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ながさきITモデルへの参画 〜 地場SIerの官公庁システム開発奮戦記
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第2回:オフショア開発に負けないためのCurlという選択肢
著者:ドゥアイネット   穴井 春奈   2006/4/26
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PHPで開発したシステムをCurlで作り直すことの意義

   第1回ではドゥアイネットは地場SIerとして長崎県庁からシステム受注し、長崎県庁職員の休暇を管理する休暇システムをPHPで開発して納品したことを説明した。

   しかし納品したのもつかの間、稼働したばかりの休暇システムを「Curlで作り直す」と長崎県庁の島村参事監は結論をだしてきたのだ。その背景としては長崎県庁の「IT関連総費用の削減」「地場企業の育成」があったことがあげられる。

   長崎県庁は電子県庁を促進しており、今後はWebシステム化が一層進展していくこととなるが、PHPやJava言語でシステムを開発しているとサーバサイドの処理が増え、消費するリソースの肥大化も進み、より高速な処理ができるサーバが必要となるのだ。さらに常にクライントとサーバ間がやり取りをしているので、通信回線を太くしていかなければならない。

   業務の電子化が電子県庁の目的であるのに、これではサーバやネットワークの再構築についても考慮しなくてはならなくなってしまう。

   一方、今回使用することになったCurlは、サーバから必要最低限の情報を取り出し、後の処理をクライアント側で行うことができる。Curlに代表されるリッチクライアントは使い勝手や見栄えのよさに重点を置く際に利用されることが多いが、長崎県庁ではサーバやネットワークのコストを押さえることを第一に考えて採用に踏み切った。

   現在、長崎県庁ではCurlを導入し、電子決裁/休暇/旅費をはじめとする内部庶務事務システムがWebシステム化されたが、一昔前のサーバ3台でまかなっている。6,000人を越える職員が常に使っているが、低スペックのサーバで十分なのだ。複雑な処理もクライアント側で行えるため、サーバの処理が大きく軽減されたのだ。


Curlを利用することへの反応

   当時の長崎の地場企業の中には、「Javaでのシステム開発が主流なのに、なぜわざわざCurlを利用するのか」という声がかなりあった。しかし、島村参事監の考えは単純にデファクトスタンダードを支持するものとまったく違っていたのである。

   「Javaをやるところは全国にいくらでもある」

   これが島村参事監の答えである。高いといわれる東京でのエンジニアの単価でさえ、月70万円を割り込んできている。そこに長崎の企業が新規に参入しても、より安い価格で買い叩かれるだけだ。

   これからはリッチクライアントによる開発へとスタイルを切り替え、地場企業に特色を持ってもらい、「下請けではなく企業から直接開発を依頼されるようにした方がいい」というのだ。今後下請け的な仕事は中国・インドといった外国に、オフショア開発として持って行かれる。そうしないためには地場SIerは特色を持てというのだ。

   もちろん、当社としても新しい言語での開発に何の抵抗もなかったとはいえない。島村参事監がいうことの理屈はわかるが、現段階では利益を望めるはずもなく、今後需要は見込めるのかといった見当すらつかない。Curlという言語によるシステム構築を先行投資と考えて、この仕事を受けるべきかどうか、悩みに悩んだ。

   悩んだ末、社長の土井はCurlでの初の開発案件に対してGoサインをだした。この時、土井はこういった。

   「今後のことなどどうなるかはわからないし、需要が望めるとも限らない。でも技術者にとって新しいものを学ぶことは必ず財産になる。何を勉強しようが、技術者にとって勉強したことは身になるものだ。数年後になってはじめて活きてくることだってある。Curlの研修に行って、新しい技術を学んできなさい」

   土井は技術畑出身の人間である。同じ技術者として新しい言語に対する好奇心や「面白そうだ」という気持ちのほうが大きかったのだ。もし営業畑出身の人間だったとしたら、違った判断をしていたかもしれない。

   こうして筆者はCurlの技術研修に参加し、県庁での初仕事を受けることになった。

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株式会社ドゥアイネット  穴井 春奈
著者プロフィール
株式会社ドゥアイネット   穴井 春奈
システム技術部2課 チーフ。
前職は一般事務。もっと自分にしかできない仕事をしたいという思いから転職を決め、ドゥアイネットに入社して4年。現在は長崎県電子自治体プロジェクトに携わり、設計から開発までをこなす。

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