第2回:仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法 (3/4)

VMware ESX Server サーバ統合ガイド
VMware ESX Server サーバ統合ガイド

第2回:仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法

著者:デル   2006/8/4
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RDMを活用した、バックアップ運用

   仮想マシンが使用するディスクのファイルフォーマットとしては、ESXの独自形式であるVMFSに加え、Rawディスクと組み合わせたRDM(Raw Device Mapping)もサポートされている(図4)。
RDM(Raw Device Mapping)
図4:RDM(Raw Device Mapping)
出典:米EMC Corp.
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   RDMは、VMFS上にマップファイルを作成し、それを参照して実データにアクセスする。UNIXなどのシンボリックリンクファイルに近いイメージである。つまり、仮想マシンから見るとVMFSにアクセスする形となるが、ストレージ側はRawディスクとして認識されている。

   Rawディスクであることによって、スナップショットやクローンなどのストレージベースのバックアップ・ソフトウェアが使用可能となり、さらにVMwareが提供するRDM機能によって、仮想マシンと相互運用することが可能になった(RDMはVMware ESX Server 2.5.2からサポート)。

   RDMを利用する場合は、別途VMFSのパーティションが必要になる。RDMでアクセスするデータ領域は、ゲストOSが利用するファイルシステムでフォーマットされるため可搬性が向上するだけでなく、SCSIコマンドが直接外部ストレージなどに発行されるため、クラスターウェアを利用する場合にパフォーマンスの劣化が抑制される。VMFSパーティション上でクラスターウェアを利用する場合は、ESXがSCSIコマンドを解釈したうえで排他制御を行うため、微量ながらパフォーマンスへの影響がある。

   バックアップ運用としては以下のようになる。仮想マシン上のアプリケーションが更新するデータ領域(D:ドライブ)についてはRDMを使用し、ストレージベースのスナップショットやクローンなどによって、オンラインバックアップを取得する(図5)。

スナップショットとクローン
図5:スナップショットとクローン

   仮想化環境でも3rdミラーを作成できることによって、可用性が向上し、物理サーバシステムと変わらない(同等レベルの)運用が可能となる。また、頻繁な更新が発生しない仮想マシンのシステム領域(C:ドライブ)については通常のVMFSパーティションで管理し、ESXのユーティリティ(vmsnap.pl)でバックアップをとる。

   C:ドライブをVMFSパーティションで管理するというのは、Virtual Centerを用いて仮想マシンテンプレートを作成して展開するという運用も考慮してある。バックアップの運用イメージに関しては図6を参照されたい。

バックアップ環境のベストプラクティス
図6:バックアップ環境のベストプラクティス
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

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デル株式会社
著者プロフィール
著者:デル株式会社
デルはスケーラブル・エンタープライズ戦略の重要な要素の1つとして、VMware社の仮想化技術を用いたサーバ統合ソリューションを提供しています。業界標準技術を採用した、デルのPowerEdgeサーバとDell | EMCストレージから構成されるハードウェアプラットフォームと、仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」、仮想マシン管理ツール「VirtualCenter」、仮想マシンの無停止マイグレーション技術「VMotion」を組み合わせることにより、柔軟でコストパフォーマンスに優れるサーバインフラストラクチャが構築可能です。

http://www.dell.com/jp/


INDEX
第2回:仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法
  STEP2:仮想化環境の設計
  典型的なVMwareのシステム構成例
RDMを活用した、バックアップ運用
  クラスタ、DR環境構築の留意点
VMware ESX Server サーバ統合ガイド
第1回 VMware関連基礎用語
第2回 仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法
第3回 サーバの構成
第4回 インストール時の注意点とチューニングポイント
第5回 SANブート
第6回 ブレード・サーバへの導入
第7回 Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能
第8回 ブレードサーバで構築するVMware ESX ServerのVLANネットワーク
第9回 VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト
第10回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
第11回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)
第12回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(導入編)
第13回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)
第14回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(リソース管理編)
第15回 デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上

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