【男性は口出し厳禁!】女性は女性から学べ

2024年9月13日(金)
宮川 文吾
本連載では、演出家であり脚本家である著者の経験から、他業種の視点でエンジニアに役立つ知識などを紹介していきます。

毎日暑いですね。宮川です。こんにちは。暑すぎて冒頭挨拶も省エネ。体が溶けすぎて、キングスライムのようになっている今日この頃です。

さて、先日とあるアニメシナリオを脱稿したのですが、監督やプロデューサーさん達から、

「宮川さんは、女性心理を描くのがうまいですね。
 男性は男性で大人になってもアホ少年でいる辺りもうまく書けるし」

とお褒めの言葉を頂きました。ひゃっほぅ。ただし、現実社会では全く役に立っていません。…いや、そうでもないか。私、講演会の延長で軽いコンサルみたいなお仕事も引き受けたりしているんですが、今回はそんな話を。

女性の心理を理解するのは至難のワザ

このコラムの読者のうち、何割が女性なのか分かりませんが、私が大学で心理学を学んでいたときにつくづく思ったのが「女性は絶対に男性からマインドに関するアドバイスを受けてはいけない」ってことです。マインド面は男と女は違いすぎます。これは人種以上にハッキリしていて、まじで違う生き物です。

男性は基本「シンプルイズベスト!」なので、そんなに難しいことは考えられません(笑)。女性は仕事以外にも複合的な悩みを抱えているので、本当に難しいです。きっと我々男性からすると、真の意味で理解する日はやってきません。

だから女性に対して、お仕事だけのコンサルって基本的にできないんですね。結局、家庭、仕事、時間。これらに付随する例えば母親としての悩み。ここまでケアできないと、成果までたどり着かないのです。こんなときに「あー、シングルファーザーを経験しておいて良かった」とか「少女マンガ原作のお仕事を何本も受けておいて良かった」とか思ったりするのです。

ぶっちゃけ、

「マインド面は自分でなんとかしてほしいぜ」

と過去何度も思っていたけど、

「そいつはムリな相談だぜ」

という結論に辿り着きました。

女性は女性から学ぶべき

深く突き詰めれば突き詰めるほど、お世話しなくても大丈夫な女性は、かなりのレアケースです。SSRです。その辺が分かっていない男性からヘタに学んだら、本人の自己肯定感とか今までの癖をゴリっと行動で補填しようとします。

  • 罰則を採用しよう
  • 何でもいいから、とにかくやれ
  • なんで、できないのかなぁ……
  • まだマインドがどうこうとかって言ってるの?

こんな言葉、男性の皆さんは部下に使っていませんか? 事実、その対応に疲弊した女子に長文の泣き愚痴メールをいただいたことも数回……いや、数十回……。

なので、女性の皆さんはお仕事を学ぶなら、女性から学ぶ。男性の皆さんは可能なら女性の方に女性の指導をお願いする。

先日納品したシナリオで描いた働く女性をどう描いたのかというと、仕事で壁にぶつかっているように見えて、実はハートで作った壁にぶつかっていたっていう。

「私でもこのプロジェクト大丈夫でしょうか?」
「いえいえ、私なんか大したことできないんです…」

って自分で自分を言葉で縛り付けちゃうってね。それこそ、息をするように自分に対して壁を作る人が本当に多い。あ、最近の若い男性もそうかも。

結局マインドというか、思考の癖は幼い頃からの積み重ねなので、壁を作るのが日常すぎて壁を作っていることにも気づかないことも多いです。

あれ? なんかすっごくマジメなコラムになってきたぞ?

アニメを例えに出してみよう。子どもに見せたくないアニメランキングの上位を突き進む名作「クレヨンしんちゃん」。親子で見たいアニメ映画ランキングの上位も常連です。なんでやねん。

ここに登場する、母ちゃん。野原みさえ。なぜ、ファミリーで人気があるかって、セリフが秀逸だからなんですね。理屈じゃなくて感情で表している。

「あなたには分からないかもしれないけど、親っていうのは子どものためなら何だってできるのよ!」
「親にとって、子どもは自分以上なの。優しいパパばかりに甘えるんじゃない! 好きで嫌われ役やってるんじゃないわよ」
「今できることすべてをやりきるのが、あたしたちらしいと思う」

どれも、ステキなセリフですよね。ちなみに私が一番好きな、野原ひろしのセリフは、

「家族だから幸せなわけじゃない。野原家だから幸せなんだ!
 俺とみさえとしんのすけとひまわり、この4人で幸せを作ってるんだ!」

です。実に事実を感情的に表している男性らしい良いセリフじゃありませんか!

現実社会でも、良いセリフ口にできるようになって、絶対モテてやるんだから! じっちゃんの名にかけて! (←こういうところ、な)

1974年生まれ。演出家・脚本家。コンサート演出、フェス演出、テーマパークショー演出など多岐に渡る。脚本代表作は「はなかっぱ」「ベイブレードバースト神」などアニメ作品が中心。

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