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| キックオフ | ||||||||||||||||||||||
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日に日に肌寒くなるある年の11月にこのプロジェクトははじまりました。筆者は新しい仕事への意気込みと不安を胸にプロジェクトルームに入りました。 プロジェクトルームにはすでに何人か来ており、IDカードを作成するための申請書の記入をしていました。筆者もプロジェクトリーダーから申請書を受け取り、記入をしました。 まわりを見渡すとほとんどが30代のようで、要件定義を担当するための中堅のエンジニアも参加しているようでした。しかし開発を行うようになれば、若いメンバーも増えていくことだろうと思っていました。 |
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| 強圧的なプロジェクトマネージャー | ||||||||||||||||||||||
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申請書の記入も終わり、メンバー全員が集まると、プロジェクトマネージャーの挨拶からキックオフミーティングがはじまりました。 「このプロジェクトは失敗が許されません。皆さんの力が私の想定を下回る場合はこのプロジェクトから降りてもらうので、全力を尽くしてください。」 プロジェクトマネージャーは笑みを浮かべることもなく、さらりと言い放ちました。 プロジェクトマネージャーのミッションはプロジェクトを成功させることです。そのため、成果をだすことのできないメンバーを交代することはあります。しかしキックオフミーティングでの発言で、プロジェクトルームの温度が急に冷え込んだように感じました。 |
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| 疲弊する現場 | ||||||||||||||||||||||
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プロジェクトのスケジュールはかなりタイトなものでした。スケジュール通りに進めるため、メンバーは皆夜遅くまで残って作業をしていました。 今回のプロジェクトは、スケジュールのタイトさに加えて細かい部分まで管理が行われていたため、そのための作業もかなり生じていました。 それでも要件定義はスケジュール通りに終えて、設計・実装フェーズに入ることができました。 |
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| 相次ぐメンバー交代 | ||||||||||||||||||||||
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設計・実装フェーズに入るとメンバーもかなり増えました。こうなると、どうしてもメンバーのスキルにばらつきがでてしまい、一部の機能で開発に遅れがでてきました。 そして定例ミーティングの際にその機能の遅れが議題にあがり、プロジェクトマネージャーはその機能を担当するリーダーに遅れの原因を尋ねました。 リーダーは開発ボリュームに対してリソースが少ないことが原因と答えました。その機能は筆者が関与しているものではなかったのですが、外から見ていても明らかに要件変更による手戻りが多発しており、そのために開発メンバーのリソースが不足していることはよくわかりました。その機能を担当するメンバーらの徹夜も珍しくありませんでした。 これに対して、プロジェクトマネージャーのだした答えは意外なものでした。 その答えとはリーダーの降格およびメンバーの交代でした。そして降格されたリーダーに対しては、新しいメンバーが入るまでに遅れをリカバリーすることを命じました。 その後、他のチームでもメンバー交代が相次ぎ、チームの雰囲気も悪くなっていきました。 |
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| 取り戻せない遅延 | ||||||||||||||||||||||
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このようにスケジュール遅延に対して、次々とメンバー交代という対策がとられていきました。そして残ったメンバーには作業量を増やすことが求められ、徹夜が珍しくなくなっていました。 しかし新しいメンバーがキャッチアップするためには時間がかかり、また新しいメンバーのスキルが期待していたものに達していないこともあったため、スケジュールの遅延を取り戻すことはできませんでした。 さらにメンバーを将棋のコマのように考えるプロジェクトマネージャーに対してメンバーの不満が高まり、モチベーションは下がる一方でした。 このような中で冒頭のやり取りが行われたのです。 |
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