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| 迫るタイムリミット | ||||||||||||||||||||||
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このような状態の中で、大きく、しかし必ず越えなければならないハードルがありました。それは、前月分の財務諸表を翌月の10日までに財政局に提出しなければいけないという制度でした。 財務諸表を作成するためには締め処理を行い、前月の会計データを確定させる必要があります。そのため、10日以内に締め処理を終える必要がありました。締め処理のフローは予定では図3のようになっていました。 ![]() 図3:締め処理のフロー |
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| ずれこむ締め処理 | ||||||||||||||||||||||
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稼動の月が終わり、いよいよ締め処理がはじまります。 しかし、既に書いたように、カットオーバー後はトラブルが続発しました。そのため、各業務で締め処理が遅れました。1日、2日と予定が後ろにずれ込んでいきます。 そしてとうとう9日目となってしまいました。なんとか他の締め処理を完了させ、残すは会計のみとなりました。本来3日かけて行う処理を1日で行わなければなりません。そして、ここでエラーが起きたりしたらもう後がありません。 朝9時、上海と簡単な電話会議を行い、今日の予定を確認しました。そして会計の締め処理が開始されました。 フローでは工場で行う管理会計(原価計算)の処理が最後となっていました。会計の中でも上海で行う財務会計の処理が先行します。そのため、筆者たちは上海から連絡が来るのを待ちました。 |
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| 崖っぷち | ||||||||||||||||||||||
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午後3時、いよいよ上海から連絡が来ました。 しかし、その内容は筆者たちが予想していたものとは異なりました。上海で行うある処理がうまく動かないために、もうしばらく待機しているようにとの指示でした。 カットオーバー後に実装を行った部分を実際に動かしてみるとうまく動かなかったとのことです。再び筆者たちは上海からの連絡を待つことになりました。5時、6時と時間だけが過ぎていきます。 工場の中国人経理担当者が筆者たちのところにやってきました。終業時間を過ぎたから帰りたいとのことです。彼らの上司にあたる上海の日本人ユーザと協議した結果、彼らを帰すことにして初回の締め処理は筆者たちで行うことになりました。 そしてとうとう午後10時を過ぎました。工場からホテルまでは離れており、これ以上遅くなるとホテルに戻る手段がなくなるため、筆者たちはホテルに戻り、ホテルで作業することになりました。 午後11時30分。携帯電話に上海からの電話がかかってきました。 「終わりました。鹿取さん、よろしく。」 1つ1つ処理を行っていきます。テスト済みだったため大丈夫だとは思いながらも、時間に余裕がないため緊張しました。 無事に処理が完了していき、いよいよ最後の処理となりました。実行ボタンを押します。 なかなか応答が返ってきません。 「何かエラーでもあるのか」 ホテルの部屋には冷房が効いているのですが、汗がにじみ出てきます。やがて画面が切り替わり、「正常に処理が完了しました」というメッセージが表示されました。 すぐさま上海に電話し、完了したことを伝えました。その後、無事に初回の財務諸表の提出をすることができました。 |
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| 大団円 | ||||||||||||||||||||||
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その後も色々と問題は発生しましたが、3ヶ月後には安定稼動するようになりました。安定して稼動した頃には、中国のユーザからも信頼を得られるようになりました。そしてプロジェクトチームは解散し、運用チームにバトンタッチすることになりました。 中国という特別な環境の中で様々な苦労を共にしたプロジェクトチームのメンバーの間には強い結束が生まれました。「戦友」とでもいうような感覚でしょうか。 プロジェクトチームが解散してから1年後、メンバーで飲み会が開かれることになりました。 会うのは久しぶりだったのですが、久しぶりとは思えず、すぐに1年前の記憶が鮮明に蘇ってきました。思い出話に花が咲き、非常に楽しい会になりました。このプロジェクトでは多くの反省点もありましたが、多くのことを学ぶことができました。 プロジェクトにはトラブルや苦労はつきものですが、それらを乗り越えた時の達成感はこの仕事のやりがいの1つだと思います。 |
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