第10回:本番に向けてのテスト (3/3)

システム発注担当者
だからあなたの会社のシステムは動かない
〜システム発注担当者の悩みを解決します〜

第10回:本番に向けてのテスト

著者:システムクリエイト  田中 徹   2005/1/28
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本番立会い

   システム開発が終わり、いよいよ本番を迎える日が来ました。十分説明を受けていても、マニュアルが揃っていても、関係者には不安があるのではないでしょうか。できればSEにも立ち会って欲しいものです。
SEは本番立会いをするべきか

   本番開始にSEが立ち会ってくれるなら、発注側としてはとても心強いでしょう。運用初日、初めての締め処理、受発注の最初のオペレーションなど、要所要所で開発責任者が見守ってくれれば、何かあっても即座に対応してくれます。

   では、SEが本番に立ち会わなければならないのかどうかというと、やはり契約書に従うということになるでしょう。契約書に記載がなければ、開発会社としてはSEに立ち会わせる義務がありません。しかし、個人的な考えで言えば、SEが立ち会うことが望ましいですし、立ち会うことには大きな意味があります。

   IT業界には「技術力が最大の営業ツールである」という言葉があります。しかし技術力だけでは、やはりだめです。人間性、ビジネスマンとしてのコミュニケーション能力も必要です。自分たちが開発・製造したものが、本番で期待通りに動くかどうか見届けることは必要ではないでしょうか。

   開発した責任者が本番に立ち会うことは当然であると考えている開発会社の社長もいます。会社がその必要はないと言っても、自分たちが作ったものだからと、上司を説得して立ち会ってくれるSEもいます。できればこういう経営者、SEがいる開発会社に任せたいものです。


次の開発へつながる本番立会い

   本番に立ち会うことが当たり前と考える経営者やSEは、アフターサービスのつもりではなく、次の開発につなげるためという意識でしょう。発注側としても、最後まできちんと面倒を見てくれる会社に発注したくなるのではないでしょうか。発注側と開発会社の関係が良好であれば当然のことです。

   開発会社としても、次につなげたくない、早く関係を終わらせたいと思うこともあります。提示された開発費の見積額を値引かせることで評価される体制のような発注側に対しては、今後の関係に消極的になるでしょう。

   開発会社を業者と呼び、会議では終始常識を超えた強い命令口調で言い、出てくる金額全てを値引かせる担当者がいると聞いたことがあります。やはりその会社では毎回のように開発会社が変わるということでした。開発会社の方から関係を切ってくるのです。ここまで行くと、契約書に謳ってない限り本番立会いは難しいでしょう。


社内教育はどうやる

   システムテストと平行して進めなければならないものが、社内での説明・教育です。では、社内教育はどうすればよいでしょうか?

   発注担当者がシステムを十分理解し、全てを把握しているわけですから、当然発注担当者もしくは情報システム部主導で社内教育係をやるべきです。発注担当者にとっては、リーダーシップを発揮する場面といえます。

   この姿勢が今後別のシステム開発を行うときへの信頼となります。システムの規模、その他の理由により、開発会社から誰かを教育係として何ヶ月間常駐させる場合でも、できる限り発注担当者が立ち会いましょう。

   運用担当者は操作マニュアルなどを元に運用手順などを覚えていく訳ですが、発注担当者は操作マニュアル以外にも処理ごとに内容が確認できるよう仕様書、要件定義書などと常に比較して、実際のシステムを見るという癖をつけてください。たくさんの話し合いの中で十分検討したにもかかわらず、完璧でないことがいくつか発見できるでしょう。それを今後に活かしてください。

   設計段階でどちらでもよさそうなことをきちんとした理由の元にどちらかに決められること、将来的にネックになりそうなことをなるべく早い段階でSEに進言できること、これが発注担当者に求められるスキルです。


社内教育は自然と意見が出る場

   新システム導入における社内教育の場で、担当者が一方的に教えているだけで、他の社員の方は聞いているだけ、言われる通りに操作するだけ。というのをよく見かけます。システムに対する興味がないのか、あまり期待されていないのか。いずれにしろさみしい光景です。設計段階から各部署で意見がどんどん出る状況ならこんなことにはならないはずです。

   操作説明の段階になってようやくシステムに対する意見が出ることも多く見かけます。それはある意味しょうがないことでしょう。そういうとき、キチンとした意見はもちろんのこと、つい口から出てしまった程度のことでもメモとして残しておき、後でまとめておくと今後の発注にとても役に立ちます。使ってみて意見を言ってもらうのは、かしこまって意見を聞くよりずっと有意義なことが聞けます。

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著者プロフィール
システムクリエイト有限会社  田中 徹
代表取締役。1963年生まれ。MS-DOS時代から、汎用機−PCでのデータ送受信を行ってのチャート(金融業)、表・グラフ描画(財務系)などのシステム開発を行う。 社内人事管理(勤怠・人材活用)、流通業、制御系の分野や集計業務なども手掛ける。ソフトウェアハウスや大手開発会社まで多数の現場で開発を経験し、33歳で独立。現在は各業種・分野でSEとして、またシステムコンサルタントとして活動中


INDEX
第10回:本番に向けてのテスト
 テストの種類
 テスト仕様書をみるポイント
本番立会い
だからあなたの会社のシステムは動かない
〜システム発注担当者の悩みを解決します〜
第1回システム発注担当者の苦悩
第2回システム開発の流れ
第3回開発形態と開発会社の規模による違い
第4回見積もりについて
第5回発注側の体制・社内体制を整える
第6回発注担当者に必要なもの(1)〜業務知識とIT知識、業務フロー〜
第7回発注担当者に必要なもの(2)〜社内調整、SEとの付き合い方〜
第8回そもそもSE、プログラマってどんな人?
第9回さあ困った 〜その時発注担当者がするべき事は〜
第10回本番に向けてのテスト
第11回先達に学ぶ 〜トラブル事例紹介〜
第12回よりよいシステムにするために

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