自分の島を創ろう!

2008年9月12日(金)
劉 小路

OpenSimの動作モード

 OpenSimはスタンドアローンモードとグリッドモードの2つの動作モードがあります。

 スタンドアローンモードではOpenSimサーバーを1つのデスクトップアプリケーションのように起動でき、煩雑な設定は一切必要なく、簡単に仮想世界サービスを立ち上げることができます。前述の「クイックスタート」で紹介したのはこのスタンドアローンモードです。

 OpenSimはセカンドライフと共通なデータフォーマットを使っているので、現在多くのデザイナーたちが島を制作する時、OpenSimのスタンドアローンモードで試作品のプレビューを行っています。スタンドアローンモードは、その特性を生かして、3Dプレゼンテーションツールとしての利用や、病院、遊園地の案内などに使うこともできるでしょう。

 しかし、スタンドアローンモードは設定が簡単ですが、拡張性がないため、複数のOpenSimサーバーの相互接続や大規模な仮想世界サービスの構築には向いていません。そういった要望に応えるのはグリッドモードです。

 グリッドモードはセカンドライフのような仮想世界サービスを構築するための動作モードです。グリッドモードでは、離れた場所にあるOpenSimサーバー同士を相互接続させて、複数の島からなる巨大仮想空間をシームレスに構築できます。これにより、島がそれぞれ別のOpenSimサーバーにあっても、隣の島に移動したり、離れた島にテレポートをしたりすることができます。

 こうしたセカンドライフのような大きな仮想世界をグリッドサービスと呼びます。以降でOpenSimをグリッドモードで起動し、自分の島を大きなグリッドサービスの一部分として公開する方法を紹介します。

グリッドモード設定

 ここでは、OSGrid(http://osgrid.org/)に自分の島を登録して、ログインする方法を説明します。島の登録は無料で行えますが、OpenSimの稼働マシンに外部からアクセス可能なグローバルIPアドレスが必要です。

 OpenSimの設定ファイルは、bin/OpenSim.iniです。OpenSim.iniが見つからない場合、同じディレクトリにあるOpenSim.ini.exampleをコピーして作成してください。OpenSimをグリッドモードに切り替えるにはOpenSim.iniに以下の変更が必要です。

 まず、Startupセクションでは、gridmodeの値をデフォルトのfalseからtrueに設定します。またasset_databaseの値をデフォルトのlocalからgridに変更します。

gridmode = true
asset_database = "grid"

 続いて、Networkセクションでは、サーバー情報をOSGridのサービス情報に書き換えます。

 grid_serverの値を以下のように変更します。

grid_server_url = "http://osgrid.org:8001"
grid_send_key = "1234"
grid_recv_key = "1234"

 user_serverの値を以下のように変更します。

user_server_url = "http://osgrid.org:8002"
user_send_key = "1234"
user_recv_key = "1234"

 asset_serverの値を以下のように変更します。

asset_server_url = "http://osgrid.org:8003"

 inventory_serverの値を以下のように変更します。

inventory_server_url = "http://osgrid.org:8004"

 次はOSGridへの登録方法を説明します。

3Di株式会社
京都大学情報学科、東京大学大学院を経て、2006年ヤフー株式会社に入社し、Webサービスのバックエンドシステムの開発に従事。現在、シニアエンジニアとして3Di株式会社で3Dサーバアプリケーション製品開発を担当。OpenSimプロジェクトのコントリビューターでもある。http://3di.jp/

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています