、プレゼン部門から発表された。小学生部門は、最優秀賞がチーム「ロボッターMHK」、優秀賞がチーム「ミラクルロボ」、プレゼン賞がチーム「can3」となった。
同じく中学生部門は、最優秀賞がチーム「MRT Japan」、優秀賞がチーム「かがやき2016富山」、プレゼン賞がチーム「SQUARE」となった。
同じく高校生部門は、最優秀賞がチーム「T-trinity」、優秀賞がチーム「Reach」、プレゼン賞がチーム「DENGIKENδ」となった。
エキスパート競技の小学生部門は、優勝がチーム「3πr」、準優勝がチーム「サンダーバード555」、3位がチーム「スピードロボⅢ」、審査員特別賞がチーム「ミラクルロボ」だった。
同じく中学生部門は、優勝がチーム「帝塚山Drei Licht」、準優勝がチーム「チーム真剣(GACHI)」、3位がチーム「遠州魂」、審査員特別賞がチーム「ロボターズⅡ」だった。
同じく高校生部門は、優勝がチーム「T-trinity」、準優勝がチーム「サンダーバード59号」、3位がチーム「YTHS ORANGE V」、審査員特別賞がチーム「質実GO健」だった。
テーマを自由に解決するオープンカテゴリー
レギュラー競技と並行して、設定されたテーマについて自由にロボットを使った作品をブースで展示・プレゼンする「オープンカテゴリー」も実施された。朝からブースを準備し、用意ができたところで審査員や来場者へのプレゼンがなされた。
テーマは「Rap the Scrap」。廃棄物を処理したり再生したりするアイデアをロボットで実現するというものだ。
優秀賞には、「福岡県立香椎工業高等学校」「Mountain SKY」「norn」「追手門Forest Challenger」の4チームが選ばれた。ただし、最優秀賞は「該当なし」となり、審査員の「動作しないものや、詰めの甘いものが多かった」との厳しいコメントが添えられた。
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