なぜファイルサーバーはごちゃごちゃに?
ファイルサーバーの種類
一般的にファイルサーバーは、次の4つに大きく分類することができる。
1つ目が、複数台のハードディスクを搭載してRAIDを組むことが可能なエントリーNASである。これは、個人、SOHO、小規模部門向けとなる。代表的な機器としては以下のようなものがある。
・LAN DISK Teraシリーズ(株式会社アイ・オー・データ機器)
・TeraStation PROシリーズ(株式会社バッファロー)
2つ目が、Windows ServerにてIAサーバーの内蔵ディスクもしくは直接型ストレージ(DAS:Direct Attached Storage)を接続したファイルサーバーだ。これは10クライアント以上の規模向けとなる。
3つ目がWindows Storage Serverを搭載したNASである。接続目安は200クライアント以下となる。代表的な機器としては以下のようなものがある。
・iStorage NS(日本電気株式会社)
・HP ProLiant SS(日本ヒューレット・パッカード株式会社)
4つ目が専用OSを搭載したNASだ。接続目安は200クライアント以上となる。代表的な機器としては以下のようなものがある。
・EMC Celerra(EMCジャパン株式会社)(図2)
・NetApp FAS(ネットアップ株式会社)
1つ目、2つ目は簡単に導入することができる。これで、最低限の目的を満たすことは可能だ。また、コストも高くないため、一部門内での予算で購入するケースが多い。ただ、比較的簡単に導入することができるがゆえに生じる問題も多く見受けられる。ファイルサーバーがごちゃごちゃしてしまうのだ。
ファイルサーバー管理の負のスパイラル
ファイルサーバーがごちゃごちゃしてしまう原因と、典型的な悩みは以下のようなものである。
まず、ファイルの数や利用者数が増え、データが増え続けるためサーバーの台数を増やす。サーバー台数の増加にあわせ、管理者要員も増やす必要があるのだが、実情は専任ではなくほか業務との兼任なケースが多い。どうしても管理を片手間で行っているので、きめ細かい運用ルールの設定や管理ができなくなる。
こうして、ファイルサーバー運用ルールが定まらないため、あちこちに自分勝手なルールで作成されたフォルダが乱立し、各フォルダに同じファイルが散乱する。結果、重複したデータが無駄に保存されるようになる。
専任ではない兼任の管理者にとって、容量管理、セキュリティー設定、バックアップ対策などは敷居が高い。一方、サーバーの台数が増えることにより対障害性が下がり、データの消失や業務の停滞、ともすれば機会損失の危険性が高まりがちだ。
さらにデータが増えることで、バックアップ方法にも行き詰まる。バックアップに時間がかかると共に、リストアやリカバリーが本当にできるのか不安が生じてくる。
こうした状況の中で、Fixed Contents(長期間変更のないコンテンツ)が増える。アクセスされていない古いデータも、管理者では消去してよいか分からず、そのまま残っている状態になる。
これは、簡単に導入できるファイルサーバーが増えれば増えるほど負のスパイラルに陥ることを意味する。大きなてこ入れをしないと企業レベルでは大きな問題になりかねない。
そして、負のスパイラルが長期的な課題を生んでいく。次ページで紹介する。