第15回:デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上 (2/3)

VMware ESX Server サーバ統合ガイド
VMware ESX Server サーバ統合ガイド

第15回:デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上

著者:デル   2006/9/22
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VMWare ESX Serverソフトウェア

   VMware ESX Serverを使うと、1台のハードウェア上で、数多くの異種アプリケーションを並列運用することができます。ESX Serverは、ハードウェアのすぐ上に仮想化レイヤと呼ばれる層を形成し、そこに複数の仮想マシン(VM)コンテナを作成します。

   それぞれのVMが自分自身のオペレーティングシステム(OS)を実行するので、VMごとに、OS固有のサービスやアプリケーションを運用することができます。ESX Serverは、あたかも別の物理システム上で運用するかのように、VM同士を互いに切り離して制御するため、種類の異なるOSやアプリケーションを1台のサーバで同時実行するといった柔軟性が生まれます。

   それぞれのVMは、個別に再起動したり電源を切ったりすることができます。その際、同じ物理サーバ上で稼動している他のVMに影響を与えることはありません。この機能は、アプリケーションのアップグレードや修正プログラムの適用に便利です。

   たとえば、あるVM上のアプリケーションにアップグレードやパッチを適用した後、このVMをリブートしても、同じ物理システム上で稼動する他のアプリケーションまでダウンされることはありません。このような運用が可能になるのも、各VMが自分のOSとアプリケーションを独立して実行しているからです。

   今回のテストでは、2台のDell PowerEdge 2850サーバを使いました。両サーバとも、Microsoft Windows Server 2003やRed Hat Enterprise Linux 4などの一般的なオペレーティングシステムではなく、VMWare ESX Server 2.5.2をインストールしています。

テストに使用したワークロード

   ESX ServerのVM上でアプリケーションを実行するユーザをシミュレーションするため、サーバ全体のCPU利用率が85%に到達するまで、システム上のVM数を増やしていきました。「利用率85%」とは、飽和状態の100%には十分余裕があるものの、許容範囲内でサーバがかなり頻繁に利用されている状態です。実際の業務運用でも到達し得るレベルですが、できれば避けたいところです。多くの業界標準ベンチマークでこの85%が目安となっているため、本テストでもこれを採用しました。

   PowerEdge 2850でシングルコア・プロセッサとデュアルコア・プロセッサの性能を相対比較するため、ワークロードには、SQL Server 2000のOLTP(オンライン・トランザクション処理)ワークロード、SuSE LinuxのLAMPスタック、Windows 2003 ServerのNetBench 7.03の3種類を使いました。今回のテストに使ったこれらのワークロードは、2005年7月発行のホワイトペーパ『数種類のワークロードを使って検証するVMware ESX Serverの性能:Dell PowerEdge 2850およびPowerEdge 6850サーバのベンチマークテスト』でも使用しています。詳細は次のPDFをご参照ください。


   いずれのワークロードも複数のVM内にセットアップし、同じの負荷のもとで同時実行しました。そして、ドライバ・システム(テスト駆動マシン)とVM上の設定をすべて同等に保ったまま、VM数を増やしていき、1台のサーバでいくつのVMが同時実行できるか調べました。表3に、VMの構成内容を示します。

ワークロード RAM ディスク NIC 仮想CPU数
SQL Server 2000 512MB 10GB Vmxnet 1
SuSE LAMP 1,024MB 10GB Vlance 1
NetBench 512MB 10GB Vmxnet 1

表3:テストに使用した仮想マシンの構成


Microsoft SQL Server 2000

   SQL Server 2000用の仮想マシンには、Microsoft Windows 2003 ServerとSP4対応のSQL Server 2000をインストールしました。デルが開発したMicrosoft SQL Server仕様のDVDショップ・プログラムは、スクリプトも提供しており、これを使ってSQL Server 2000にDVDショップ・データベースをロードしました。

   このDVDショップ・データベースは、Web上のシンプルなネットショップで使われる、データベース・バックエンドを再現したものです。このデータベースは約1GBという小さなもので、開発用やテスト用のデータベースを想定しています。DVDショップ・アプリケーションの全コード(SQL ServerとLAMPバージョンを含む)は、GPLライセンスの下で無償提供されており、以下のサイトから入手できます。

DVDショップ・アプリケーション
http://www.linux.dell.com/dvdstore

   VM上で発生する処理をシミュレーションするため、DVDショップのドライバ(駆動)プログラムを使用しました。このプログラムは、DVDショップのダウンロード・ファイル内に含まれています。SQL Server 2000の各VMを実行するのは、シングル・スレッドのドライバ・アプリケーションで、シンクタイム(入力間隔)は20ミリ秒に設定しています。

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デル株式会社
著者プロフィール
著者:デル株式会社
デルはスケーラブル・エンタープライズ戦略の重要な要素の1つとして、VMware社の仮想化技術を用いたサーバ統合ソリューションを提供しています。業界標準技術を採用した、デルのPowerEdgeサーバとDell | EMCストレージから構成されるハードウェアプラットフォームと、仮想化ソフトウェア「VMware ESX Server」、仮想マシン管理ツール「VirtualCenter」、仮想マシンの無停止マイグレーション技術「VMotion」を組み合わせることにより、柔軟でコストパフォーマンスに優れるサーバインフラストラクチャが構築可能です。

http://www.dell.com/jp/


INDEX
第15回:デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上
  はじめに
VMWare ESX Serverソフトウェア
  SuSE Linux LAMP上のDVDショップ
VMware ESX Server サーバ統合ガイド
第1回 VMware関連基礎用語
第2回 仮想化環境の設計と物理サーバから仮想マシンへの移行方法
第3回 サーバの構成
第4回 インストール時の注意点とチューニングポイント
第5回 SANブート
第6回 ブレード・サーバへの導入
第7回 Dell PowerEdge 1855ブレードサーバのVMware VMotion性能
第8回 ブレードサーバで構築するVMware ESX ServerのVLANネットワーク
第9回 VMware ESX Serverの性能〜ベンチマークテスト
第10回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(前編)
第11回 ブレードサーバのLAMP性能特性とサイジング(後編)
第12回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(導入編)
第13回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(仮想化CPU機能編)
第14回 メール・プロトコル環境における仮想CPU(リソース管理編)
第15回 デュアルコア・サーバによるVMware ESX Serverの性能向上

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