国内におけるOpenStackは具体的な導入を計画/検討するフェーズへ、Xamarin SDKをOSS化、ほか

2016年5月13日(金)
吉田 行男
仮想化実施企業の7.0%がOpenStackを本番環境で使用中、ICT関連サービス企業では40%近くが導入に向けて取り組んでいるといった調査結果が発表されました。

こんにちは、日立ソリューションズの吉田です。

今週は急に暑くなり、沖縄では5月としては異例の30度を超える真夏日を3日連続で記録しました。関東地方では、2週連続で『強風の水曜日』となり、交通機関の乱れが発生しました。

今週もOSSに関する注目すべきトピックを取り上げましたので、ゆっくりとご覧下さい。

国内企業におけるOpenStackの導入状況に関するユーザー調査結果を発表

IDC Japanは5月11日、国内企業のITインフラにおけるOpenStackの導入状況に関する調査結果を発表しました。サーバー仮想化実施企業の7.0%がOpenStackを本番環境で使用しており、情報サービスプロバイダーやシステムインテグレーターのようなICT関連サービス企業では40%近くが導入に向けて取り組んでいることがわかりました。また、OpenStackを本番環境で使用、検証中、計画/検討している企業は、クラウド基盤の運用効率化に加え、スピード向上に対する期待が高いことがわかりました。また、OpenStackを使用していく上での課題は、OpenStackに精通しているエンジニアの不足やセキュリティの脆弱性に対する不安でした。国内におけるOpenStackは関心/勉強のフェーズから具体的な導入を計画/検討するフェーズへと移っており、ヤフーやNTTグループをはじめとし、既に導入から使用フェーズに入っている先進的な企業も増えつつあります。

(参照記事:http://www.idcjapan.co.jp/Press/Current/20160511Apr.html

米Pivotalに米フォードと米マイクロソフトが出資、フォードは第3の株主に

米国Pivotal Software社に、米国フォード社および米国マイクロソフト社が出資することが、5月5日に明らかになりました。これはPivotalにとって「Series C」(第3ラウンド)の資金調達であり、今回の総額は2億5,300万ドルです。そのうち、大部分の1億8,220万ドルをフォードが出資することで、既存の出資者であるGEの出資額をフォードが超えることになります。Pivotalの製品/サービスは、独BMW社、独メルセデス・ベンツ社も採用しており、自動車メーカーにおけるソフトウェア開発強化を巡る主導権争いの一つの表れだと考えることができます。

また、マイクロソフトの出資は、戦略的に大きな意味があるといえそうで、プレスリリースによると「マイクロソフトのPivotalへの出資は、Pivotal Cloud FoundryとMicrosoft Azureの間の関係強化についての、企業ソフトウェア開発者からの要望の高まりに応えるもの」と述べています。

(参照記事:http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1605/09/news050.html

CTCとElasticsearch、オープンソースの検索エンジンを活用したビッグデータ解析システムを提供

伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は4月28日、オープンソースの全文検索エンジン「Elasticsearch」を中核としたビッグデータの解析基盤を提供するオランダのElasticsearch社と販売代理店契約を締結し、導入支援・コンサルティング・保守サポートを含めたビッグデータ解析システムの提供を開始しました。Elasticsearchはドキュメントやマシンデータ、位置情報から動画など、リアルタイムに大量のデータ検索と解析が可能なオープンソースのソフトウェアで、IT機器のログ分析によるサイバーセキュリティ対策、動画や画像の検索、ウェブサイトのアクセスログ解析など、さまざまな用途のビッグデータ解析基盤として世界で5,000万件以上がダウンロードされており、スタートアップ企業から大手通信会社まで多くの企業で稼働実績があります。 今後、CTCとElasticsearchは共同で、低コストで高性能なビッグデータ解析システムの提案と提供を行い、顧客企業のビッグデータ活用に貢献していくと説明し、通信事業者やクラウド事業者、コンテンツ事業者などを対象に、3年間で50社の導入をめざすようです。

(参照記事:http://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/20160428_755586.html

マイクロソフト、「Xamarin」のSDKをオープンソース化

米国Microsoft社は4月27日、フロリダ州オーランドで開催中の「Xamarin Evolve 2016」カンファレンスで、「Xamarin」のソフトウェア開発キット(SDK)をオープンソース化したと発表しました。Microsoftは3月に開催した開発者カンファレンス「Build 2016」で、XamarinのSDK、ランタイム、ライブラリ、コマンドラインツールをオープンソース化する計画を発表していました。また、Xamarinを「Visual Studio」のさまざまなリリースに追加費用なしで組み込むことも発表していました。今回、Xamarin SDKs for Android/iOS/Macをオープンソースにし、.NET Foundationに寄贈することを発表しました。ライセンスはMonoと同じくMIT Licenseを採用しています。合わせて、「Open.Xamarin.com」としてオープンソース専用ポータルも開設しました。

(参照記事:http://japan.zdnet.com/article/35081956/

富士通研、大規模OSSのソースコード変化を高速に比較できる2つの技術を開発

富士通研究所は4月27日、大規模なオープンソースソフトウェアを利用したタイムリーな開発ができるように、ソースコードの機能追加など変更箇所を短時間で追跡する技術を開発したと発表しました。OSSは、多数の開発者によって頻繁に機能追加やバグ修正などのソースコードの変更が行われるため、OSSを利用するソフトウェアの開発過程で、更新ごとに変化した場所の確認に時間がかかるという課題があります。今回、ソースコードから関数の呼び出し経路を分析することにより、ソースコードの変化を高速に比較できる技術を開発し、これにより、380万行のプログラム中、約400の変更箇所を特定する作業において、従来のソースコードのテキスト比較の手法と比較したところ、約4分の1の時間で確認できました。

(参照記事:http://news.mynavi.jp/news/2016/04/28/228/

編集後記

最大で10連休の楽しかったゴールデンウィークも終わり、仕事モードへのリハビリが必要なこの1週間でした。今年のゴールデンウィークは、高山や白川郷といった観光地に行きましたが、外国からの観光客が多く、いたるところで英語だけではなく、さまざまな言語での案内が目につきました。飲食店やお土産物屋などでも英語で応対する光景を見るにつけ、観光地のグローバル化は、確実に進んでいるように感じました。

2000年頃からメーカー系SIerにて、Linux/OSSのビジネス推進、技術検証を実施、OSS全般の活用を目指したビジネスの立ち上げに従事。また、社内のみならず、講演執筆活動を社外でも積極的にOSSの普及活動を実施してきた。2019年より独立し、オープンソースの活用支援やコンプライアンス管理の社内フローの構築支援を実施している。

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